追跡 ムソルグスキー 「展覧会の絵」

 ムソルグスキーは、友人の建築家・画家のハルトマン(ガルトマン)の遺作展の絵からイマジネーションを受け、「展覧会の絵」を作曲したと言われている。では、それぞれの音楽の基になったのは、どのような絵であったろうか。

 それらの絵を、団伊玖磨氏がNHK取材班とともに探し求めたNHKスペシャル「革命に消えた絵画」をまとめた本が「追跡 ムソルグスキー『展覧会の絵』」 である。ムソルグスキーの交友や作曲された当時の時代背景をもとに、名曲「展覧会の絵」のルーツに迫っていく。
 ハルトマンの味わいのある絵や、ロシアの美しい写真とともにロシアの芸術家の足跡をたどる素敵な本。

 現在、絶版のようだが、休八さんのサイト「『展覧会の絵』の展覧会」で復刊希望を募っている。

「展覧会の絵」の展覧会

追跡 ムソルグスキー『展覧会の絵』
団 伊玖磨 NHK取材班
4140800623

三十九階段

 ジョン・バカンの小説「三十九階段」は、1915年に出版された冒険小説。イギリスの青年が、ふとしたことで国際的陰謀に巻き込まれる。第1次世界大戦の国際緊張を背景とした作品。今読んでも、充分に面白い。

三十九階段
ジョン・バカン 小西 宏
4488121012

ワンピース (41)

 ワンピースは確かに変な漫画かもしれない。バラバラになったり、砂になったりする奇妙な敵が現れるし、変な面相をしたキャラクターが次々登場する。しかし、淡々と良い話がつなぎ合わされている物語であることも確かだ。
 コミックの41巻では、長い間謎にされてきたニコ・ロビンの過去が描かれる。歴史と個人の関係もテーマとなっている。文芸大作にもひけをとらない漫画。

One piece (巻41)
尾田 栄一郎
4088740475

墜落遺体

 1985年8月12日、御巣鷹山に日航機が墜落し、520名の命が奪われた事故から21年が経つ。「墜落遺体」は、当時、遺体の身元確認作業の責任者であった著者による現場の記録である。
 遺体の頭部の中から、他の人の目玉が発見されるなど、航空機事故の凄惨さが如実に伝わってくる。遺体が運びこまれる藤岡市民体育館は、気温が40度に上がり、死体の悪臭と線香の煙がたちこめ、時おり遺族の号泣や叫喚が響き渡る。
 そんな中で、自ら病を患いながら、過労で寿命を縮めてまで遺体確認作業を全うする医師。遺族のショックをできるだけ和らげるよう、頭や胴だけでなく内臓までも丹念に洗い、遺体縫合、包帯巻を粛々と行う看護婦たち。自らの身内の死に目にも会わず、遺族との対応を優先する警察官。苛酷な現場で懸命に取り組む人々に、ひたすら頭が下がる思いであった。
 そこに描かれているのは、職務を越えて、人としてなすべきことを憑かれたように行うことで、救いを求める姿であるようにも思えた。

墜落遺体 御巣鷹山の日航機123便 (講談社+α文庫)

プロジェクトX 瀬戸大橋

 プロジェクトXのコミック版だが、よく描けていて漫画でも感動する。リーダーの在り方が凝縮されている。

コミック版 プロジェクトX挑戦者たち―男たち不屈のドラマ・瀬戸大橋
笠原 倫 NHKプロジェクトX制作班
4872878876

プロジェクトX 8ミリの悪魔

 プロジェクトXのコミック版で、野菜に壊滅的な被害を与えるウリミバエとの戦いを描いた巻。本棚に何気なく置いておくと、子どもは手にとって読むことがあるようだ。「8ミリの悪魔ってなにかと思ったら、ハエのことだったんだね。」

コミック版 プロジェクトX挑戦者たち―8ミリの悪魔VS特命班 最強の害虫・野菜が危ない
笠原 倫 NHKプロジェクトX制作班
4776790092

海の祭礼

 北海道、天北の地から海を望むとき、いつもその姿を誇示している利尻島には、稚内からフェリーで1時間半ほどで行ける。船が島に近づくにつれ、山は視界に大きく広がってくる。標高1721mであり、周囲約60kmの島全体が山の一部であるといえる。

 数年前、利尻島に行った時のこと。フェリーが着く港のそばに何件か食堂があったが、ガイドブックにも載っていないようなごく大衆的な食堂にはいった。中で子供が水鉄砲で遊んでいるような、きどらない店であった。ウニ丼を注文してしばらく待つと、明るい黄色を帯びたウニが溢れるばかりに載ったどんぶりが出てきた。普段目にする固まったウニとは違い、溶けて流れ出しそうなやわらかさである。口にすると、甘みを帯びた豊かな味。海無し県に住んでいる身にとって、それは日常触れることの出来ない味覚であり、感激した。その朝に獲れたウニを、その場でからをむいて出すと店の人が話していた。確かに食事する場所から見える調理場には、黒いトゲに覆われた殻がいくつか転がっていた。
 流通するウニは形をくずさないためミョウバンで固めるので、苦みが混じり風味が数段落ちる。利尻のウニは、混じりっ気なしで、しかも利尻昆布を食べて育ったウニであり、産地で食べなければ本当の味はわからないだろう。

 旅館の階段に「海の祭礼」という本が展示してあった。吉村昭の著作で、江戸時代、日本に憧れ単身利尻島に上陸したラナルド・マクドナルドをめぐる話である。彼と日本人通訳との交流を軸にして、幕末の歴史を独特な視点から描き興味深かった。
 北海道へは旅するごとに深い情緒と、様々な刺激が与えられる。情・知共に得るところの多い尽きせぬ魅力をもった土地である。

海の祭礼
吉村 昭
4167169428

天北原野

 日本最北端の都市、稚内。ここへ向かう海岸べりに、真っ直ぐな道がある。右手は広大な原野であり、遠くに起伏が見える。その広さゆえになだらかな丘に見えるが、大雪山系につながる存外高い地である。左手には深い碧色をたたえたオホーツク海が広がり、なかほどに利尻富士が優美な姿を現している。道は地平線に向かって無限に伸びてゆくかのようであり、大いなる自然を感じる。このあたり一帯を含む北海道の最北部は、天北地方ともよばれる。

 三浦綾子の小説「天北原野」は、北海道と樺太を舞台に、運命に翻弄される人々の姿を描いた作品で、北国の風物の描写と巧みな筋運びが融和した珠玉の名作。

天北原野 (上巻)
三浦 綾子
4101162123
天北原野 (下巻)
三浦 綾子
4101162131

ちびまる子ちゃんの四字熟語教室

 四字熟語220の解説に、ちびまる子ちゃんの4コマ漫画がついた楽しく読める本。小学生の長男が、たまに見ている。「誕生日のケーキには、ろうそくがないと画竜点睛を欠くよね。」などと口にする。
 子どもが四字熟語に関心を持ち、自然と言葉の豊かさに触れることのできる良書。

ちびまる子ちゃんの四字熟語教室
さくら ももこ 川嶋 優
4083140143

インターネット

 インターネットが家庭に普及しはじめた1995年に初版が出された「インターネット」。日本におけるインターネットの草分け的存在である村井純氏の著作。
 「トップダウンで決められたストラクチャーではなくて、ラフなコンセンサス。みんながバラバラに生きていても、ゆるやかなコンセンサスがあればだいたいうまくいく」
など、今読んでもインターネットの特質をあますところなく記しており、たいへん示唆に富む。
 ホームページなどで、個人や団体が情報を公開し、メールで情報をやりとりすることがあたりまえの時代になったが、それはこのほんの数十年のことに過ぎない。しかし、それによって個人や社会が受けた影響は計り知れないほど大きい。
 ネットワーク社会を記した原点ともいえるこの本をひもとく意義は、今だからこそあるのかもしれない。

インターネット
村井 純
4004304164

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