信長(8)

 池上遼一の「信長」第8巻は、しばらく出版されず、幻の巻であった。背景資料の著作権の問題があったと言われている。2004年に、ようやくこの問題が解決され、出版されるに至った。武将の面構えも見事だが、安土城、障壁画など、背景も素晴らしい。一ページ一ページが鑑賞に値する入魂の大作。

信長 8 夢幻の巻
工藤 かずや 池上 遼一
4840109273

信長(6)

 池上遼一の描く「信長」は、当時の合戦の様子を、躍動感溢れる筆致で眼前に展開してくれる。特に、6巻に描かれる、武田軍との長篠の戦いは凄い。馬防柵に突撃する武田の精鋭騎馬部隊と、織田の鉄砲隊との戦いの迫力に息をのんだ。
 まさに、現代に披瀝された戦国絵巻である。

信長 6 怒濤の巻
工藤 かずや 池上 遼一
484010915X

信長

 大学1年生の時、目白の椿山荘で初めてのアルバイトをした。庭園の一角に張られた幕の内側で、接待に出された茶菓の器を洗う仕事であった。そのアルバイトで、当時、東京芸術大学の学生であったNさんに出会った。休憩時にタバコを吸うNさんの姿に大人の趣を感じたものだった。
 翌年正月、Nさんから下宿に年賀状が届いた。なまはげの版画が添えてあった。年賀状の住所を頼りに、Nさんの練馬の下宿を訪ねた。自活をしながら絵の道を志しているNさんの姿勢には感銘を受けた。

 大学を卒業して数年後、福井県にNさんを訪ねた。結婚して、3児の父となっておられた。そのNさんの部屋にあったのが、池上遼一の「信長」であった。
 デザインの会社を友人たちと起こしたNさんが、この「信長」をたいへん評価していた。一読して、絵の緻密さに目を見張った。

 翌日、Nさんの家族と、朝倉氏の居城があった一乗谷に出かけた。前日読んだ「信長」の朝倉氏の章が鮮明に残っていたため、たいへんに興味深かった。朝倉氏が栄華を誇り、小京都と呼ばれた史跡を散策し、独特の感興を味わった。

 最近、十数年ぶりに、この「信長」と出会い、全巻を読み終えた。あらためて絵の緻密さ、凄さに感じ入った。武将の面構えのなんと見事なことか。クールで知的な信長のかっこいいこと。
 同時に、Nさんの暖かいお人柄が思いおこされた。様々に感慨深い劇画である。

信長 1 黎明の巻
工藤 かずや 池上 遼一
484010493X

夏への扉

 タイムマシンをモチーフにした、抒情的なSF。読後感がたいへん良い。夏の一服の清涼剤となるのでは。

夏への扉
ロバート・A・ハインライン
4150103453

天上の青

 曾野綾子の小説、天上の青。次々と女性を誘い、殺してゆく男。しかし、一人の女性だけには、夏の朝顔のように清々しい心を開いてゆく。文学の凄みを感じる書。

天上の青〈上〉
曽野 綾子
4101146284

倒錯のロンド

 叙述ミステリーの代表作。ついつい先へ先へと読みたくなる魅力を持っている。トリッキーなミステリーをお望みの方におすすめ。

倒錯のロンド
折原 一
4061852086

松本清張 張込み

 松本清張の初期の短編集「張込み」は、実に密度が濃い。表題作の他、「顔」「声」「地方紙を買う女」「鬼畜」「一年半待て」「投影」「カルネアデスの舟板」の8編が収められている。
 文学的香気のある推理小説群は、時代を越えた魅力を放っている。

張込み
松本 清張
4101109060

スバラ式世界

 原田宗典のトホホ・エッセー「スバラ式世界」。テンポの良い文章にのせられ、なんだか無類に面白かった。

スバラ式世界
原田 宗典
4087498506

しあわせ配達犬ミルク

 小学校の図書室から息子が借りてきた本。

しあわせ配達犬ミルク
和田 登
4569682138

豊臣秀吉

 息子が、「豊臣秀吉」を読み終える。仕事から帰って、息子の音読を聴くのが毎日の楽しみのひとつ。
 この秀吉の伝記は、少年時代から始まり、前半が本能寺の変、山崎の合戦を経て天下を統一するまでが書かれているが、実に展開が速い。それに比べて、後半は天下統一後がじっくりと描かれ、趣きがあった。

豊臣秀吉―ぞうりとりから戦国の英雄に
岡田 章雄
4061475126

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