坂の上の雲

 明治時代の日本人の気質を、日露戦争を中心に膨大な事例で描いた司馬遼太郎の「坂の上の雲」。この無謀ともいえる戦いを通じて、いかに明治が高揚した、精神的に豊かな時代であったかを感じとることができる。読み終えた後には、真に偉大なものを見てきたような、圧倒的な感動を抱いた。
 司馬遼太郎は、正岡子規が好きであると書いているが、氏の作品の徹底した写実を通して描いていく手法に子規との共通点を感じる。  

 2年前に亡くなった野沢尚には、NHKから2006年に放送予定だったスペシャル大河ドラマ「坂の上の雲」の脚本執筆が依頼されていた。野沢氏が取材に時間がかかっているとして延期の申し入れがあり、NHK側もこれを了承し、2007年以降に放送が延期される旨の発表がなされていた。野沢氏は既に同作の全15回分の初稿を既に書き上げていたことも明らかにされている。  
 NHKには、是非「坂の上の雲」を魅力的な形で映像化してほしいと思う。

坂の上の雲〈1〉
司馬 遼太郎
4167105764

破線のマリス

 野沢尚の著作「破線のマリス」は、第43回江戸川乱歩賞受賞作。テレビ局を舞台とした、報道映像をめぐる、緊迫感溢れるミステリー。

破線のマリス
野沢 尚
4062649071

容疑者xの献身

 東野圭吾のミステリー、容疑者xの献身を読む。短い文章でたたみかける文体と引込まれるストーリーで、一気に読める作品。純愛ものとも言えるが、数学者と物理学者の会話も興味深い。論理的な叙述と悲哀がないまぜになっている点がこの作品のひとつの魅力だろう。ただ、現実からあまりに遊離している数学の教師像がどうも気になった。もっともそれを否定するとこの作品が成り立たないのだが。
 134回直木賞受賞作だが、白夜行のほうがはるかに密度も完成度も高い作品だと感じる。

容疑者Xの献身
東野 圭吾
4163238603

朱なる十字架

 細川忠興に嫁いだが、明智光秀の娘として逆賊の汚名を着せられ、数奇な運命をたどる細川ガラシアの生涯を描いた永井路子の歴史小説。

朱なる十字架
永井 路子
4167200422

ヘレン・ケラーを支えた電話の父・ベル博士

 「ヘレン=ケラー自伝」の音読を終えた息子が、小学校の図書館で「ヘレン・ケラーを支えた電話の父・ベル博士」を見つけ、読んでみたという。読書の幅を広げていくことは良いことだ。

ヘレン・ケラーを支えた電話の父・ベル博士
ジュディス セントジョージ Judith St.George 片岡 しのぶ

ヘレン=ケラー自伝

 4月に映画「子ぎつねヘレン」を見たので、息子にヘレン=ケラー自伝の音読をさせた。「見えない、聞こえない、しゃべれない」の三重苦を乗り越えた少女の自伝である。
 生き生きと綴られる文章に驚いた。まさに、「光の世界に歩み出した」ことを感じさせてくれる。サリバン先生と出会い、言葉を知ったことから、ヘレンの世界は急速に広がり、ラドクリフ大学に入学するまでに至る。
 息子の音読を聴きながら、ヘレン=ケラーの向上心と感受性に、頭が下がる思いであった。

 ヘレン=ケラーを支えた、グラハム=ベルや、マーク=トゥエインとの交流もたいへん興味深かった。電話の発明として知られたベルだが、聾唖者のために尽くした人であったことは、この本で初めて知った。

 巻末の「サリバン小伝」も、ヘレンを教育し支え続けたサリバン先生の短い伝記だが、たいへん胸を打った。

 教育と言葉の重みを、改めて実感させてくれた本であった。

ヘレン=ケラー自伝―三重苦の奇跡の人
4061475045

エンカウンターで進路指導が変わる

 構成的グループエンカウンターを取り入れた進路指導を提唱している書。「自分に問う力」や「対人関係能力、コミュニケーション能力」をグループでの活動を通して養う方法が具体的に示されている。
 豊富な執筆陣により、「生き抜く力」を育む進路指導について様々な角度から語られ、内容がたいへん濃い。キャリア教育を具体化していく上で、たいへん参考になる。

エンカウンターで進路指導が変わる―生き抜くためのあり方生き方教育
片野 智治 田島 聡 橋本 登
4810013545

キャリア教育

 「人生80年をどう生きるかを考えさせる教育」
 平成7年に、仙台にある宮城野高校へ視察に行った。普通科、総合学科、美術科を併設した新設校であり、「教育改革のパイロット的役割を果たす学校」として高邁な理念を持った学校であった。当時の矢吹教頭から受けた説明の中で聞いた「人生80年をどう生きるかを考えさせる教育に、最高のサービスで答える」という言葉が、今でも印象に残っている。これは、自分が総合学科の設立に携わる際の礎となった言葉でもある。

 現在、キャリア教育について盛んに言われるようになっている。単なる出口中心の進路指導ではなく、小中高等学校の各発達段階を通して職業観・勤労観を育てる教育である。
 しかし、「児童生徒一人一人の勤労観、職業観を育てる教育」を表面的に捉えていたのでは、キャリア教育の本質を見失うおそれがある。就職のみでなく、「人生80年をどう生きるか」という長期の視野に立った教育としなければならない。

 キャリア教育は、「生き方在り方」を問うことが根底にある。そして、小学校から中学校、学校から社会などの「接続」を考慮した教育という視点が重要であると感じる。
 キャリア教育のキーワードは「生き方在り方」と「接続」ととらえている。

 さて、キャリア教育を理論的にもしっかりと述べている本として、三村隆男氏の「キャリア教育入門」がある。氏は上越教育大学の助教授であるが、高等学校で24年間勤め、進路指導に携わってこられたようだ。実践と研究に基づいたこの著作は、今後の進路指導においてひとつの拠り所となりうる本であろう。

キャリア教育入門―その理論と実践のために
三村 隆男
4408416452

美味礼讃

 本格的なフランス料理を日本に紹介した辻静雄の生涯を綴った小説。極めて興味深く読めた。料理の世界の深さをこれほど良く伝えてくれる本は稀ではないか。平明な文体だが、内容は深く、お手本にしたい文章だ。最初の第1章から引き込まれ、最後まで読んでからもう一度第1章を読むと、更に味わいがあった。辻静雄は、いい人生を送った人だと心底思った。

美味礼讃
海老沢 泰久
416741404X

小6算数ドリル

 長男が、今日から小学6年生の算数ドリルに取り組む。小学6年生では、分数計算が一番大きなポイントとなる。分母が同じ分数の足し算、引き算は小学5年生の内容で扱うが、小学6年生では、異なる分母を持つ分数の足し算・引き算・掛け算・割り算が登場する。
 分数の通分の布石として、最初に公倍数の考え方を教え、練習させる。2つの数列について共通の要素を見据えさせる問題でもある。

 基盤となるのは、「割合」の考え方である。分数も、単位量あたりの数や割合と密接に関連しており、小学5年生の内容がベースになる。逆に、小学5年生の内容がきちんと身に付いていれば、小学6年生の算数については比較的学習しやすいと感じる。
 小学4年生・5年生の内容の定着は、以降の算数・数学の学習を大きく左右し、極めて重要である。

新課程学力ドリル算数 (小学6年生)
金井 敬之
4883133133

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