人体透視図鑑

 図書館で本やビデオを借り、帰ろうとして子どもに声をかけると、長男は隅で大きな本をじっと見ていた。随分借りたので、その大きな本を戻して帰ろうと言うが、長男が手から本を放す気配がないので、かさばって大変だと思ったが、仕方なく一緒に借りてくる。
 その「人体透視図鑑」を帰ってから見ると、これが実に緻密に描かれたイラストで、色違いの小さな人々が組織や免疫などの機能を表わすユニークな本であった。ページ数こそ少ないものの、その細かさは圧巻。吸い込まれるように見ていた長男は、そのイラストから、人体の神秘を子どもながらに感じとったのかもしれない。

人体透視図鑑
リチャード プラット Richard Platt Stephen Biesty
4751515675

なんたってモーツァルト

 砂川しげひさが、数々のイラストと共に送る、モーツァルトへのラブ・コール?
 肩肘はらず、軽やかにクラシックを楽むココロを伝えてくれる。どのイラストも見て思わず笑みがこぼれる、「音楽の冗談」満載のビジュアル・エッセイ。

なんたってモーツァルト
砂川 しげひさ
4487752132

百戦百勝

 「相場の神様」といわれた山崎種二をモデルにした小説。相場の世界というと、ギラギラした思惑渦巻く場という感じがあるが、この主人公はひたむきで憎めない。取り巻く人々にも愛着を覚え、読後感もたいへん良かった。
 関東大震災、226事件などの歴史的事件や、数々の仕手戦が描かれ、起伏に富んだ痛快な作品。城山三郎の暖かい眼差しを感じる。

百戦百勝―働き一両・考え五両
城山 三郎

採用の超プロが教える仕事の選び方人生の選び方

 採用コンサルティング業務を展開する株式会社ワイキューブの社長の著作。さらりと読めるが、就職活動に取り組もうとする学生さんなどには、参考になる部分もあるのではないか。

採用の超プロが教える仕事の選び方 人生の選び方
安田 佳生
4763195514

AKIRA

 近未来を描く、大友克洋のハイパーSFアクションコミック。あまたのSFを凌駕する世界観と緻密な描写に圧倒された。

Akira (Part1)
大友 克洋
4061037110

童夢

 大友克洋の名作「童夢」。この漫画に大学生の頃出会ったが、ページをめくるのがもったいないと思えるほど魅力を感じた。ごく普通のマンションに忍び込む非日常。空白すら意味を持つ独特のタッチ。読み手の心理に迫る強い力を持つ作品。

童夢
大友 克洋
4575930326

辛酸

 足尾鉱毒事件で国家と対峙した田中正造、その晩年と、死後その遺志を継いだ人々を描く、城山三郎の小説「辛酸」。
 この小説では、衆議院議員として華々しく活躍した田中正造ではなく、晩年、全ての財産や名誉を投げ打って鉱毒被害民と共に訴訟を続ける正造の姿を描いている。
 この作品が発表されたのは、昭和36年、まだ公害という言葉が耳慣れない時代であった。その当時、若干34歳で日本初の公害問題を取り上げ鮮やかに活写した城山三郎に感嘆を禁じ得ない。田中正造と苦労を共にする被害民の若者の視点から描くことにより、田中を客観的に捉えると同時に、被害の悲惨さも浮き彫りにされている。
 逆境の渦中にありながら、「辛酸入佳境」と書く田中正造のすさまじい生き様、そしてそれを受け継ぐ人々の苛酷な現実。淡々とした筆運びにもかかわらず、ずしっと重みのある本であった。

辛酸―田中正造と足尾鉱毒事件
城山 三郎

雄気堂々

 経済において近代日本の礎を築いた渋沢栄一の半生を描く城山三郎の小説。渋沢栄一は、埼玉の寒村に一農夫として生まれ、若き日は横浜焼き討ちなどを企てる尊皇攘夷の志士であった。やがて、幕末から明治維新という時代の動乱の中で多くの人々と出会い様々な経験を積み、経済人として最高の指導力を発揮するようになる。
 徳川慶喜、西郷隆盛、大久保利通、大隈重信など、国づくりに奔走する多くの人々との関わりが、実に興味深かった。そこには日本が新しく生まれ変わる混沌と初々しさがあり、わき上がる熱気が感じられる。
 渋沢の人間形成の過程と明治維新前後の近代日本の歴史を重ねることで、組織のあり方、組織を率いる人々のあり方を国づくりという大きな視野で示している。
 スケールの大きな、強力なリーダーシップを持つ人物が日本では一昔前に比べ、急激に減少していると言われている。どのような条件が本物のリーダーを育てるのかという視点からも示唆に富む、真に実のある作品。

雄気堂々〈上〉
雄気堂々〈下〉

白馬幻想

 「緑響く」-鮮やかな緑の森に囲まれた湖のほとりを、一頭の白馬が歩む絵。この絵と初めて出会った感銘は、今でも色あせることはない。
 東山魁夷が64歳、1972年に描いた18枚の連作「白い馬の見える風景」。清澄な風景と白馬が詩情を奏で、深く心にしみ入る作品。

白馬幻想―心の風景より
東山 魁夷
4938249707

コンコルド広場の椅子

 美術館で初めて涙を流したのは、東山魁夷館で「コンコルド広場の椅子」の一連の絵を目にした時であった。なんて詩情あふれる絵なんだろうと。

コンコルド広場の椅子
東山 魁夷
4763006029

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