ぐんま教育フェスタ

Festa22_01  群馬県総合教育センターで、「ぐんま教育フェスタ」が開催される。長期研修員36名、長期社会体験研修員7名による展示発表を中心に、特別研修員研究成果概要展示や、そば打ち体験、科学の実験・体験などの参加型コーナーなどが設けられた。

Festa22_02  現在の教育課題に関わる研修員の発表には、多くの来場者が強い関心を持ち、熱心に聞き入り、質問を投げかけていた。この発表そのものが、たいへん実のある研修になっている。

 午後には、大村はまの愛弟子であり、晩年を支えた苅谷夏子氏による講演「ことばが生きていた教室 -国語教師・大村はまが育てたもの-」が行われた。やさしく語りかけられるその内容は、言語活動の充実の本質に迫るものであった。大村はまが目指した、生きた言葉を使う力を育てることが、今あらためて求められている。

群馬県総合教育センター ぐんま教育フェスタ

評伝 大村はま

 「そうだ、やさしいことばでこそ、人の心のなかに入っていけるのだ、むずかしい理論、高い思想、深い感動を、みんなにわかるやさしい、平らな、なめらかなことばで伝えていかなければ、文化はみんなのものにならないのだ」

 98歳になるまで、国語教育に渾身で取り組み、多くの生徒たちを育てた大村はま。その教え子であり、晩年はまの仕事を支えた苅谷夏子氏が著した「評伝 大村はま」。
 大村はまの人格が形成され、国語教師として実践を重ね、多くの生徒の生涯に影響を与える授業を創り上げる過程を丁寧に描いている。
 日露戦争、関東大震災、太平洋戦争、戦後の混乱など、日本の近現代史を背景にしながら、大村はまの関わる人々や当時の学校の様子が生き生きと綴られ、物語としても惹き付けられ、飽くことがない。
 はまの学びや実践から、教育に対する様々な考え方が具体的に記され、極めて示唆に富む。
 平易な言葉で、するすると読むことができるが、実に多角的な視点で大村はまの人物と実践が語られ、内容はたいへんに深い。心にすんなりと言葉がはいってくる。この本そのものが、大村はまによる国語教育の成果とも言える。
 多くの感動と真の敬愛に満ちた、優れた教育書。

 なお、著者の苅谷夏子氏による講演会
「ことばが生きていた教室 -国語教師・大村はまが育てたもの-」
が、2011年2月5日、群馬県総合教育センターにおける「ぐんま教育フェスタ」で行われる。

群馬県総合教育センター ぐんま教育フェスタ

評伝 大村はま ことばを育て 人を育て (単行本)
苅谷 夏子

教えることの復権

 『この単元で教わったいちばん大事なことは、こつこつとした作業を確実に誠実に重ねていくと、ちゃんとある程度の仕事ができるということだった。…… このつつましくて誠実な仕事のこなし方は、国語という教科に限定されるものではなかった。学校の中にさえ限定されない。』

 「教えることの復権」は、大村はまの授業を通じ、教師の「教えること」を見つめ直した本。大村はまの教え子であった苅谷夏子が、その授業から得たものを伝える記述には心を揺さぶられた。優れた実践が、学ぶ側から実に豊かに描かれている。

 『学校という場は、すでにできあがった知識体系を、疑う余地も残さず、あたりまえの顔をして教えてしまう。立派な知識のお城を前に、生徒は萎縮した未熟な存在にならざるをえないところがある。ところが、この「ことば」という平易な、しかしやっかいなことばの分類をしてみたことで、私は、しゃんと背筋が伸びた気がしたわけだ。過去に知的遺産を築いた人々と同等の資格を持って、堂々と勉強を進める楽しさを教えられたのかもしれない。』

 本書の後半では、苅谷剛彦が大村はまの授業実践を基にして、「教えること」の意味を論じている。

 『大村の実践が示す「教えることの責任」とは、教師自身が自分自身の実践をどれだけ冷徹な目で誠実にチェックできるかどうかにかかっている。それも、授業の出来不出来というだけでなく、生徒たちにどのような具体的な力をつけることができたのかを、突き放して見ることができるかどうかなのだ。』 

 なぜ子どもたちを教えるのか。教育の根元的な問いかけを見つめ直すきっかけとなる本。

教えることの復権 (ちくま新書)
大村 はま 苅谷 夏子 苅谷 剛彦
4480059997

高校を変えたい!―民間人校長奮戦記

 民間のエンジニアから、三重県の公立高校の校長に公募によって転身した著者の奮戦記。民間と学校との違いにとまどい、経営手法を取り入れて変革しようとするが、なかなか思うにまかせない。その「壁」の様子と、現実に立ち向かう姿が赤裸々に綴られる。
 トップダウンでの改革であり、教職員全体のモチベーションを高めることには必ずしも成功していないが、豊富な経験に裏打ちされた行動力とバイタリティで突き進み、変わり始める様が描かれる。

高校を変えたい!―民間人校長奮戦記
大島 謙
4794213484

ぐんま天文台

G_tenmon01  ぐんま天文台に家族で行く。中学1年生の長男に、「職業調べ」の宿題が出たので、天文台の職員の方にインタビューをするため。
 車のライトで観測が妨げられないよう、駐車場からは600mの遊歩道を上って本館に行く。遊歩道入り口には「冥王星」の看板があり、上るごとに太陽系の惑星のプレートが立てられている。太陽からの距離に比例させて遊歩道においてあるようだ。「木星」は本館に随分と近い。

G_tenmon02  本館前広場には、英国の古代遺跡ストーンヘンジやインドの天体観測施設ジャンタル・マンタルを模したモニュメントが建ち並ぶ。山あいの地に突如現れる独特の景観には、ぐんま天文台にたどり着いたことを実感させられる。

G_tenmon03  昼前に着くと、水星の観測会が行われていた。65cm反射望遠鏡をのぞくが、雲があり水星は観測できなかった。望遠鏡の向きを変え、金星の観測になる。こちらは、半月形に浮かび上がる金星を見ることができた。

G_tenmon04_2  150cm望遠鏡は、普段は直接覗くことはなく、捉えた映像や電波をコンピュータで光学的に解析する。冷却装置の独特の音と共に偉容を感じさせられる

G_tenmon05  2時にインタビューをお願いしてあったので、それまでの時間に館内展示を楽しむ。太陽を円形の台に投影した展示があった。太陽の黒点もくっきりと見える。デジタルカメラで撮影をしたら、それ以降撮った風景の画像が真っ白になってしまっていた。ホワイトバランスの回路か何かがやられたようだ。長年使ったデジカメも、ついに壊れてしまった。太陽光線恐るべし。

 天文台の職員の方に、インタビューを受けていただいた。仕事の内容、なぜその職業に就いたか、どうすればなれるのか、仕事をする上での楽しみや苦しみなど、中学生の長男がするいろいろな質問項目に丁寧に答えてくださった。宇宙や天文に興味を持ってもらうための様々な取り組みが真摯になされている。夜間に及ぶ勤務、土日に休暇がとれないなど、ご苦労されていることも伝わってきた。子どもには、何より今は勉強をすることが必要と強調してくださったこともたいへんありがたかった。子どもにとっても、親にとっても貴重な経験を与えてくださったことに感謝している。

ぐんま天文台

カルロス・ゴーン経営を語る

 倒産の危機に瀕していた日産を、見事なリーダーシップで立ち直らせたカルロス・ゴーン。1999年、日産リバイバル・プランとして掲げた「初年度黒字化、有利子負債の半減、営業利益率の向上」を驚異的なスピードで成し遂げ、確実に成長路線へ転換させる大きな功績を残した。2011年には、日産は電気自動車でリードをしようとしている。
 カルロス・ゴーンへのインタビューを基に、自らの生い立ち、ミシュラン、ルノーの体験、日産の再建とその後のビジョンを記した本書は、企業経営について極めて示唆に富む。

 レバノン系でブラジル生まれ、フランス式教育を受け、世界中でビジネスを手がけたゴーンのコスモポリタンとしての生い立ちは、文化の多様性を受け入れる素地を作った。その体験は、提携した日産とルノーが企業文化の違いを乗り越え、相乗効果を発揮していくことに繋がる。グローバル化とアイデンティティの尊重を両立させることが、本書に横たわるテーマのひとつでもある。

 当時の日産の問題点を明確にし、解決の方向を示す記述には、その明快さゆえに心地よさすら覚えた。そして、クロス・ファンクショナル・チームを立ち上げ、部門の壁を取り払い、生産性の向上に組織全体で取り組むシステムを構築する様には、感銘を覚えた。事実から語られるゴーンの経営姿勢からは実に学ぶことが多い。

 2011年、日本はまだ長引く景気低迷から脱し切れていない。しかし、企業の真摯な姿勢や、先端技術への果敢な挑戦が、より形になって表れる年になる予感がする。

カルロス・ゴーン経営を語る
カルロス・ゴーン フィリップ・リエス
4532310857

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

 2010年、年間のベストセラーは「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」。 2010年12月現在で発行部数190万冊を越え、電子書籍版10万部を合算すると200万部を越えるミリオンセラーとなった。

 弱小野球部のマネージャーが、マネージャーの何たるかを求めてピーター・ドラッカーの「マネジメント」を読み、野球部の強化をはかる青春小説。すらすらと読める。家人が大晦日に買ってきたので、用事を足している隙に読んでしまった。

 高校生がドラッカーの著作に感銘を受け、そこから学び、実践しようとする姿がとても心地よく感じられた。このようなひたむきな姿勢こそ、今求められているものだと思う。
 情報はいくらでも手に入れられる社会になったが、それをどう生かすかは、個人の姿勢にかかっている。対象にしっかり向き合ってはじめて必要なものが得られる。斜に構えて見るのは簡単だが、それだけでは何も生まれない。

 本がミリオンセラーとなったのは、ライトノベル風の表紙や、主人公がAKB48の峯岸みなみをモデルにしているといった話題性、積極的な商品戦略などもあったろうが、中身が伴っての結果だと感じる。
 高校生が真摯に問題に向き合い、組織を変えていく姿は、多くの社会人にも共感をもって迎えられたのではないか。

 ドラッカーの考えの一端を、これほど分かりやすく示した本はないだろう。知の巨人、ドラッカーを世に広く知らしめたこの本の功績は大きいと思う。

 「学び」から「実践」へ。一歩を踏み出したいと感じさせる、爽やかな良書。

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら
岩崎 夏海
4478012032

いせさきサイエンス講座

Isesaki_sci01  群馬県総合教育センターで行われた「いせさきサイエンス講座」に家族で参加する。一階のロビーには、地元の企業である明星電気の宇宙・防災関連の展示がなされていた。

Isesaki_sci02  金箔で覆われた四角い箱のようなものがあり、子どもが「針であけたような穴があいているのはなぜですか?」と質問すると、明星電気の方が気体の膨張で破損するのを防ぐためと親切に答えてくれた。一見、小学生の工作のように見える物体だが、小型衛星の試作模型であり、宇宙マニア垂涎の的であったようだ。

Isesaki_sci03  はやぶさの成功に寄与した蛍光X線分光装置も、実際に手にとって見ることができた。また、地震情報ネットワークシステムの展示では、手でセンサーを揺らし、システムが感知する様を体感することができた。

Isesaki_sci05  講堂での講演では、明星電気品質保証本部長の田口孝治氏が、「伊勢崎から宇宙へ!惑星探査の世界」として、はやぶさをはじめとした惑星探査の状況と使われている機器について簡潔明瞭な説明をされていた。

Isesaki_sci06  また、県立ぐんま天文台長の古在由秀氏が「小惑星を探る」として、小惑星の現在知られている姿を子どもにも分かりやすく説明してくれた。
 主催は伊勢崎市教育委員会で、司会はプロのアナウンサーをやとったかと思うほど見事な口上と発声であったが、実際は市教育委員会の松本指導係長さんであった。伊勢崎市の人材の豊富さを感じさせられた。

Isesaki_sci04  様々な技術が社会を支え、未来を開いていくことを伝えるイベントになっていた。子どもたちに本物の技術を伝える意義は大きいと実感する。
 

いせさきサイエンス講座

明星電気

児童文学名作集

 児童文学の名作を、上川隆也が朗読するCD。「野薔薇」「魔法」「手袋を買ひに」「雪の下の木ねずみ」「手品師」の5編が収められている。上川の優しい語りが、繊細な作品の良さを素直に伝える。
 児童文学の表現の豊かさに、じっくりとふれることができる。「手袋を買ひに」の情景描写の見事さには特に感銘をおぼえる。

児童文学名作集
上川隆也
B0002RNB0M

青い鳥

 中学校の非常勤講師と、心に傷を負った生徒たちとの関わりを描いた重松清の連絡短編「青い鳥」。吃音の国語教師は、こどもたちにそっと寄り添い、大切なことを語る。
 心を受けとめることが、思春期にとってどんなに大事なことかを伝える書。

青い鳥 (新潮文庫)

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