群馬おもしろ科学展

kagakuten1  高崎高島屋の6階展示場で行われた群馬大学主催の「群馬おもしろ科学展」に家族で行く。様々な理科実験を体験できる。子どもたちは、鉱物標本にさわったり、コバルトのあぶり出しをしたり、分子模型を組み立てたりして楽しんでいた。

kagkuten2  モーターの工作教室にも参加させてもらった。エナメル線の上半分を紙 ヤスリで削ったものを2枚の磁石ではさみ、消しゴムとクリップの軸受けに置く。コイルを巻いて電池につなぐと、見事に 磁石がまわり、子どもたちも喜んでいた。

 群馬大学の学生さんは、親切に教えてくれ、子どもたちは良い体験ができた。学生さんにとっても充実感があったのではないか。日本は、技術立国としての地位を保つことが必要であろう。そのためには科学に興味を持つ層を厚くしていくことが不可欠と感じている。このような企画が数多くなされ、科学に接する機会が身近な場所で増えることも大切だと思う。

クライマーズ・ハイ

 1985年8月12日- 20年前のこの日、群馬県立万場高等学校で、就職希望者を対象にパソコン講座が開かれた。当時、まだ学校にコンピュータはそれほど普及しておらず、山懐に抱かれた普通科の高校で、生徒ひとりひとりがコンピュータに触れる機会はなかった。そこで、主に事務系を希望する3年生の生徒さんにコンピュータを体験させたいという思いで、企業からパソコンを借りて、6日間の日程で実習を行った。

 講座初日のこの日、自作したテキストに沿って生徒が夢中で取り組んでいる姿を見て、いい滑り出しになったことにたいへん気分を良くした。近くの教員宿舎に帰り、お酒を飲んでいると、サイレンの音やヘリコプターの飛ぶ音がやけに響き始めた。当時、教員となって1年目でテレビはおろかラジオすらもっていなかった。

 翌日、パソコン講座の会場にいくと、上野村からきている女子生徒さんたちが、昨日はたいへんだったねなどと話していた。「何がたいへんだったの?」と聞くと、「先生知らないの?昨日は飛行機が近くに落ちたので、お父さんたちもみんな山に行ったんだよ。」あわてて新聞を見て、墜落した航空機が524人を乗せていたことを知った。宿直室のテレビをつけると、一面緑の山中にできた傷痕、木々がなぎ倒され茶色い土と焦げた地面が見え、白煙のあがる墜落現場-御巣鷹の尾根が映しだされていた。

 この事故を新聞記者の立場で描いた「クライマーズ・ハイ」は、当時の世相や地元の様子を盛り込んでいることもあり、たいへん興味を持って読み進むことができた。

 新聞記事をめぐり、社内の確執が大小様々な形で起こる。しかも、新聞には「締切り」という、決断を下す刻限が毎日ある。そのため、独特の緊迫感を持った展開になっている。

 群馬県は、県境の半分が屹立した山である。自分にとって、山は身近なものであると同時に、憧れと安心、また時に畏怖の念を抱かせてくれ、乗り越えるべき対象の存在を象徴していた。クライマーズ・ハイは、そんな心象としての山も描かれており、救いのある読後感であった。

クライマーズ・ハイ (文春文庫)

MuPAD

 MuPAD について最初に知ったのは、土基善文氏の「xのx乗のはなし」という本であった。現代数学社の「理系への数学」誌に書評を載せるために読んだのだが、その中にMuPADの図が描かれていた。教育関係であればフリーに使えるということに惹かれた。自分は、Mathematicaを10万円以上出して買ったため、同様の機能があってフリーというのは、いろんな意味でたいへんなことであった。
sinrot  MuPADは、優れた数式処理システムであり、フリーのLight版は、インターフェースこそ貧弱であるが充分利用価値のあるソフトである。
 MuPADを解説した日本語の書籍は、1年前までは赤間世紀氏の「はじめてのMuPAD―MuPAD Pro2.0 for Windows」しかなかったが、昨年末に、生越茂樹氏の「基礎からのMuPAD」が出版された。同氏のサイト「高校生のためのMuPAD」が基になっている。例題も豊富で、数学に興味を持つ高校生にとっても、刺激を受ける部分が多いと思う。プログラミングは、おそらくスペースの関係で掲載できなかったのであろうが、その入り口でも触れてあれば、よりベターかと感じた。
 数式処理を手だてとして、数学で様々な表現を試みる環境ができ、数学に関心を持つ層が厚くなっていくことを切望している。

4777510840 基礎からのMuPAD
生越 茂樹

453560844Xxのx乗のはなし
土基 善文

数式処理

logob  高等学校の先生を対象に、数式処理の講義を行う。まず、日本語版LOGOである「ロゴ坊」を紹介する。

 くりかえせ 4 「まえへ 100 みぎへ 90」

で四角が書ける。同様に、三角形など、他の図形を書くことを試みてもらう。そして、円は、どうすれば書けるかを考えてもらう。

 くりかえせ 360 「まえへ 1 みぎへ 1」

のような命令で描けることを、こちらから教えるのではなく、子供たちが自分で考えていくことが重要である。自分で描き方が見つかれば、円は正多角形の極限であることが自然と捉えられるであろう。また、タートルは常にその瞬間に向かう方向を示している。円が描けた後で、前に進ませれば、それは接線の方向を表している。つまり、タートルの存在そのものが微分概念を内包しているのだ。このように、LOGOは、数学の概念形成につながることを伝える。

 次に、数式処理ソフトの紹介をする。
   factor(a^2-b^2)
と命令すると、aの2乗マイナスbの2乗を因数分解し、
   (a-b)(a+b)
と出力してくれる。

 以前、自分はMathematicaを用いて高校数学を学ぶ本「Mathematicaでトライ! 試して分かる高校数学」を現代数学社から出版し、その内容を高校の授業で実践したことがある。

 今回は、教育機関では無料で利用できる数式処理ソフトMuPADを用いて、試行錯誤的に数学を学ぶ課程を、高校の先生方に体験してもらった。自ら数式処理という新しい内容を、テキストに沿って個別に学ぶことで、従来の例題の解法を示し類題を解かせるという形とは違った方法を体験し、それを授業づくりに生かしてもらうことにした。試行錯誤を取り入れた数学の授業の指導案を作成してもらい、1日の講義と演習を終えた。
 各人ごとに課題を持ち、探求していけることが、数式処理ソフトのよさだ。

試して分かる高校数学―Mathematicaでトライ!
大塚 道明
4768702872

マインドストーム

 「まえに 100 みぎに 90」 と命令すると、画面上の亀が動き、その軌跡が図形になっていく、LOGOという学習ソフトがある。LOGOは、この亀(タートル)の動きによって、様々な体験をすることで、数学の概念が習得できることをねらっている。「マインドストーム」は、一見単純なこのソフトが開発された背景を、開発者であるマサチューセッツ工科大学のシーモア・パパート自身が述べている本である。

 1980年の著作であり、日本語の訳本も1982年に出版され、20年以上を経ているが、その内容は、今なおコンピュータと子供との関わりについて大きな示唆を投げかけている。逆に、今だからこそ、数学教育を考える際により重要となる内容が含まれている。

マインドストーム―子供、コンピューター、そして強力なアイデア
シーモア パパート Seymour Papert 奥村 貴世子
4624400437

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