ピーター・セラーズの遺作となった1979年のコメディ映画「チャンス」。
庭師であったチャンスは、当主の死によって都会にさまよい出る。ふとしたきっかけで大物実業家と懇意になり、本人の意志と無関係に重要人物になっていく。
ニーチェの「ツァラトゥストラはかく語りき」を下敷きにした、静謐なコメディ。
無名な男が、大統領の替え玉にされるコメディ映画「デーヴ」。ドタバタあり、ロマンスありの中でアメリカの良心を描く、実にアメリカらしい作品。
庶民への目線を大切にする点など、「民王」のモチーフと同一の点が多い。
ドラマ「民王」最終章では、首相指名選挙をめぐる攻防が描かれる。
政治を舞台にしたコメディは傑作が多いが、それは面白さを追求すると共に、作り手が理想の政治を描きたいという思いをもって臨んでいるからであろう。このドラマも、俳優やスタッフが楽しんで作りつつも、一途な思いが感じられる作品であった。
総理の息子役の菅田将暉が、思いっきりのいい演技で楽しませてくれた。山内圭哉、本仮屋ユイカ、知英などが個性豊かなキャラクターを演じ、彩りを与えてくれた。特に、公設秘書役の高橋一生がクールな存在感を示し、物語の魅力を高めていた。
気軽に見られ、なおかつ明日への希望を与えてくれる良質なコメディであった。
ドラマ「民王」第七章は、「謀反」。倒れた息子を救うため、脳波を捜査して入れ替わりを強行しようとするが…。
シリアスなシーンが多く、初期のコメディとしての楽しさが薄れた感がある回。多くのドラマと同じように、最終回の前は寂寥感が漂う。
ドラマ「民王」第六章は、「暗殺」。脳波ジャックの犯人に公安は近づいていくが、総理はスナイパーにねらわれる。
ミステリーの趣きをもちつつ、物語は終盤になだれ込む。
ドラマ「民王」第五章は、「革命」。コメディの形をとりながらも、フリースクールの視察、農業ビジネスの面接など、現代社会の課題を切り口としたストーリーになっている。
ドラマ「民王」第四章は、「盟友」。官房長官、狩屋のスキャンダルが明るみに出て、総理は決断を余儀なくされる。
官房長官を演じる金田明夫が良い。この人が画面に出ると、昭和の映画の雰囲気がただよい落ち着く。
ドラマ「民王」第三章は、「政敵」。総理大臣と息子との入れ替わりに、最先端の科学技術が用いられているという情報がもたらされる。
総理の息子は、入れ替わったまま、党首討論に臨むが…。
まさに、総理大臣は、「民の王」たれとのメッセージがこめられていた。登場人物の個性が交錯し、まとまりの良い回。
ドラマ「民王」第二章は、「外交」。総理大臣に入れ替わった息子は答弁で漢字が読めず、未曾有の危機を迎える。そんな最中、レアメタルを産出する国の大統領が訪日する。レアメタル輸入のために、なんとかおもてなしで外交を成功させたいが…。
総理大臣本人と息子が入れ替わるという、荒唐無稽な設定であるが、そこは池井戸潤。経済問題もからめ、部分部分でリアルさを出している。
ラストはほろりとさせられる好編。
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