黒革の手帖 1
松本清張の小説を原作とする2004年のドラマ「黒革の手帖」。銀行の架空口座からの横領で1億2千万円を手に入れた銀行員原口元子は、銀座にクラブを開店する。
米倉涼子が銀行員からクラブのママになるしたたかな女性を演じる。ライバル釈由美子、クラブの客として小林稔侍、柳葉敏郎など個性的な面々が次々登場し、片時も目が離せない展開となっていた。
松本清張の小説を原作とする2004年のドラマ「黒革の手帖」。銀行の架空口座からの横領で1億2千万円を手に入れた銀行員原口元子は、銀座にクラブを開店する。
米倉涼子が銀行員からクラブのママになるしたたかな女性を演じる。ライバル釈由美子、クラブの客として小林稔侍、柳葉敏郎など個性的な面々が次々登場し、片時も目が離せない展開となっていた。
銀行の横領、恐喝で財をなし銀座のクラブを経営する主人公元子は、次なる標的を定める。
女性の野望をサスペンスフルに描いたピカレスク・ロマンの傑作。
松本清張の「黒革の手帖」は、元銀行員が銀座のママに転身し、地位のある男たちを手玉にとる小説。
銀行業務や経理に通じた女性が銀座のママとして客につけいるという設定が巧みで、裏事情を明るみに出す舞台装置が見事に構築されている。
上巻では、主人公と病院長とが対峙するシーンが圧巻。リアリティが実に周到なタイミングで炸裂する。
読み進むほどに凄みが増していく傑作サスペンス。
2019年を舞台にしたSF映画「ブレードランナー」の続編。前作の世界観を継承しつつ、より大きなテーマを内包して物語は進む。
荒廃した世界であり、映像は終始暗い。その中での造形美を追究している。
詩情のある重厚なSF映画。
機関士とその家族を描いた映画「大いなる旅路」。蒸気機関車の力強さとそれを支える人々の気骨が軸となり、悲喜こもごもの人生をじっくりと綴っていく。関川秀雄監督、新藤兼人脚本による1960年公開作品。
三國連太郎は20代から50代を見事に演じきっており、その役者魂を見るだけでも価値がある。高倉健が秀明な青年を演じており、フレッシュな印象を受ける。
静かな感動を与えてくれる名編。
ニーチェの「ツァラトゥストラはかく語りき」を、漫画で表現した作品。サッカー少年の成長物語を、ニーチェの箴言を含めて描く荒技。
「神は死んだ」の歴史的背景なども解説されており、教養書としても面白い。
受験勉強中の次男が読み、「獅子のように生きなければ」と語っていた。来年の飛躍を願う。
ショーペンハウアーの「自殺について」を漫画で表現した作品。まんが学術文庫シリーズ「幸福について」の続編にあたる。今回も個性的なキャラクターを配し、ストーリー仕立てでショーペンハウアーの思想をやさしく語りかける。
漫画の多彩な技法を用い、すらすらと読ませてくれる。日本の漫画文化の深さをも感じさせてくれる好著。
自殺について (まんが学術文庫)
ショーペンハウアー 伊佐義勇
松岡圭祐の小説「ミッキーマウスの憂鬱」は、東京ディズニーランドを舞台にした小説。
ディズニーにあこがれ、準社員となった若者の成長を描く。夢の王国を支える人々の思惑と矜持が渦巻くドラマ。バックステージのリアルな描写が興味深い青春物語。
中国の兵法書「三略」の内容をレコード会社に出向した社長を中心に表現した漫画。これも池井戸潤の小説や弘兼憲史の「島耕作」シリーズみたいであるが、「六韜」よりも説得力が感じられた。脚本のリアリティの差であろう。
古典の力を借りた再生というテーマは、現代社会のニーズに合致している。
中国の兵法書「六韜」の言葉を、現代の銀行を舞台に実践した様を描いた漫画。主人公は、謀略を用いて行内を変えようとする。
手段を選ばず突き進む主人公の姿が力強い。しかし、池井戸潤の小説やドラマのようになってしまい、さらりと読めるが肝心の古典の深みはあまり伝わってこなかった。登場人物が皆あまりに刹那的すぎる。
学術書の漫画化の難しさを感じさせてくれた書。
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