国家の命運
2010年に外務事務次官を退任するまで40年近く国際舞台で交渉にあたってきた藪中三十二氏の著作「国家の命運」。
日米構造協議、六ヶ国協議などの生々しいやりとりは興味深い。しかし、内容は極めて理知的であり、暴露本などとは違い品性を感じさせられる。
また、国際社会で難航する交渉にあたってきた経験を踏まえ、衰退する日本が転回する方策をロジカルに示している。
交渉のあり方と日本のとるべき道を明瞭に示した書。
国家の命運 (新潮新書)
薮中 三十二
2010年に外務事務次官を退任するまで40年近く国際舞台で交渉にあたってきた藪中三十二氏の著作「国家の命運」。
日米構造協議、六ヶ国協議などの生々しいやりとりは興味深い。しかし、内容は極めて理知的であり、暴露本などとは違い品性を感じさせられる。
また、国際社会で難航する交渉にあたってきた経験を踏まえ、衰退する日本が転回する方策をロジカルに示している。
交渉のあり方と日本のとるべき道を明瞭に示した書。
国家の命運 (新潮新書)
薮中 三十二
ケビン・コスナーが監督・主演した映画「ダンス・ウィズ・ウルブス」。大草原の目も覚めるような自然をバックに、白人とインディアンの確執を主軸とし、壮大な物語が繰り広げられる。
大自然の美と人間の尊厳を素直に感じさせてくれる名画。
「真夜中の弥次さん喜多さん」などで知られる漫画家、しりあがり寿による「マンガ入門」。
他の漫画家が著した入門書と異なるのは、著者が社会人を長く経験したことによる。キリンビールに13年間勤め社会人と漫画家の二足のわらじを長くはいた。そのため、「売れる」ということに対する意識が強く感じられ、社会性が漫画にも求められるという視点がきちんと書かれている。
一方で、その社会性を否定し、表現したいものを追い求めることの重要さも静かな筆致の中にも熱く語られている。そのため、他の漫画入門とは違う現実的な視点を与えてくれる。
漫画を書く人のためというより、漫画人の姿勢を語った本であり、社会と漫画の接点を冷静に見つめた本である。哲学的な気風をもった著者ならではのそこはかとない示唆と不思議な諧謔に満ちた書。
マンガ入門 (講談社現代新書)
しりあがり 寿
童門冬二の「江戸の怪人たち」は、歴史に埋もれた魅力的な人々を掘り起こし、生き生きと描いた作品。
「鼠小僧次郎吉」の義人像を打ち破る描写、「大野弁吉」の瞠目すべき科学性と先進性、書家「岡田正恵」の惻々と胸に残る生き様など、印象に残る列伝が多い。江戸期の豊潤さを伝える書。
江戸の怪人たち (集英社文庫)
童門 冬二
「ふるさとの昔話」を現地の言葉で録音したCDの群馬県版。
北部を中心に、多くの民話が口承されてきたようだ。ご飯を食べないように口のない嫁をもらったら、実は主人の居ない間に髪のまげの中におむすびを放り込んでいたという、シュールな話や、「羽衣伝説」と「ジャックと豆の木」を混ぜたような話など発想の豊かな物語など多彩な民話があり楽しめる。
また、「舌切りすずめ」「ネズミの嫁入り」「たのきゅう」のように、全国に分布する有名な話も聴ける。現地の方々の語りがたいへん味わい深い。
昔話ふるさとへの旅【群馬】
日本の昔ばなし 木暮安太郎 相京やへ 市原悦子 林義明 冨沢ちよ
太平洋戦争前後の政治に深く関わった白洲次郎。その波乱の生涯を、陰影のある美しい映像で描いたNHKのドラマ。
近衛文麿、吉田茂のブレーンとして活躍した白洲次郎を、伊勢谷友介が気骨あるジェントルマンとして見事に演じる。この上なくスタイリッシュで背広が似合い、自然な英語で英米の人々と対等に論を闘わせる。この人なくしては、この作品はできなかったであろう。
白洲正子を中谷美紀が娘時代から晩年までを演じる。美の求道者としての晩年のシーンは、心にしみいる清冽さがある。
近衛文麿を岸部一徳、吉田茂を原田芳雄が演じているが、戦争シーンがほとんどないにも関わらず、国を預かる彼らの台詞や表情が時代の雰囲気を如実に表していた。
白洲夫妻が共にこだわり抜いた自らの生き様に、スタッフが共感し徹底的に製作のこだわりを見せた作品。
苦境に立たされたイタリアン・レストランを再建するOLの奮闘を通し、マーケティング理論を伝える本。スラスラ読めるが、マーケティングのエッセンスが極めて分かりやすく記されている。ライト感覚であるが、一貫性と具体性を兼ね備えた強みを持った本。
1856年、ニカラグアの大統領となり、独裁的な政治を行ったウィリアム・ウォーカーをモデルとした映画。痛烈な社会風刺を含んだブラック・コメディ。エド・ハリスがウォーカーをシャープに演じる。
1973年に刊行され大ベストセラーとなった小松左京の「日本沈没」を、同年に制作、公開した映画。わずか4ヶ月の製作期間であるが、脚本、演技共に堂々たる日本映画である。
とぎれない緊迫感、名優の熱演で、最後まで引き込まれる。特に、首相としての苦悩を丹波哲郎が実によく演じていた。
マントル対流による沈没のメカニズムを解説する学者役に、東大教授であった竹内均がそのまま演じている。子どもはこのシーンを繰り返し見ていた。地球物理学への関心を高める映画としても価値があったのではないか。
日本沈没を予見する田所博士を、小林桂樹が捨て身の熱演をしており、印象に残る。小林桂樹は2010年9月に亡くなられたが、田所博士のような一途な演技は、現在の日本の映像界では大変貴重だとつくづく思う。
日本沈没 [DVD]
小松左京
2006年に公開された映画「日本沈没」は、1973年の映画に比べ特撮は力が入っているが、人間ドラマや緊迫感は遠く及ばない。何より、1973年版は丹波哲郎演じる首相をはじめ、為政者の苦悩が前面に出ていたが、2006年版はそれがあまりに希薄になっている。あくまで樋口真嗣監督によるエンターテイメント作品。
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