ジャンヌ・ダルク

 リュック・ベッソン監督「ジャンヌ・ダルク」は、徹底したリアリズムで描かれた大作。ミラ・ジョボヴィッチが、美貌をかなぐり捨てて鬼気迫る演技。攻城シーンのリアルな迫力は圧巻。

ジャンヌ・ダルク
リュック・ベッソン
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篤姫 48

 NHK大河ドラマ「篤姫」第48回は、「無血開城」。勝海舟と西郷隆盛の会談を軸に描かれる。NHK「篤姫」のサイトでは、時代考証の大石学さんの解説で、大奥が官軍との和平交渉に多大な役割を発揮したことが記されている。ドラマでの勝と西郷の会談でも、そのことが簡潔な形で示されていた。
 小澤征悦演じる西郷隆盛は、やや気の弱そうな感じを受けていた。今回の会談シーンを成立させるためのには、あまり威圧感がある役者より、小澤征悦のようなキャラクターが適していたのかもしれない。

NHK大河ドラマ「篤姫」

中島敦 李陵 (新潮CD)

 中島敦の小説「李陵」を、日下武史が朗読したCDを聴く。漢の武帝の時代、北方の匈奴と戦い、捕らえられた李陵を中心に、その行いを弁護して武帝の怒りにふれ宦官にされた司馬遷、北方の地で孤高を保つ蘇武の姿を描く名作。
 その格調高い文が、日下武史の深みのある朗読でいっそう際だつ。その韻律にずっと浸っていたいと感じる。まさに、聞き惚れるとはこのことか。李陵、司馬遷の生き様に、普遍的な人間の価値を見る思いであった。

李陵 (新潮CD)
中島 敦
4108301765

レッド・クリフ PARTⅠ

 三国志「赤壁の戦い」を圧倒的な量感で描くジョン・ウー監督の映画「レッド・クリフ」。エンターテイメントに徹して作られているので、そのように見れば楽しめる。岩代太郎の音楽が見事に盛り上げている。
 曹操と劉備に、もっと重みが欲しいと感じたが、金城武の諸葛亮孔明は意外と悪くない。
 次々と繰り出されるアクション、大規模な戦闘シーンが堪能できる巨編。

レッドクリフ Part I スタンダード・エディション [DVD]
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明治の人物誌 星新一

 ショート・ショートの名手、星新一が、父と関わりのあった明治の人物を描いた評伝。「中村正直」「野口英世」「岩下清周」「伊藤博文」「新渡戸稲造」「エジソン」「後藤猛太郎」「花井卓蔵」「後藤新平」「杉山茂丸」の10人の生涯が、父との交流も含めて語られる。
 簡潔な文章で平易に語られているが、密度が実に濃い。一編一編が、長編一つ分の内容を持つ。しかも、父親との交流や関わりのあった人たちであるためか、冷静な筆致の中にも暖かみが感じられ、血の通った文章になっている。
 野口英世が日本に凱旋する費用を出したのも、星製薬の社長であった星一であるなど、通常の伝記にないエピソードも書かれている。

 中村正直の章では、その訳書「西国立志編」(スマイルズの「自助論」)にふれ、次のように記している。
 「やむなく働かされてきた日本人の勤勉性を、自発的な勤勉性へと切り換える役目をも果たした。明治以降の近代化の歩みの引金となったのが、この『西国立志編』だと言っていいと思う。これがなかったら、産業がつぎつぎに興ったかどうか。」
 このように、さらりとした言葉で本質をすくい上げる。

 どの人物伝からも、明治時代の人々のスケールの大きさ、考え方の柔軟さ、寛やかさ、破天荒さなどに圧倒される。気骨のある精神をスマートな文体で示した、読みやすくも含蓄のある本。

明治の人物誌 (新潮文庫)
星 新一
4101098506

中国の歴史〈2〉秦の始皇帝と漢の武帝 (集英社版・学習漫画)

 集英社の学習漫画「中国の歴史」第2巻では、秦の始皇帝の誕生から、項羽と劉邦の戦い、武帝の親政、後漢の光武帝までが扱われている。漢文にもよく登場する箇所。当時の様子が、漫画によって鮮やかに描かれている。

中国の歴史〈2〉秦の始皇帝と漢の武帝―秦・漢時代 (集英社版・学習漫画)
春日井 明
4082482024

篤姫 32

 NHK大河ドラマ「篤姫」第32回は、「桜田門外の変」。
 去る人あれば来る人あり。幾島が篤姫の元を辞した後、北大路欣也演じる勝麟太郎、後の勝海舟と面会する。やはり、名優の登場は画面が締まる。さらに、ジョン万次郎との再会。明るさのほの見える時間。
 篤姫と井伊直弼と茶を介して心を通わすシーンは、じっくりと見応えがあった。
 「桜田門外の変」により歴史は変化を速めていく。

NHK大河ドラマ「篤姫」

管仲

 「管鮑の交わり」-互いに尊敬しあい、理解しあう理想的な交友を示す故事成語だが、宮城谷昌光の小説「管仲」は、この語の元となった管仲と鮑淑の友情を2人の若き日から描いている。幾多の悲運に出会う管仲と、管仲を尊敬し、陰に陽に支える鮑淑の姿を軸として、人としてのあり方、政のあり方が様々な形で示される。
 大小の国々が複雑な利害関係を持ち、治乱興亡を繰り返す中国の春秋時代を舞台に展開される、鋭い人間洞察が全編を貫く物語。

管仲 上 (文春文庫)

管仲 下 (文春文庫)

晏子 4

 宮城谷昌光の歴史長編「晏子」では、晏弱の凛質が晏嬰に受け継がれる様が見事に描かれている。
 晏弱・晏嬰父子を光とすれば、全巻を通して登場し節目節目で重要な役割を果たす崔杼は、影として対比できる。国家を支え万人から喝采を受けるような晏弱・晏嬰父子の活躍の裏で、崔杼はまた違った形で国造りに情熱を注ぐ。この崔杼をはじめ、晏子を取り巻く多くの人々の巧みな人物描写により、奥行きがあり陰影に富んだ物語となっている。
 激動の時代を懸命に生きる人々の姿を通し、真の宰相の在り方を浮き上がらせた名作。

晏子(四) (新潮文庫)

晏子 3

 中国の春秋時代、斉は晋を中心とする連合軍に都まで攻め込まれた。その戦火の最中でも、晏嬰は、古礼に則った喪中を貫く。戦乱、政変が絶えない斉の国において、一途に人の道を示す晏嬰の凛乎とした姿勢は変わることがなかった。転変と普遍の対比が鮮やかな第3巻。

晏子(三) (新潮文庫)

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