晏子 2

 戦雲渦巻く中国の春秋時代を描く「晏子」第2巻では、智将、晏弱が目の覚めるような活躍をする。特に、兵五千で、敵将王湫の束ねる一万の精兵と激突する莱での攻防戦が実におもしろい。虚々実々の駆け引き、遠大な戦略が、第2巻の半分にわたって繰り広げられる。しかし、長さは感じず、次々とページをめくらずにはいられない。
 清新な文章と心地よいリズムのある展開で、爽風を受けるがごとく読む喜びを感じる。

晏子(二) (新潮文庫)

晏子 1

 紀元前6世紀、中国の春秋時代、斉の国を支えた晏弱・安嬰父子の生涯を描く宮城谷昌光の小説「晏子」。大小の国々が乱立し、兵馬が行き交い、中国の版図は刻々と変化していた。大国斉も、晋との関係が悪化し、激突がさけられない状況にあった。
 この不安定な政情下、晏弱の知謀と凛質がひときわ輝く。読み進むうちに、晏弱の言動に引き込まれていく。
 多士済々な人物の登場と起伏に富んだ物語により、否応なく春秋の世界にいざなわれる第1巻。

晏子(一) (新潮文庫)

絵で見るある町の歴史

 川べりのある町を、時代ごとに描いたユニークな絵本。石器時代から始まり、鉄器時代、ローマ時代、バイキングの来襲、中世、産業革命など、14の時代に渡って同じ町が定点観測される。スティーヴ・ヌーンの稠密な絵により、それぞれの時代にすっと誘いまれ、人々の営みや時代の移り変わりを感じとることができる。

絵で見るある町の歴史―タイムトラベラーと旅する12,000年
アン ミラード Anne Millard Steve Noon
437800108X

世界遺産 マチュピチュ遺跡 クスコ

 TBSによる世界遺産のビデオ「マチュピチュ遺跡II/クスコ市街」を見る。2,200mを越す山の頂上にある「空中都市」マチュピチュ、その壮大な景観は圧巻。斜面に広がる段々畑の土壌からは、トウモロコシ、ジャガイモなど多くの植物の花粉が採取され、農業試験場の役割も果たしていたと推測されている。
 インカ帝国の首都であったクスコは、16世紀、スペインに侵略された。インカ帝国が築いた「カミソリの刃一枚通さない」精巧な礎石の上に、スペイン風の建物が建設され、両文化が融和した独特の街並を形づくっている。

世界遺産(39)「マチュピチュ遺跡II/クスコ市街」(ペルー)
鳥山雄司 緒方直人
B00005HQDG

孟嘗君 5

 中国戦国時代、民から慕われた宰相として名高い孟嘗君を描く宮城谷昌光の小説は、文庫本5巻で完結する。
 この長大な小説で、孟嘗君が宰相として活躍する部分は意外に短い。しかし、その前の分量の多さが、この小説の真価でもある。名宰相が生まれるまでの、人々との出会い、様々な人物の生き様が、変化に富んだストーリーの中で見事に編み上げられているからである。
 特に、孟嘗君の育ての親、白圭の行動は、「義人」という現代では忘れ去られた感のある生き方を示している。それも、爽やかな風にふれるような心持ちで読ませてくれる。
 国同士が互いに知力と武力を駆使してせめぎ合う戦乱の世に、凛とした生き方を貫いた孟嘗君の生涯は、一つの理想像と言える。
 国を統べる人格を、波瀾に満ちた物語の中に練達の筆で活写した歴史ロマン。

孟嘗君(5) (講談社文庫)
宮城谷 昌光

時の迷路

 歴史考証イラストの専門家、香川元太郎氏による迷路の絵本。恐竜時代、古墳時代、平安時代、江戸時代などの風景が迷路になっている。緻密なイラストで、各時代の雰囲気が伝わってくる。隠れアイテムや、だまし絵などがあり、楽しみながら時代の流れを感じることができる。

時の迷路―恐竜時代から江戸時代まで
香川 元太郎
4569685323

孟嘗君 4

 治乱興亡が激しい中国戦国時代、田文、後の孟嘗君は、諸国を巡りながら様々な人との出会い、体験を積み重ね資質を高めていく。そして、人の長所を認め、活かしていく凛質が随所に現れていく。動乱の世、人々の生き様が田文を軸にくっきりとした輪郭で浮かび上がる。

孟嘗君(4) (講談社文庫)
宮城谷 昌光

エリザベス ゴールデン・エイジ

 ケイト・ブランシェット主演の映画「エリザベス ゴールデン・エイジ」。稠密な絵画のような豪華なセットがすごい。女王の気品と苦悩を見事に表現したケイト・ブランシェットの演技が素晴しい。
 スペイン無敵艦隊との戦いは、三国志の「赤壁の戦い」のようであった。
 エリザベス王朝の雰囲気を光と影の交錯する巧みな映像で表現した歴史絵巻。

エリザベス : ゴールデン・エイジ [DVD]
B0019R0XIW

孟嘗君 3

 中国の戦国時代を舞台にした、宮城谷昌光の「孟嘗君」第3巻を読む。各国の動きが活発になり、登場人物が歴史のうねりの中でそれぞれの美質を発揮していく。知力のせめぎ合いが国を変えていく激動の巻。

孟嘗君(3) (講談社文庫)
宮城谷 昌光

西郷隆盛

 明治維新を成し遂げた西郷隆盛の生涯を息子の音読でたどる。NHKの大河ドラマで「篤姫」が放送されるので、今回はそれにちなんで鹿児島が生んだ偉人を選んだ。毎日一章ずつ読み、一ヶ月かからずに読み通せた。

 島津斉彬に見いだされ、藤田東湖、橋本左内など優れた人物と出会い、多くの人と交わり人望を高めていく。斉彬公亡き後、僧月照と入水自殺をはかる。島津久光にうとんぜられ、島流しとなり苦境の日々を送るが、その人望ゆえに京で薩摩藩の中心となり活躍する。戊辰戦争では、勝海舟との会談に応じて江戸を戦火から救う。維新後、請われて明治政府に入るが、征韓論で大久保利通と袂を分かち、鹿児島の野に下る。士族の反発を抑えきれず、やがて西南戦争に担ぎ出される。誠に私心を棄てて事に当たり、義を貫く生涯であった。

 幕末の動乱と維新直後の混乱を描くには、さすがにページ数が足りない。平易に記す努力はされているが、子どもには読んでいて意味の分からない語句が多かったようだ。それでも、「西郷さんの心根の強さがすごいと思いました。」と感想を書いていたので、人物の偉大さは伝わったようだ。
 勝海舟も「氷川清話」の中で、「至誠の人」として、西郷の人物の大きさを讃えている。
 「敬天愛人」、西郷隆盛の生き様は、生涯にわたり刺激を与え続ける。

西郷隆盛―明治維新の功労者 (講談社火の鳥伝記文庫 (26))
福田 清人
4061475266

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