ドラマ クライマーズ・ハイ 前編
NHKで放映された「クライマーズ・ハイ」前編。横山秀夫の原作に忠実で、日航機墜落を追う新聞社の動きが、緊迫感をもって描かれている。主人公を佐藤浩市をはじめ、新聞記事に携わる人々を、存在感のある俳優たちが競演し、見応えのある人間ドラマとなっている。ニュース映像や、記者の表現から1985年の日航ジャンボ機123便墜落の大惨事がまざまざと思い出された。
報道というテーマを軸に据え、様々な人間関係が縦横に描かれる実に密度の濃いドラマ。
NHKで放映された「クライマーズ・ハイ」前編。横山秀夫の原作に忠実で、日航機墜落を追う新聞社の動きが、緊迫感をもって描かれている。主人公を佐藤浩市をはじめ、新聞記事に携わる人々を、存在感のある俳優たちが競演し、見応えのある人間ドラマとなっている。ニュース映像や、記者の表現から1985年の日航ジャンボ機123便墜落の大惨事がまざまざと思い出された。
報道というテーマを軸に据え、様々な人間関係が縦横に描かれる実に密度の濃いドラマ。
1985年8月12日- この日、群馬県立万場高等学校で、就職希望者を対象にパソコン講座が開かれた。当時、まだ学校にコンピュータはそれほど普及しておらず、山懐に抱かれた普通科の高校で、生徒ひとりひとりがコンピュータに触れる機会はなかった。そこで、主に事務系を希望する3年生の生徒さんにコンピュータを体験させたいという思いで、企業からパソコンを借りて、6日間の日程で実習を行った。
講座初日のこの日、自作したテキストに沿って生徒が夢中で取り組んでいる姿を見て、いい滑り出しになったことにたいへん気分を良くした。近くの教員宿舎に帰り、お酒を飲んでいると、サイレンの音やヘリコプターの飛ぶ音がやけに響き始めた。当時、教員となって1年目でテレビはおろかラジオすらもっていなかった。
翌日、パソコン講座の会場にいくと、上野村からきている女子生徒さんたちが、昨日はたいへんだったねなどと話していた。「何がたいへんだったの?」と聞くと、「先生知らないの?昨日は飛行機が近くに落ちたので、お父さんたちもみんな山に行ったんだよ。」あわてて新聞を見て、墜落した航空機が524人を乗せていたことを知った。宿直室のテレビをつけると、一面緑の山中にできた傷痕、木々がなぎ倒され茶色い土と焦げた地面が見え、白煙のあがる墜落現場-御巣鷹の尾根が映しだされていた。
この事故を新聞記者の立場で描いた「クライマーズ・ハイ」は、当時の世相や地元の様子を盛り込んでいることもあり、たいへん興味を持って読み進むことができた。
新聞記事をめぐり、社内の確執が大小様々な形で起こる。しかも、新聞には「締切り」という、決断を下す刻限が毎日ある。そのため、独特の緊迫感を持った展開になっている。
群馬県は、県境の半分が屹立した山である。自分にとって、山は身近なものであると同時に、憧れと安心、また時に畏怖の念を抱かせてくれ、乗り越えるべき対象の存在を象徴していた。クライマーズ・ハイは、そんな心象としての山も描かれており、救いのある読後感であった。
ドラキュラは娘を男手一つで育て、トランシルベニアのホテルを建設する。娘の118歳の誕生日にパーティーを企画するが、人間から隔絶するためのホテルに、なぜか人間の青年が紛れ込んでしまった。娘は青年に思いを抱くが…。
想像力全開の、素晴らしい映画。多文化共生のアメリカならではの3DCGアニメーション。モンスターのキャラクターはもちろん、小道具から背景に至るまで、こだわりまくりの作品。
家族で楽しめる、愛に溢れた映画。
紀元前370年頃の中国、戦国時代での攻城戦を、墨家の活躍を軸に描く日中韓の共同制作映画「墨攻」。地味な雰囲気だが、これが実に面白かった。特に、10万人の趙兵が、わずか数千の人々が集う梁城を攻めるシーンは圧巻。墨子の思想を継ぐ主人公、革離による知略に富んだ守りがまた凄い。
主役のアンディ・ラウ始め、存在感のある役者たちが重厚な演技を見せる。知と知のせめぎ合いに満ちた物語と、迫真の戦闘により、否応なく引き込まれた。
充実した内容を持つ史劇の傑作。
巨大な隕石による人類滅亡の危機。この設定でいくつもの映画が作られている。その中でも、「ディープ・インパクト」は、ダイナミックでリアルな映像と人々の姿をしっとりと描くシナリオが見事に融和した味わいのある作品。
ティア・レオーニ演じるニュース・キャスターが隕石接近の事実に触れていく運びがとてもうまいと思った。隕石の破壊に向かう宇宙船の船長ロバート・デュヴァルが、目を負傷した隊員に「白鯨」を読むなど、繊細な演出が心憎い。モーガン・フリーマンの演じる大統領の真摯な姿も印象的。人々の理性を全面に出している映画。
地磁気の異常で起る人類の危機を回避するため、地球内部に潜行するというSF。
「アルマゲドン」のようでもあり、「海底2万マイル」の雰囲気もあり、「ミクロの決死圏」風な感じもあり、「鳥」を彷彿させるシーンもあり、「インデペンデンス・デイ」を思わせる節もある。とにかく使えるアイデアは何でも取り入れようという貪欲なまでの創作意欲に恐れ入る。
冒険する若き科学者、行動的な女性、マッド・サイエンティスト、ハッカー、権威の象徴など、アメリカ映画で典型的な人物たちが登場する。
序盤の、スペース・シャトルがロサンゼルスの真ん中に着陸するシーンなどは素直にすごいと思った。サービス精神が横溢した、アメリカ風てんこ盛りSF。
ジョディ・フォスター主演の「コンタクト」は、宇宙からのメッセージを受け取る人々を描いた壮大なSF映画。天文学者カール・セーガンの原作を基にしており、科学と政治、宗教との関わりまで盛り込まれている。
迫真の映像と、知的好奇心を呼び起こすストーリーで、一気に最後まで見せる。SFの醍醐味を伝える感動の名作。
今見てもまったく色あせることのないSF映画「2001年宇宙の旅」。人類が月に行く前に作られたとは信じがたいほどのクオリティがある。
道具を使い始めた猿人の映像から、宇宙船に一気に飛ぶ時間。これほど長い時間の跳躍を、一瞬のうちにこうまで鮮やかに描いた作品は空前絶後であろう。そして、なにより美しい宇宙船の映像。完成途上の宇宙ステーションとのドッキングのシーンは何度見ても感銘を受ける。
音もなく月面を滑り行く探査船のリアリティ。コンピュータHALの存在感。木星に近づくディスカバリー号の神々しいまでの姿。どの映像も、心の深層に訴える力をたたえている。
キューブリック監督の美学と技術が結晶した、SF映画における不滅の金字塔。
高度な文明を失った代わりに、人々が特殊な能力を持った世界。その広大な地を旅する一人の男の半生を通し、文明の諸相が浮かび上がる。
筒井康隆によるファンタジーSFの大傑作。
ブラームスの晩年のピアノ曲は、実にいい。特に、作品116から119は、珠玉の小品。ささやかな喜びと哀感がない交ぜになった音楽は、ブラームスならではの、人生が凝縮された深い味わいがある。
これらブラームスの傑作から、グレン・グールドが選曲し、繊細に綴るピアノは、ひとつひとつの音に研ぎ澄まされた感性がきらめく。
なかでも、作品117には強く惹かれる。瞑想的でありながら暖かみを含み、孤高であるがゆえに、かえって寄り添うような癒しを与えてくれる。
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