アガサ・クリスティの推理小説「満潮に乗って」。大富豪が戦時中に亡くなり、遺産は嫁いだばかりの若い未亡人が相続することになった。富豪の財産に依存していた親族と、相続した未亡人と愛人との人間関係が錯綜する。
名探偵エルキュール・ポアロが登場するシリーズのひとつであるが、「オリエント急行殺人事件」や「ABC殺人事件」ほど知名度がない作品。推理小説であるが、殺人事件はなかなか起こらない。それまで人間ドラマが展開されるが、これがなかなか面白い。
後半から一気に話が進みここからはページをめくらずにはいられないほど引きつけられる。クリスティお得意のミスディレクションが円熟の域に達している。ラストのキレも良い。
ポアロが登場するミステリーの隠れた傑作。
「音楽の魔法だ 平凡な風景が意味のあるものに変わる」
ニューヨークを舞台に、かけだしのシンガー・ソングライターとおちぶれた音楽プロデューサとの出会いから生まれる物語。ジョン・カーニー監督による、2013年公開の映画。
バラードを中心とした音楽がどれも良い。曲に惹かれるまま、自然とストーリーの流れに身を任せられる。
音楽の素晴らしさを体感させてくれる珠玉の作品。
1954年の初代「ゴジラ」。核兵器が生みだした怪獣というメッセージ性を込めているが、それ以上にSFとしての出来に感心した。
ゴジラの足跡から発見された三葉虫の化石から、ゴジラの生物としての年代を測定する。また、ゴジラ退治のための武器が「オキシジェン・デストロイヤー」。まさしく、ハードSFの設定である。
ゴジラが東京に上陸し銀座などを破壊するが、制作に当たってそんな目的で図面を貸してくれるわけがないのでスタッフも随分苦労して再現したようだ。このゴジラの破壊行為がシリーズのひとつの目玉になり、「シン・ゴジラ」で徹底したリアリティが追求された。
伊福部昭による音楽があまりに素晴らしい。「シン・ゴジラ」でも、膨大な試行錯誤の末、伊福部昭の曲については、結局このオリジナル音源を使うことになった。
最高のスタッフによって生み出された奇跡の映画。
俳優志望の女性とピアニストの男性との恋愛を描いたミュージカル映画「ラ・ラ・ランド」。デイミアン・チャゼル監督は、「セッション」の成功をうけて長年あたためていたこの映画を制作し、2016年に公開することができた。
優れた音楽と、華やかな色彩に彩られたダンスシーン、切ないストーリーで作品世界に引き込まれていく。
現代社会の様々なピースを盛り込みつつ、数々の名画のオマージュともなっているロマンティック・ミュージカル。
ディズニー映画だが、子ども向けとあなどることなかれ。オタッキーの心をくすぐる、かなりマニアックなCGアニメーションである。日本の特撮やアニメへのオマージュも至る所に散りばめられている。
美術的には、都市の情景が素晴らしい。東京とサンフランシスコを混ぜ合わせたような描写には、相当力が入っている。
何より、科学技術への明るい志向がいい。未来を切り開くのは科学だという、素直な割り切りが良い。
とことん作り込まれた動きと、マニアックな設定、ちょっぴりハート・ウォーミングなディズニーの野心作。
ロサンゼルスのレストランで料理長を務めるカールは、評論家の酷評に反論し、その映像がネットで炎上する。解雇されたカールは、古いトラックでサンドイッチの移動販売を行う。
冒頭の包丁さばきから惹き付けられる。随所に出てくる料理のうまそうなこと。トラックを手に入れてからは、ロードムービーの趣きとなるが、同行する子役がとても良い。
監督・脚本・製作・主演を務めるジョン・ファヴローの才気を感じる。料理の素晴らしさを堪能させてくれる良作。
ウッディ・アレン監督・脚本による映画「ミッドナイト・イン・パリ」。パリを婚約者と訪れた映画脚本家は、真夜中1920年代のパリに迷い込む。
ヘミングウェイ、ピカソなど、1920年代当時パリで活躍した人々と現代人との出会いを通して、アカデミックな気風をしっとりと描く。シドニー・ベシェの名曲をバックにした冒頭のパリのシーンも実に素晴らしい。
アカデミー賞脚本賞受賞作品。
神楽坂の炭火焼ダイニング「kemuri」のBGMで使われた曲を集めたCD「コトノハ」。なんというセンスの良さ。それぞれの曲に、ずっとひたっていたいと思わせる趣きがある。
ここちよい空間を演出するステキなアルバム。
阿久悠が作詞した曲のトリビュートCD「歌鬼」の第3弾はアカペラ。スターダストレビュー、ゴスペラーズ、RAG FAIR、INSPiなどの実力派が、味わい深いコーラスを聴かせてくれる。
特に、RAG FAIRの「狙い撃ち」は圧巻であった。
阿久悠の凄さと共に、コーラス・グループの素晴らしさを感じさせてくれたアルバム。
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