クーベリックの幻想交響曲を再び聴いてみたが、やはり素晴らしい。
第1楽章のメリハリのはっきりした演奏には、この曲の良さを教えられた。「幻想」というと、靄にかすんだような漠としたイメージがあるが、クーベリックは極めて明瞭にメロディーを浮き上がらせ、各楽器を見事に生かしている。それゆえ、演奏者も高揚感があり、それが聴く者のカタルシスに繋がる。
第4楽章、第5楽章の燃焼度はすざまじく、圧巻。それも、第1楽章から第3楽章までの構成が画然としており、聴き手の気持ちをぐっと惹き付けてきた後だからなおさらなのであろう。超オススメの名盤。
「下町ロケット」で直木賞を受賞した池井戸潤の経済小説「シャイロックの子供たち」。東京下町の銀行を舞台に繰り広げられる群像劇で、10の短編からなるが、それぞれの話が関連を持ち、全体としてもひとつのミステリーとして構成されている。
各短編で一人一人の銀行での生き方が素描され、働くことの苦悩や意義が問いかけられている。ミステリーの手法をとるが、それが各人の生き様をあぶり出し、読む者に迫る。
「そうだ、やさしいことばでこそ、人の心のなかに入っていけるのだ、むずかしい理論、高い思想、深い感動を、みんなにわかるやさしい、平らな、なめらかなことばで伝えていかなければ、文化はみんなのものにならないのだ」
98歳になるまで、国語教育に渾身で取り組み、多くの生徒たちを育てた大村はま。その教え子であり、晩年はまの仕事を支えた苅谷夏子氏が著した「評伝 大村はま」。
大村はまの人格が形成され、国語教師として実践を重ね、多くの生徒の生涯に影響を与える授業を創り上げる過程を丁寧に描いている。
日露戦争、関東大震災、太平洋戦争、戦後の混乱など、日本の近現代史を背景にしながら、大村はまの関わる人々や当時の学校の様子が生き生きと綴られ、物語としても惹き付けられ、飽くことがない。
はまの学びや実践から、教育に対する様々な考え方が具体的に記され、極めて示唆に富む。
平易な言葉で、するすると読むことができるが、実に多角的な視点で大村はまの人物と実践が語られ、内容はたいへんに深い。心にすんなりと言葉がはいってくる。この本そのものが、大村はまによる国語教育の成果とも言える。
多くの感動と真の敬愛に満ちた、優れた教育書。
なお、著者の苅谷夏子氏による講演会
「ことばが生きていた教室 -国語教師・大村はまが育てたもの-」
が、2011年2月5日、群馬県総合教育センターにおける「ぐんま教育フェスタ」で行われる。
「嵐をよぶジャングル」は、クレヨンしんちゃんの劇場映画第8作。
しんたちゃんたちの乗る豪華客船を謎の軍団が襲い、大人たちを拉致してしまう。
かすかべ防衛隊の面々が活躍する作品。とりわけ、森の中でのエピソードは秀逸。
原恵一の凝りに凝った脚本や演出が冴える。一流のエンターテイメント映画にもひけをとらない波瀾万丈の快作。
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