コンピュータが連れてきた子どもたち
年末にあたりこの1年を振り返って、自分にとって一番変化があったことと言えば、このブログを始めたことであろう。1日に1つのペースで何かを記していくことで、多くのものに意識的に関わるようになり、日々の生活に張りを与えてくれるきっかけとなった。
このブログの一番最初に、教育用のソフトウェアLOGOの背景を述べた著作「マインド・ストーム」のことを記した。この本は、大学時代に読んでたいへん影響を受けた本であった。
また、日本で最初に、本格的にLOGOを教育に取り入れた戸塚滝登氏も、影響を受けた方である。大学時代、1983、4年の頃だったが、戸塚氏が雑誌で、コンピュータを電子問題集としての利用でなく、思考のための道具として活用すべきという趣旨の記述を読んだことが最初だったように記憶している。以来、氏の様々な優れた実践を知り、コンピュータと教育との関わりを考える上で多くの示唆をいただいた。
その戸塚氏から、このブログにコメントをいただき、たいへん恐縮した。紹介のあった著作「コンピュータが連れてきた子どもたち」を瞬時に注文し、読ませていただいた。
佐世保事件とインターネットとの関わりから始まり、コンピュータを利用した教育についての功罪が示されている。デジタル社会・ネットワーク環境が子どもに及ぼす影響、脳科学からのアプローチ、そして、氏の豊富な実践に基づく子どもたちの「学び」のあり方が表現豊かに語られている。
コンピュータを利用した教育のパイオニアとして、インターネットなどによる教育が子どもたちを間違った方向に導くことを防げなければならないという、強い思いが伝わってくる。そして、氏の子どもたちに向ける暖かいまなざしが感じられ、コンピュータを超えて教育という営み本来の姿を問いかけられた。
ありあまる物質と飽食、何でもすぐに手に入る利便性に慣れてしまい、教える側自身も方向を見誤っていないか。「子どもたちに何が必要か、そして、子どもたちを何から守るか」をもう一度問い直すべきであることを実感させられる著作であった。
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