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ドラマ クライマーズ・ハイ 前編

 NHKで放映された「クライマーズ・ハイ」前編を見る。横山秀夫の原作に忠実で、日航機墜落を追う新聞社の動きが、緊迫感をもって描かれている。主人公を佐藤浩市をはじめ、新聞記事に携わる人々を、存在感のある俳優たちが競演し、見応えのある人間ドラマとなっている。ニュース映像や、記者の表現から20年前の日航ジャンボ機123便墜落の大惨事がまざまざと思い出された。

 報道というテーマを軸に据え、様々な人間関係が縦横に描かれる実に密度の濃いドラマ。

クライマーズ・ハイ[DVD]

最後の相場師

 日本の株式市場は、最近とみに活況を呈している。12月9日の東証1部の売買高は37億102万株、売買代金は4兆6494億円にのぼり、過去最高を更新した。1980年代のバブル期をも凌ぐ勢いである。
 その一因として、オイルマネーを始めとした外国資本の流入があるが、国内個人投資家の急増も見逃せない。主婦や学生のにわか投資家も増えている。主婦の雑誌などに、「カリスマ投資家の必勝法」などといった記事をよく目にする。主人の給料以上の額をデイ・トレードなどで稼ぐ主婦もいるようだ。今は活況だから良いが、マーケットは甘くない。先日はみずほ証券によるジェイコム株の誤発注で、日経平均株価は300円を超す下落となった。不安定要因はつきもののマーケットには思わぬリスクもあるので、どうか家族を破滅に追い込むような投機はしないでほしいと願うばかりだ。

 最後の相場師とうたわれた是川銀蔵は、16才で大陸にわたり、軍部と商売をして少年実業家になるが、倒産して日本に帰る。その後も様々な商売に手をつけ、浮沈を繰り返す。経済を徹底して勉強し、経済研究所も設立する。晩年、日本セメントなどの株で仕手戦を行い財を成し、その名を広めることになる。
 その是川銀蔵ですら、欲に目がくらみ、同和鉱業の株で手痛い失敗をして巨額の損失を出す。「相場師一代」は、その是川銀蔵唯一の自伝である。にわかトレーダーには、自戒の書として読んでもらいたい。
 また、津本陽が是川銀蔵をモデルに描く「最後の相場師」は、株の仕手戦の様子がリアルに描かれ、迫真の経済小説である。相場には、その人の生き様が反映されることが、如実に示されている。

相場師一代
是川 銀蔵
4094034714

最後の相場師
津本 陽
4041713013

ホーム・アローン2

 年末が近くなり、慌ただしいと、リクツ抜きに楽しめる映画が見たくなる。ホーム・アローン2は、ハートウォーム・コメディの秀作。1作目もよいが、2作目はニューヨークを舞台とし、より抒情豊かな仕上がりになっている。クリスマスの頃見るのに、お薦めの映画。

ホーム・アローン2
マコーレー・カルキン クリス・コロンバス ジョー・ペシ
B000BX4AIY

ベルク 抒情組曲

 クロノス・クァルテットによる、ベルクの抒情組曲を聴く。精緻なアンサンブルによって紡ぎ出される、緊密な音楽。現代音楽の古典と呼ばれている。深淵な哲学か、それとも単なる個人の呻吟か、現代音楽についての経験が浅い今の自分には判別できない。

ベルク:抒情組曲(オリジナル版)
クロノス・クァルテット アップショウ
B0000C4GGC

カザルス ベートーヴェン・チェロソナタ第2番

 カザルス・チェロ、ホルショフスキ・ピアノによる、ベートーヴェン・チェロソナタ第2番・第5番、1958年の演奏を聴く。華やかさはなく、無骨ともいえる演奏だが、自然にじっと聴き入ってしまう。ベートーヴェンの曲そのものが純粋に浮き上がってくる至高の音楽。

ベートーヴェン : チェロ・ソナタ第2番ト短調
カザルス(パブロ) ホルショフスキ(ミエツィスラフ)
B00005FFKI

免疫の意味論

 世界的免疫学者、多田富雄氏が免疫現象を通して生命や「自己」の問題を語る本。
 以前、ホームページの「そんなとき、こんな本」で、次のような紹介をした。

 免疫とは、体の中に入った菌などを、自分と違うものと見なして攻撃し、無害なものにする生体の作用だよ。と、学生の頃に教えられたような気がします。でも、自分とそうでない物って、どうやって見分けるんでしょう。
 隣の人が持っている鞄が、黒で形も同じで、間違えてしまうということがありますよね。でも、これが細胞だと、まちがえちゃった、ガハハではすまない。バイ菌だと思って攻撃したら、自分の細胞だった、で、その間違いに気づかず、ずっと攻撃し続けたら……  
 自己と非自己を見分ける作用、「免疫」は、アレルギー、臓器移植、エイズ、癌といった、現在の生命科学の大問題に、根本的な関わりをもっています。またそれにとどまらず、他を拒否しがちな現代社会とも無関係ではないようです。
 この本は、「免疫」という最先端の生命科学を、各章ごとに興味ある切り口で語っています。それは自然に自己という哲学の命題にふれることにもなるのです。

 知的興奮を与えてくれる、一般向け科学書の名著。

免疫の意味論
多田 富雄
4791752430

脳梗塞からの再生

 昨日(2005年12月4日)放映されたNHKスペシャル「脳梗塞からの“再生”~免疫学者・多田富雄の闘い~」を見る。多田富雄氏の著作「免疫の意味論」を10年ほど前に読み、たいへん感銘を受けた。生体反応を研究し続けた著者が、自己の変化とどう向き合ったのか、失礼かもしれないが、関心があった。
 多田氏は4年前に脳梗塞で倒れ、右半身不随となり、喋ることもできなくなった。第一線で活躍していた学者が、一夜にして話すことができず、歩くこともできず、自分で食べることすらできなくなる、その苦痛はいかばかりだったろうか。一時は死ぬことばかり考えたという。
 しかし、リハビリを続け、少しづつ自分の機能が戻り始めたことから、自己を見つめ直す。
 電子音声が出る装置のキーボードを叩き、家族と会話をするだけでなく、研究生を叱咤する。パソコンを始め、片手でキーボードを押してメールはおろか、本の執筆までこなす。それのみならず、能を創作し、演出を手がけ、上演まで行う。
 その前向きな姿に、ひたすら頭が下がる思いだった。
 

おかげ様ブラザーズ

 リヒテルのラフマニノフの余韻がまだ残っており、そういえばアシュケナージの弾くピアノ協奏曲第2番がどこかにあったはずだと思い、古い机の引き出しを探すと、いろいろなCDが出てきた。その中で、クラシックに混じって「おかげ様ブラザース」の2ndアルバムが発掘された。
 いやあ、面白い。ジャケットはちょっと子供に見せられないが、「カナシバリ カナシバリ お菊人形の髪の毛伸びる」という「カナシバリ」や、「OSAKAが崩れてく もう誰も食い倒れない」と歌う「大阪崩壊」など、歌詞のセンスがとてもイイ。
 昔、BBSの仲間と旅行に行った時に1stアルバム「ばつぐん」を聴いて、車の中が抱腹絶倒の嵐になったのが、よい思い出だ。

おかげ様ブラザーズ/ばつぐん
B00005N13W
おかげ様ブラザーズ
B00005N13Z

バビル2世

 科学知識をもとにイマジネーションを膨らませた世界を展開する作品を「SF」とすれば、横山光輝の「バビル2世」は、まぎれもなく優れたSFである。旧約聖書に記されている「バビルの塔」をモチーフとし、超能力者の対決を描く漫画。
 アニメーションでは馴染んでいたが、最近第1巻を読み、緻密な構成と躍動感のある描写、緊迫感のある展開に、久しぶりにワクワクした。作者のイマジネーションの豊かさには、脱帽する。
 漫画は、1971年から1973年にかけて少年チャンピオンに連載された。アニメーションは、1973年に東映動画(現在の東映アニメーション)で制作されている。テーマ曲は今聴いても胸躍る。

バビル2世 (1)
横山 光輝
4253030378
バビル2世バビルの使者の巻
横山 光輝
4253188672
バビル2世 DVD-BOX
横山光輝 神谷明 大塚周夫
B00015BIZA

紅い花

 そこはかとなく懐かしく、おもはゆいほど切ない。
 大学時代に読んで、衝撃を受けた漫画。
 これほど心の奥深くをざわめかせる漫画があったとは。
 20年を経る今でもその余韻は残っている。

紅い花
つげ 義春
4091920225

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