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KENJIの春

 宮澤賢治の情熱と苦悩を、様々な表現技法を駆使して描くアニメーション。宮澤賢治生誕100周年を記念した作品であり、河森正治が監督と脚本を担当した。杉井ギサブロー監督のアニメーション「銀河鉄道の夜」と同じく猫がメインのキャラクターとなっている。しかし、「銀河鉄道の夜」と比べ、その表現は極めてアクティブであり、めまぐるしいほどである。 

 岩手の自然や町並の描写がリアルで素晴らしい。それゆえ、賢治の半生を追い、世界観を示すことが意図であれば、登場人物が猫でなくてもよかったのではと感じた。もっとも、賢治の純粋で宇宙的な世界を体現するには、猫が導き手になるのは妥当だという意見もあった。人間主体では生々し過ぎるのだろうか。

イーハトーブ幻想 ~ KENJIの春
佐野史郎 國府田マリ子
B00005U5LG

銀河鉄道の夜

 アニメーション「銀河鉄道の夜」は、静かに賢治の世界を描く映画。「アタゴオル物語」の、ますむらひろしの作品を原案としており、キャラクターが猫であるため議論を呼んだ。しかし、アニメーションならではの幻想的で繊細な世界の魅力の前には、主人公が猫であろうとなかろうと些末なことに思われる。むしろ、静謐な空間を持った希有の作品として、独自の位置を保ち続けるアニメーションであろう。
 この作品で用いられた細野晴臣の音楽は特に素晴らしく、心の奥底に訴える不思議な力を持っている。

銀河鉄道の夜
田中真弓 坂本千夏 納谷悟朗
B00005YWD5

モーツァルト ピアノ協奏曲第21番

  「千人に一人のリリシスト」と言われたルーマニア人のピアニスト、ラドゥ・ルプーによる、モーツァルトのピアノ協奏曲第21番は、一音一音が、宝石のように美しい演奏。
 このCDは、つらいときに聴き、何度も慰められた。曲の至高の美しさが、心に癒しを与えてくれる。

モーツァルト:ピアノ協奏曲第21番&第12番
ルプー(ラドゥ) イギリス室内管弦楽団 モーツァルト
B00067SQZS

クオ・ヴァディス

 暴君ネロの支配するローマを舞台にした1952年に製作された映画を見る。巨費を投じ、ローマ帝国を再現したセットが素晴らしい。登場人物は3万人ともいわれている。
 ピーター・ユスティノフ演じるネロは、鎖に繋がれたキリスト教徒にライオンを放つなど、茫漠とした表情で平然と残忍な行いをする。暴君とはこういうものかと強く印象に残った。

クオ・ヴァディス
B000G5S8TY

オーメン

 666が恐怖の数字であることを印象づけられた1976年の映画。幼児ダミアンの周りで次々に起る事件を描き、見ている者にじわじわと恐怖が迫る見事な脚本と演出。ジェリー・ゴールドスミスの音楽は、見終わった後もときおり暗がりで耳をよぎり、どきっとすることがある。
 ちなみに、2006年6月6日に、リメイクされた映画が公開になった。

オーメン
B000FGG2PQ

まんが偉人物語 エジソン メンデル

 図書館から借りてきた「まんが偉人物語」のビデオを子どもと見る。第2巻で、エジソンとメンデルについて。それぞれ約12分ほどの短い物語だが、母がどのようにエジソンと接したか、メンデルは修道院でエンドウ豆を使ってどんな実験をしたかを描いている。親しみやすい絵で、楽しく見られる。また、背景などにも、作り手のこだわりが感じられる。
 短いが、それゆえに印象に残る。もう製作していないようで、残念ながら市販はされていないが、子どもに見せるにはたいへん良い作品だ。

まんが偉人物語(2)
B00005HBDV

翠巒祭

Suiran01  高崎高校の文化祭を家族で見に行く。この翠巒祭(すいらんさい)は毎年行われており、今年で第54回となる。

Suiran02  3階の教室各部屋で、文化部や有志クラスの多彩な展示があった。生徒さんたちもよく説明してくれ、子どもたちも喜んでいた。

Suiran03  特に、科学を扱う展示は楽しめるものが多かった。また、人が入れる前方後円墳を段ボールで作るなど、お客さんを意識しての製作もよく見られ感心した。部の発表は、アカデミックな展示が多く、「文化祭」と呼べる内容だった。

Suiran04  教室いっぱいに作られた鉄道模型の展示はスケールが大きく、子どもたちは夢中になって見ていた。高崎駅や、市庁舎を模した風景も緻密で、見応えがあった。

Suiran05  コンサートやイベントなども数々行われたようだ。こちらは時間がなくて、あまり見られなかったが、校舎全体で活気を感じた。

Suiran06  正門を飾るアーチは、圧巻の出来映え。フランクフルト中央駅をモチーフとし、高さ5m、幅10m、奥行き6mの威容を誇る。昨年10月から着手し、半年間をかけて生徒たちが製作した力作。

Suiran07  翠巒祭には10年ぶりに訪れたが、鮮やかに咲き誇るバラはいつも変わらず迎えてくれる感じがする。その度に、校歌の一節が浮かび、母校で過ごした日々が思い起こされる。

「バラの香匂ふ 学び舎にて 友よ」

ゴールドベルク変奏曲

 名盤と言われる演奏ほど、説明するのが難しい。グレン・グールドによる1981年の演奏も、何度も言葉を並べてみたが、どうもしっくりこない。超越した魅力とでも言うのだろうか…と書きつづると余計陳腐な表現に感じる。この演奏の前には、言葉を弄することは意味をなさない。

バッハ:ゴールドベルク変奏曲
グールド(グレン) バッハ
B0002ZEZUO

耳をすませば

 中学3年生の迷いや焦りを、みずみずしく描いたスタジオ・ジブリの作品。脚本とプロデュースを宮崎駿、監督を近藤喜文が担当。
 多摩地区の町並みなど、実に緻密に描かれている。細部の描写も見事で、特に地球屋の内部はそれだけで一つの世界になっている。ヴァイオリンの工房で、主人公たちが「カントリーロード」を合奏するシーンは、感動すら覚える極上の職人芸的アニメーション。

 「やってみて分かったんです。好きなだけじゃダメだって、 だから勉強しないといけない。だから進学する事に決めました。」
 これほど真面目な台詞がストレートに胸に響くことが、この映画の真価を表わしている。

耳をすませば [DVD]
本名陽子 高橋一生 露口茂 立花隆

エンカウンターで進路指導が変わる

 構成的グループエンカウンターを取り入れた進路指導を提唱している書。「自分に問う力」や「対人関係能力、コミュニケーション能力」をグループでの活動を通して養う方法が具体的に示されている。
 豊富な執筆陣により、「生き抜く力」を育む進路指導について様々な角度から語られ、内容がたいへん濃い。キャリア教育を具体化していく上で、たいへん参考になる。

エンカウンターで進路指導が変わる―生き抜くためのあり方生き方教育
片野 智治 田島 聡 橋本 登
4810013545

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