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南極交響曲

「私はこの旅を後悔してはいない」

 レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ作曲の南極交響曲は、スコット隊の悲劇をモチーフとした音楽。1912年、スコット隊長は南極点到達を目指したが、アムンゼン隊に先を越され、帰途に吹雪のため全員が凍死する。
 アンドレ・プレヴィン指揮、ロンドン交響楽団の演奏では、南極の大自然と不屈の精神を表わすこの曲を、あるときは輝きに満ちて、あるときは荘厳に表現する。

V・ウィリアムズ:交響曲全集VI 南極交響曲(交響曲第7番)&交響曲第8番
プレヴィン(アンドレ) ハーパー(ヘザー) アンブロージアン・シンガーズ
B000SM6ZHW

古今亭志ん朝 大山詣り

 古今亭志ん朝の「大山詣り」のCDを聴く。テンポの良さが見事。ことに、後半の熊の語りと奇抜な展開には圧倒される。
 「粗忽者の使者」も、実に快調。尻上がりの明るさと、切れ味の良さが光る。

落語名人会(15)
古今亭志ん朝
B00005G6ST

ラヴェル ピアノ協奏曲

 アバド指揮、ロンドン交響楽団によるラヴェルのピアノ協奏曲のCDを聴く。アルゲリッチの情熱的なピアノと小気味よいロンドン響のオーケストラが和し、華やかさと優美さをもった演奏になっている。
 ミシェル・ベロフのピアノによる「左手のためのピアノ協奏曲」は、ユーモア、躍動感とともに暗い情感を含む広がりのある曲。
 他に、「古風なメヌエット」「組曲《クープランの墓》」が併録されており、エスプリに富んだオーケストレーションが展開される。ラヴェルの様々な魅力が味わえる1枚。

ラヴェル:ピアノ協奏曲
ロンドン交響楽団 アルゲリッチ(マルタ) ベロフ(ミシェル)
B00005FIU2

ジャガーノート

 豪華客船に取り付けられた時限爆弾をめぐる映画「ジャガー・ノート」。リチャード・レスター監督による、1974年公開作品。リチャード・ハリス、オマー・シャリフ、アンソニー・ホプキンスなどの名優と、緻密な脚本に支えられたスペクタクル映画の傑作。

ジャガーノート
リチャード・ハリス リチャード・レスター
B000QTEBAA

ガリレオ 最終回

 フジテレビ系列で放送された、福山雅治主演のドラマ「ガリレオ」が、最終回を迎えた。主人公と犯人役との対峙や、様々な科学トリックは楽しめた。
 しかし、最終回の「ジャガーノート」のパロディのような展開はどうも蛇足であった感が否めない。そこまでして盛り上げようとしなくてもよいのでは。安易な設定で、かえって興ざめをしてしまう。
 2008年秋に公開予定の映画「容疑者Xの献身」は、それでも気になるところ。

フジテレビ ドラマ「ガリレオ」

風林火山 最終回

 NHK大河ドラマ「風林火山」が2007年12月16日の放送で最終回を迎える。
 見始めた当初は、天下統一を果たせなかった武田信玄の部下、山本勘助が主人公とは、なんと地味な設定なのだろうと思った。これで1年間話がもつのかと思ったが、骨太の人間ドラマに、次第に引き込まれていった。
 特に、第4回 「復讐の鬼」での、武田晴信と勘助の出会いの緊迫感は素晴しく、ここからのドラマの盛り上がりを大いに期待させられた。
 「墨攻」を思わせる第8回 「奇襲!海ノ口」の知的でダイナミックな戦闘には心躍る思いであった。
 続く第9回 「勘助討たれる」で、晴信が父信虎に、孫子の言葉を用いて自らの行動を語るくだりは、この作品の中でも愁眉の名場面。晴信の器量を家臣団に示す重要なシーンを、仲代達矢を前に市川亀治郎が凛とした気迫で演じきった。
 第11回 「信虎追放」は、節目となる回だが、勘助を微妙な役回りにして丁寧に区切りをつけた。
 そして迎える第12回 「勘助仕官」。井上靖の原作はここから話が始まる。やはり、原作者に敬意を表してか、この回にかけるスタッフの意気込みは相当なものを感じた。陰影の深い映像で表現された、勘助の鬼気迫る様が凄まじかった。
 第15回 「諏訪攻め」で柴本幸演じる由布姫と勘助との最初の対面が始まり、以降物語の縦糸となっていく。
 第18回 「生か死か」は、由布姫と武田家中を巡る葛藤の回だが、ひとつの演劇を見るような、見事なまとまりを持っていた。個人的には、この回のような緻密な脚本が好きだ。
 そして、第21回 「消えた姫」 のお堂の中での勘助と由布姫との名シーン。このシーンには、後に登場する緒形拳も感銘を受けたようだ。
 第24回 「越後の龍」で、ガクト演じるビジュアル系謙信が登場する。市川亀治郎とのコントラストが鮮やか。
 第28回 「両雄死す」では、村上義清との上田原の戦で、武田の名将、板垣信方(千葉真一)と甘利虎泰(竜雷太)が戦死する。この二人の存在がいかに大きかったか、後のドラマがやや盛り上がりに欠けることから知ることになる。後は、勘助と上杉謙信(ガクト)、宇佐美定満(緒形拳)との三者を軸として話が進むが、板垣、甘利亡き武田には、いまひとつピリッとした雰囲気に欠け、やや消化試合の感が否めなかった。それでも、毎回見ずにはいられない雰囲気を持っていた。最後の武田信玄、山本勘助の風格は実に立派。

 この地味な主人公で、これだけ骨太のドラマとなったのは、一に大森寿美男の脚本、二に山本勘助役の内野聖陽の演技力だと思う。「クライマーズ・ハイ」で、その実力を見せつけられた大森寿美男の脚本は、特に前半、期待を裏切らない出来映えであった。
 一年間、熱いドラマを楽しませていただいたスタッフには感謝したい。

NHK大河ドラマ「風林火山」

NHK大河ドラマ 風林火山 完全版 第壱集
内野聖陽 市川亀治郎 Gackt
B000XEMMTA
NHK大河ドラマ 風林火山 完全版 第弐集
内野聖陽 市川亀治郎 Gackt
B000XEMMTK

人狼 押井守

 押井守の原作・脚本による昭和30年代の東京を舞台にした、極めて硬質なアニメーション「人狼」。学生デモと機動隊との衝突する世情の中、暗躍する警察や秘密部隊の情報戦と苛酷な戦闘を描く。
 戦後十数年を経た東京の街並など、背景の絵そのものが圧倒的な存在感で迫ってくる。いぶし銀のような鈍い光を放つ、孤高のアニメーション。 

人狼 JIN-ROH
藤木義勝 武藤寿美 木下浩之
B00005V1D6

桂枝雀 弁慶・代筆

 桂枝雀の落語は、過剰ともいえる大げさな表現が特徴で、これが古典?と思えるほどである。しかし、突き詰めた芸と溢れんばかりのエネルギーにより、会場は爆笑の渦となる。CDで聴いても、圧倒されるほどに、噺家と一体になった会場全体のうねりが伝わってくる。
 桂枝雀のライヴ録音の中でも、「船弁慶」は異色の作品。気の弱い旦那と強いかみさんの猛烈なやりとりで、話し手のヴォルテージがすざまじく上がり、会場が最高潮に達したところで、最後のオチまでいかずにストンと終わる。反則ワザのようだが、これはこれで一つのまとまりをもった噺と感じる。それゆえ、印象にずっと残っているのだ。芸の気迫のなせる業だろう。
  「代筆」は、枝雀がアレンジをした代表作のひとつ。履歴書を記す代筆屋とおかしな依頼主との対話が、絶妙の間合いで語られる。CDで聴いていても、瞬間に変わる表情が伝わってくる。「笑い」を作り出す力に、凄みすら感じた。

枝雀落語らいぶ(1)船弁慶・代筆
桂枝雀
B000064UK5

カオスとフラクタル

 1986年に講談社ブルーバックスとして出版された「カオスとフラクタル」は、非線形の不思議を簡単な数式を交えて解説した本。単純な原理から、次々と広がりを見せていくカオスとフラクタルの世界は、極めて興味深い。豊富な例で知的好奇心を呼びおこす名著。

カオスとフラクタル―非線形の不思議 (ブルーバックス)
山口 昌哉
406132652X

服部克久 クラシカル・エレガンス

 「クラシカル・エレガンス」は、服部克久による楽曲集「音楽畑」からのベスト・セレクションのひとつ。どのメロディも心地よく、豊かなひとときが広がる。

音楽畑ベスト・セレクション~クラシカル・エレガンス
服部克久
B00005HIYY

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