まんが偉人物語(9) アンデルセン ベル
まんが偉人物語の第9巻、「アンデルセン」「ベル」のビデオを図書館から借りてみる。それぞれ10分ほどのアニメーションだが、密度が濃く、胸をうたれる。特に、アンデルセンの回は、自らの生い立ちを語りながら子どもを励ます話で、静かに胸にしみる。このような良質のアニメーションは、もっと普及されるべきだと切に思う。
まんが偉人物語の第9巻、「アンデルセン」「ベル」のビデオを図書館から借りてみる。それぞれ10分ほどのアニメーションだが、密度が濃く、胸をうたれる。特に、アンデルセンの回は、自らの生い立ちを語りながら子どもを励ます話で、静かに胸にしみる。このような良質のアニメーションは、もっと普及されるべきだと切に思う。
「ノルシュテインの作品はすべて、いわば夢のフィルターをとおして世界をみているような気分にぼくらを誘い込む魔力をもっている。」
1982年1月23日、日仏会館で「セロ弾きのゴーシュ」の完成試写会が行われた折りに、高畑勲監督、美術担当の椋尾篁氏などから挨拶があった。仕事の合間に、コツコツと作ってきたアニメーションへの思いが語られた。
その試写会で併映された「霧につつまれたはりねずみ」は、「ゴーシュ」の高畑勲監督にとっても、ノルシュテイン作品との最初の出会いだった。
ノルシュテインの作品である「話の話」は、古今のアニメーションの中でも抜きん出て芸術性が高く、難解な作品。赤ん坊を見つめる狼、ミノタウルスと少女の縄跳び、もの悲しいタンゴの調べで踊る男女から、ひと組ひと組パートナーが消え残される女性たち。繰返し現れるリンゴ。それらのシークエンスから、作者は何を語ろうとしているのか。
高畑勲氏は、アニメージュ文庫「話の話」の中で、この作品を詳細に解説している。その文学的香気に満ちた解説から、「話の話」の意味と価値が見事に浮き上がる。
「話の話」をさらに鑑賞したいと思うと同時に、一つの映像から、これだけ多くのことを読み取り、思索し、語ることができるのかと、アニメーション作家の想像力と表現力に脱帽した。
話の話 (アニメージュ文庫 (F‐006))
高畑 勲 アニメージュ編集部
2008月1月1日 - 今年は、ねずみ年。届いた年賀状も、様々なネズミをあしらったものが多い。中には、ハリネズミもみられる。まるっこい形と、ハリで身を守るという健気さが愛嬌を醸す。
ハリネズミを目にすると、学生の頃に見た映画が思い出される。今から26年前、1982年1月23日に東京御茶ノ水にあった日仏会館(現在は恵比寿に移転)で見た、「霧につつまれたハリネズミ」だ。高畑勲監督の「セロ弾きのゴーシュ」の完成試写会に出かけたのだが、「ゴーシュ」の前に上映されたのが、この「霧につつまれたハリネズミ」だった。
それは不思議な映画だった。ロシア語で字幕もなく、スクリーンに映し出されたジャムを包んだ袋を持ちながら森の中を歩く小動物に目をこらした。言葉は分からないが、その小動物、ハリネズミの心の動きが、画面から伝わってくる。いつしか、森のちょっとした変化に好奇心をもち、驚き、畏れ、ハリネズミと同じ体験を味わっていた。こぐまと会えたことには、心からの安堵を覚えた。アニメーションの芸術を追究するロシアのユーリ・ノルシュテインによる作品との出会いであった。
絵を組合せ、少しずつ動かしながら制作される手作りのアニメーション。その手間のかかる作業から紡がれるノルシュテインの映像は、遠い日を思わせるような深い抒情を持っている。たとえ諷刺が含まれていたとしても。
気の遠くなるような作業と、生み出される作品の力。この1年、自分は何を紡げるのだろうか。テーマの普遍性が、作品の根底を支えていることがヒントになりそうだ。
きりのなかのはりねずみ (世界傑作絵本シリーズ)
Yury Norshteyn Francheska Yarbusova Sergey Kozlov
松本大洋の漫画を原作とするアニメーション「鉄コン筋クリート」。とにかく、背景の絵がすごい。舞台となる「宝町」の精緻な描写には圧倒される。懐かしいような、お伽の世界のような、鮮やかさと猥雑さを持った架空の町だが、その存在感とリアリティに、スタッフの執念すら感じる。主人公たちは、軽快にその世界を飛び回り、その浮遊感は独特。
子どもたちが主人公とはいえ、ヤクザや謎の組織がからむ、やや重いストーリー。二宮和也、蒼井優が声をあて、熱演をしている。
第80回アカデミー賞長編アニメーション映画賞部門エントリー作品。
鉄コン筋クリート
二宮和也 蒼井優 マイケル・アリアス
豪華客船に取り付けられた時限爆弾をめぐる映画「ジャガー・ノート」。リチャード・レスター監督による、1974年公開作品。リチャード・ハリス、オマー・シャリフ、アンソニー・ホプキンスなどの名優と、緻密な脚本に支えられたスペクタクル映画の傑作。
ジャガーノート
リチャード・ハリス リチャード・レスター
押井守の原作・脚本による昭和30年代の東京を舞台にした、極めて硬質なアニメーション「人狼」。学生デモと機動隊との衝突する世情の中、暗躍する警察や秘密部隊の情報戦と苛酷な戦闘を描く。
戦後十数年を経た東京の街並など、背景の絵そのものが圧倒的な存在感で迫ってくる。いぶし銀のような鈍い光を放つ、孤高のアニメーション。
人狼 JIN-ROH
藤木義勝 武藤寿美 木下浩之
天藤真の「大誘拐」は、岡本喜八監督により、1991年に「大誘拐~Rainbow kids~」 として映画化された。緒形拳、竜雷太 、橋本功、嶋田久作、樹木希林、風間トオルなど、個性的な俳優が数多く出演し、変化に富んだプロットを一層もりあげる。その中でなんといっても、北林谷栄の演じるおばあちゃんが素晴しい。
大誘拐 RAINBOW KIDS
風間トオル 北林谷栄 樹木希林
モーリス・ベジャールが、11月22日に亡くなった。80歳。
ベジャールの振り付けたバレエ「ボレロ」を、生で一度だけ見たことがある。確か1993年5月だと思ったが、五反田のゆうぽうと簡易保険ホールでの、来日公演であった。ダンサーの名前も、「ボレロ」以外の演目も忘れてしまったが、その躍動感溢れるバレエは今なお記憶に新しい。
それと共に忘れがたいのは、休憩時間のサロンでの光景。当時、テレビ番組「題名の無い音楽会」の司会をつとめていた黛敏郎、女優の岸田今日子、東京都交響楽団の首席指揮者若杉弘の三氏が談笑をしている姿だ。黛氏が手振りを交えながら楽しそうに話し、それを両側の二人がにこやかに聴いている情景がたいへん印象に残っている。黛、岸田の両氏も亡くなられてしまったが。
「愛と悲しみのボレロ」は、露、仏、独、米で活動していた音楽家、舞踏家の4つの家族がたどる、激動の45年間を描いたクロード・ルルーシュ監督の映画。モーリス・ベジャールは、この映画の振り付けで不朽の名声を得た。
輪廻を想起させる「ボレロ」は、モーリス・ベジャールを偲ぶ音楽にふさわしいと感じる。
愛と哀しみのボレロ
ジェームズ・カーン ロベール・オッセン クロード・ルルーシュ
"Powers of Ten" は、1977年に作られた短編映画。タイトルは、「10の累乗」を表わす。公園に寝ている男性の姿から始まり、10秒間に10倍ずつズーム・アウトしていく。時間を経るごとに、上空からの風景はやがて地球全体となり、さらに宇宙の映像となっていく。
脚本・監督は、家具デザインで有名なイームズ夫妻。10分に満たない映像だが、宇宙の広大さと、内なる宇宙の深淵を感じる、教育映画の名編。
EAMES FILMS:チャールズ&レイ・イームズの映像世界
チャールズ&レイ・イームズ
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