オーケストラの少女

 1937年に制作されたアメリカ映画。公開当時日本は日中戦争のさなかであった。この時代に、これほど優れた作品が制作されることに、アメリカのという国の底力を感じた。脚本が実によく練られていると思った。今見ても最初から最後までずっと楽しめる。
 ストコフスキー本人が出演し、演奏を披露している。冒頭のチャイコフスキー交響曲第5番の演奏から釘付けになった。ディアナ・ダービンの歌声も素晴らしい。
 タクシー運転手と少女との会話から、当時の奥行きのある豊かさが伺える。貧しい中にも、精神的な豊かさとは何かを皆が知っていた時代ではないか。

オーケストラの少女
ヘンリー・コスター ディアナ・ダービン アドルフ・マンジュー
B000C98COA

復讐するは我にあり

 「復讐するは我にあり」は、今村昌平監督入魂の日本映画。緒形拳のすごみ、三國連太郎の複雑な人間像、圧倒される映像表現、どれも一級の力をもっている。

復讐するは我にあり
ミヤコ蝶々 小川真由美 池辺晋一郎
B000BKJFC8

鬼畜

 野村芳太郎監督の「鬼畜」は、松本清張の短編を緊迫感溢れる映像に昇華させた日本映画。3人の子供を突然おしつけられた印刷屋の主人役の緒形拳、そして恐ろしい妻岩下志麻の演技が、あまりにすごい。
 心を平静にして見ることができない、後々まで印象に残る映画。

鬼畜
芥川也寸志 緒形拳 岩下志麻
B000BKJF3W

映画 張込み

 松本清張の原作は30ページに満たない短いものだが、映画は克明に人間描写を行ながら、当時の日本社会の縮図を盛り込み、深みのある作品に仕上げられている。この5月16日に亡くなってしまった田村高廣の若い頃が、たいへんナイーブな感じで印象的であった。
 昭和30年頃の日本の夏の風物が味わえる。黛敏郎が音楽を担当。昭和32年松竹大船 野村芳太郎監督作品。

張込み
浦辺粂子 高千穂ひづる 高峰秀子
B000BKJF2S

まんが偉人物語 リンカーン

 まんが偉人物語のビデオ第4巻は、坂本龍馬とリンカーンが取り上げられている。10分ほどの短い物語だが、歴史上の人物の偉業が凝縮されている。リンカーンの回は、作画を「耳をすませば」の近藤喜文が担当している。深みのある作品だった。

まんが偉人物語(4)
B00005HBDY

ファンタスティック・プラネット

 ファンタジーというと、日本では剣と魔法の世界という、画一的なイメージがあるかもしれない。しかし、ルネ・ラルー監督の1973年に公開された映画「ファンタスティック・プラネット」は、甘っちょろいファンタジーのイメージを払拭する、鮮烈なアニメーション。巨人が支配する惑星で、ペットのように扱われる人間を描く作品。奔放なイマジネーションの飛翔に圧倒される。

ファンタスティック・プラネット
ステファン・ウル
B00005HW6W

時の支配者

 ルネ・ラルー監督によるヨーロッパ・アニメーションの代表作。日本のアニメでは見られない、あわあわとした美しい色彩と芳醇なイメージを持つ、SFファンタジーの傑作。

時の支配者
ステファン・ウル ルネ・ラルー
B00078RTAO

KENJIの春

 宮澤賢治の情熱と苦悩を、様々な表現技法を駆使して描くアニメーション。宮澤賢治生誕100周年を記念した作品であり、河森正治が監督と脚本を担当した。杉井ギサブロー監督のアニメーション「銀河鉄道の夜」と同じく猫がメインのキャラクターとなっている。しかし、「銀河鉄道の夜」と比べ、その表現は極めてアクティブであり、めまぐるしいほどである。 

 岩手の自然や町並の描写がリアルで素晴らしい。それゆえ、賢治の半生を追い、世界観を示すことが意図であれば、登場人物が猫でなくてもよかったのではと感じた。もっとも、賢治の純粋で宇宙的な世界を体現するには、猫が導き手になるのは妥当だという意見もあった。人間主体では生々し過ぎるのだろうか。

イーハトーブ幻想 ~ KENJIの春
佐野史郎 國府田マリ子
B00005U5LG

銀河鉄道の夜

 アニメーション「銀河鉄道の夜」は、静かに賢治の世界を描く映画。「アタゴオル物語」の、ますむらひろしの作品を原案としており、キャラクターが猫であるため議論を呼んだ。しかし、アニメーションならではの幻想的で繊細な世界の魅力の前には、主人公が猫であろうとなかろうと些末なことに思われる。むしろ、静謐な空間を持った希有の作品として、独自の位置を保ち続けるアニメーションであろう。
 この作品で用いられた細野晴臣の音楽は特に素晴らしく、心の奥底に訴える不思議な力を持っている。

銀河鉄道の夜
田中真弓 坂本千夏 納谷悟朗
B00005YWD5

クオ・ヴァディス

 暴君ネロの支配するローマを舞台にした1952年に製作された映画を見る。巨費を投じ、ローマ帝国を再現したセットが素晴らしい。登場人物は3万人ともいわれている。
 ピーター・ユスティノフ演じるネロは、鎖に繋がれたキリスト教徒にライオンを放つなど、茫漠とした表情で平然と残忍な行いをする。暴君とはこういうものかと強く印象に残った。

クオ・ヴァディス
B000G5S8TY

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