星新一 ショートショート 5
星新一のショート・ショート10編を映像化したDVD。新進気鋭のクリエイターが、多彩な演出で映像化し、それぞれの表現技法がたいへん興味深い。
第5編は「シュール・エディション」となっているが、「はじまり」「ずれ」「地球から来た男」など、独特の味わいがある作品が多い。
星新一の発想の豊かさや時代の先見性に改めて感嘆させられる作品群。
星新一のショート・ショート10編を映像化したDVD。新進気鋭のクリエイターが、多彩な演出で映像化し、それぞれの表現技法がたいへん興味深い。
第5編は「シュール・エディション」となっているが、「はじまり」「ずれ」「地球から来た男」など、独特の味わいがある作品が多い。
星新一の発想の豊かさや時代の先見性に改めて感嘆させられる作品群。
開高健が行った2つの講演を収めたCDを聴く。「話のうまい小説家はろくなものではない」と言いながら始めるのだが、これが実に味わいがある。
「足で考え、耳で書く」は、自身の戦争体験も交えながら、戦闘行為と人生をからめた奥行きのある語り。
「雨の日には釣竿を磨きながら」では、ウォルトン、ウィリアムソン、幸田露伴など、釣り文学の蘊蓄が横溢する。
ウィットとアイロニーに彩られた深みのある語りを聴き、無性に開高健の作品が読みたくなった。
NHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」の最終回が放送される。冒頭20分の海戦シーンは、緊迫感に溢れ、圧巻。陸軍の奮戦ぶりを3回に渡って描いたにしては、比較的あっさりとした印象。もっと描きたいことはあったのだろうが、時間的に厳しかったのであろう。
海戦後のシーンは、各人のその後を風呂敷をたたむように丁寧に描かれ、心にしみいる静けさがあった。好古の晩年のメークは、あまりに力が入っていて恐れ入った。さらりと終わりを迎えたが、視るものに余韻を残す、作り手のゆるぎない自信を感じさせるラストであった。
原作をよくここまで映像にしたと、あらためて感じる。役者の入魂の演技や、ディテールにまでこだわった作り込み、圧倒される戦闘シーン、各人の存在感や苦悩を浮き彫りにしつつ、多くの立場に配慮した台詞の練り込みよう。それら全てに、このドラマにかけるスタッフの気概と意気込みを感じさせられた。
忘れ得ないのは第6話、正岡子規晩年のシーンである。子規庵の場面は何度みても自然に涙が出てしまう。子規のドラマがあったからこそ、戦闘の覚悟や苦悩がより浮き上がってくる。この深みは、他の戦争映画では表出しえないであろう。
まさに、「日本映像界の悲願」が成し遂げられた。この壮大な物語は、日本のドラマの記念碑として残り続けるだろう。
東京理科大学学長、藤嶋昭氏編著による、「時代を変えた科学者の名言」。
108人の科学者の名言が、歴史順に記されている。それぞれの言葉は、時代を経て生きてきたものであり、たいへん味わいがある。
各科学者の略歴もあり、科学史をざっと概観するのにも良い。紙面にスペースがあり、たいへん読みやすい。
挿入されている藤嶋学長のエッセイからは、学長のお人柄と教育に対する熱意が伝わってくる。
中高生が科学史を学ぶ端緒としても好適な1冊。
時代を変えた科学者の名言
藤嶋 昭
太宰治の「人間失格」を、仲代達矢が朗読したCDを聴く。
人間恐怖におびえる主人公の独白を、仲代が緩急自在の語りで表現する。仲代の持つ漠とした口調が独特の空気を醸し、あるときはそこに居たたまれないほどの心理的圧迫すら生じさせる。底知れぬ役者魂を感じさせる絶妙の語り。
人間失格 上 (新潮CD)
太宰 治
人間失格 下 新潮CD
太宰 治
人間失格 (集英社文庫)
太宰 治
NHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」第12回「敵艦見ゆ」。日本海海戦の端緒を描いていたが、それ以上に奉天会戦の密度の濃い描写に圧倒された回であった。
厳冬下でロシアの大地に繰り広げられるスケールの大きな戦闘シーンに、スタッフの並々ならぬ意気込みを感じた。戦闘であるが、暗然とした中に映像美が各シーンに貫かれ、食い入るように見入ってしまう力があった。
坂の上の雲 第3部 DVD-BOX
司馬遼太郎
O・ヘンリの短編は、プロットの妙が見事だが、古きよきアメリカを舞台にした、みずみずしい情緒にもたいへん魅力がある。ユーモアを含んだ整った文章のうちに、市井の人々に注がれた温かい目があり、いつまでも読んでいたい居心地の良さがある。
O・ヘンリ短編集 (1) (新潮文庫)
O・ヘンリ 大久保 康雄
NHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」第3部が佳境に入っている。雑誌「歴史人」2012年1月号は、「日清・日露戦争の真実」を特集に掲げ、ビジュアルに解説がしてあり興味深い。三笠の内部や、日本海海戦の詳細など、長男も関心をもち眺めていた。
NHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」第11回は「二〇三高地」。乃木希典の悲壮感を奥に秘めた演技と、児玉源太郎の明晰な判断が対比をなし、友情以上の感情で指揮を交代する様が胸に迫る。
覚悟をもった映像表現に圧倒された90分であった。
野間脩平らの語り芝居による鬼平犯科帳シリーズ 『狐火』は、密偵おまさのエピソードを絡めた話劇。念入りに準備をし、人を殺めない「真のおつとめ」と、殺傷を伴う「急ぎ働き」との確執が描かれる。
「おつとめ」に象徴される、池波正太郎の創る世界観に感服する。
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