エンゼルバンク 1

 「エンゼルバンク」は、転職代理人を主人公としたコミック。「ドラゴン桜」の続編という形になっており、前回のキャラクターも登場する。前作は「受験」がテーマだったが、「エンゼルバンク」では、就職や企業と人との関わりが扱われている。
 「人の価値は相場が決める」などシビアな言葉を掲げつつも、そこで描かれているのは社会人としての常識やありよう。豊富な具体例で、社会における成功の原則が語られる。表現は短絡的のものもあり、当然すべてを鵜呑みにすべきものではないが、うなずける部分も多い。
 ビジネスの本質をストレートに伝える、社会人育成コミック。

エンゼルバンク ドラゴン桜外伝(1)
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スローカーブを、もう一球

 山際淳司の「スローカーブをもう一球」は、スポーツの一瞬のきらめきを見事に捉えた短編集。江夏投手の名勝負を描いた「江夏の21球」、ボート・レースに挑む孤独な戦い「たった一人のオリンピック」、独自のボクシングを目指す男の「ザ・シティ・ボクサー」など、8編を収める。
 表題作「スローカーブを、もう一球」は、1980年の高校野球大会における高崎高校の試合が描かれいてる。在籍当時のことであり、母校の雰囲気が思い起こされ、懐かしさがよみがえった。

スローカーブを、もう一球 (角川文庫 (5962))
404154002X

ワンピース 57

 尾田栄一郎という人は、やはりすごい漫画家だ。560話に至ってもテンションが衰えるどころか、ますますパワーアップしている。しかも、ストーリーは幾筋もの糸が徐々に収斂している感がある。第57巻では、海軍本部での「頂上決戦」がなされ、いままで登場した様々なキャラクターが入り乱れて熱戦を繰り広げる。ワクワク感と心意気をつめこんだ、少年漫画の王道を堂々と突き進む大長編コミック。

ONE PIECE 巻57 (ジャンプコミックス)
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アリス・イン・ワンダーランド

 映画「アリス・イン・ワンダーランド」を公開初日に家族で見に行く。3D吹替版。
 ティム・バートン監督のテイストが、アリスの作品世界にマッチし、非日常の世界を豊かに表現していた。
 3Dで画面に奥行きが加わり、遠近感のある映像が楽しめた。特に、チェシャ猫の浮遊感が素晴しい。
 映画でリアルに表現されたキャラクターを目の当たりにすることで、ルイス・キャロルの原作とテニエル画伯の絵が、いかに多くのメディアに影響を与えてきたかを実感させられた。

アリス・イン・ワンダーランド オフィシャルガイドブック (ぴあMOOK)
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不思議の国のアリス (角川文庫)
河合 祥一郎
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家紋の世界

 長男が、「家紋の世界」という本を買って時折ぱらぱら見ている。徳川葵、北条の三ツ鱗などの有名な紋から、珍しい家紋まで多数載っている。家紋のリストや由来のみでなく、有名な戦国武将のエピソードなども記されており、興味深い。
 西洋貴族の紋章のように一部の人のみでなく、日本ではほとんどの家が家紋を持っている。デザインからは、自然を愛でる心と幾何学的なセンスが感じられ、日本文化の豊穣さが伝わってくる。

家紋の世界―あなたのルーツはここにあった!
インデックス編集部
4781600522

映画 富士山頂

 石原裕次郎主演の映画「富士山頂」は、1970年に封切られた映画。原裕次郎二十三回忌特別番組の一環として、2009年7月4日にテレビで放送された。
 渡哲也、勝新太郎、芦田伸介、山崎努、田中邦衛など錚々たる顔ぶれで、富士山頂への巨大レーダー設置に奮闘する男達の姿が描かれている。巨大プロジェクトに果敢に挑む俳優たちの男の魅力がたまらない。

テレビ朝日 石原裕次郎 二十三回忌特別企画

富士山頂

 「富士山頂」は、新田次郎が気象職員の時に関わった富士山気象レーダー建設を基にした小説。予算折衝やマスコミや土地の人々との関わりなど、実体験に基づいてリアルに描かれている。

富士山頂 (文春文庫)
4167112019

司馬遼太郎が語る 第4集

 司馬遼太郎が1982年、NHKホールで行った講演「文章日本語の成立」のCD。泉鏡花、夏目漱石などの文体についてふれながら、明治期から現代までの文章としての日本語の成り立ちを語る。
 幸田露伴、夏目漱石など、目で追って読むといまひとつ入ってこなかった文章が、CDで日下武史など古典的素養をもった人の朗読で聴くと、鮮やかに情景が思い浮かぶ。「声に出して読む文章」のくだりは、その体験からすっと腑に落ちる内容であった。
 吉川英治、志賀直哉などの優れた名文にふれたくなる講演。

司馬遼太郎が語る 4 文章日本語の成立 [新潮CD]

永遠の仔 5

 心に傷を負った人々の心情に、筆者は真摯に向き合い、自ら苦しみながら書き上げたことが「あとがき」からも伝わってくる。ミステリーという形式をとり、巧みなストーリー展開によって、長大な文章を飽きずに読ませるが、そこには丁寧に人々の思い、願いや祈りが表現されている。

永遠の仔〈5〉言葉 (幻冬舎文庫)
4344405846

永遠の仔 4

 物語は比較的淡々と進むが、切迫した心理描写が見事。、徐々にラストに向かって収斂を始める第4巻。

永遠の仔〈4〉抱擁 (幻冬舎文庫)
4344405838

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