授業研究に学ぶ高校新数学の在り方

 高校数学の問題や課題について、数学教育者、数学者それぞれの立場で述べられた本。授業の実践事例が、検討会の様子もふまえて載せられており、参考になる部分も多い。
 高校数学については、目先の問題をどう解かせるかに汲々として、授業の方法を突き詰める場面が小中学校に比べて少ないように思う。授業研究を通して、高校数学教育の在り方がもっと討議されることが必要と感じる。何のために数学を教えるのか、その原点を改めて考えるよいきっかけとなった。

授業研究に学ぶ高校新数学科の在り方
長崎 栄三 吉田 明史 渡辺 公夫
4185086180

雨ふり小僧

 「雨ふり小僧」は、民話風の短い話だが、印象に残る物語だ。
 集英社文庫の手塚治虫名作集第2巻には、他に「るんは風の中」「モモンガのムサ」「四谷快談」「山太郎かえる」「ミューズとドン」が収められている。
 手塚自身も気に入った短編のようで、「雨ふり小僧」「るんは風の中」「山太郎かえる」は、手塚プロによってアニメーションが作られている。また、「モモンガのムサ」は、未完のアニメ「森の伝説」に繋がっている。

手塚治虫名作集 (2)
4087482901

フェルメールの眼

 17世紀オランダを代表するフェルメールの絵画。その36作品の魅力を、赤瀬川原平が語る画文集。読むと、本物のフェルメールの絵を無性に見たくなる。

赤瀬川原平の名画探検 フェルメールの眼
Johanes Vermeer
4062090120

国家の品格

 数学者、藤原正彦の「国家の品格」を読む。胸のすく日本人論。明快であり、すぐに読めた。
 日本の良さを見直そうと鼓舞する内容で、たいへん反響のあった本。長く続いた不況や治安の悪化、福祉や少子化への不安など、日本人が自信を失いかけていたときに良いタイミングで出たという側面もあるだろう。もっとも、この本がたいへんに売れていること自体が、日本の底力を示しているように思う。
 歯に衣着せぬ物言いで、やや先鋭に過ぎる論調ではあるが、納得できる部分も多い。
 教育についても、様々な具体例があげられているが、特に数学の天才が出る風土については、たいへん興味深かった。日本の教育にとって何が重要であるのかを大局から考えるきっかけを与えてくれた。

国家の品格
藤原 正彦
4106101416

ライト兄弟

『 ゆめ-それはきえやすいものです。けれど、また、ながく心の中に生きつづけて、その人をみちびいていく大きな力にもなります。ライト兄弟の一生は、このゆめにみちびかれ、そのゆめをじっさいにあらわすための努力だったといえましょう。』

 長男に毎日させている、飛行機の父、ライト兄弟の伝記の朗読が今日終わった。母に図面を書くことの大切さを教えられ、ソリを自らの手でつくりあげたこと、父からヘリコプターのおもちゃを与えられ、大空への夢をかき立てられたこと。様々な経験が、ライト兄弟の初飛行につながっていた。
 内燃機関の専門家であった著者は、飛行機の発明が偶然ではなく、ライト兄弟の多くの体験と試行錯誤があって成し遂げられたことを丁寧に記している。
 思いを持ち続け、地道な努力を続けることがいかに大切か。
 技術立国日本の復権のためにも、それを様々な場面で子どもたちに伝えていくことが必要だと強く感じさせられた。

ライト兄弟―とべ!飛行機第一号
富塚 清
4061475096

声の網

 星新一の長編。電話ですべての情報が得られる社会で起る、12の物語から成り立っている。1970年の作品だが、現在のネットワーク社会を見事に予見している。
 中学生の頃に読んで、ぞくぞくする感覚を味わった。講談社文庫で読んだのだが、長く絶版になっていた。最近、角川文庫で復刊された。しかし、表紙のイラストは内容と全然イメージが合わないように思うのだが。

声の網
星 新一
4041303192

ボッコちゃん

 星新一の「ボッコちゃん」は、最初に自分で買った文庫本だった。小学校6年生頃だったろうか。ショート・ショートという、一編が10ページにも満たない話であるが、どれもウィットに富み、シャープな感覚にあふれていて好きだった。本をよく読むきっかけになった。
 「ボッコちゃん」に収録されている話ではないが、うらぶれた催眠術師が動物園で戯れに「おまえは人間だ」と象に暗示をかけて立ち去った後の象の話などは、いまでも考えさせられる。
 何もしない機械の話や、拾った鍵にあう扉を一生求め続ける話など、ずっと印象に残っているストーリーも多い。
 イソップの寓話のように時代を超えて語りかける星新一のショート・ショートは、ふとしたきっかけで心によみがえってくる普遍的な魅力を持っている。

ボッコちゃん
星 新一
4101098018

渚にて

 核戦争が勃発し、北半球の人類は死滅する。放射能は徐々に南下していく。オーストラリアの人々は、最期の日を目前として、どのように生きるのか…。
 ここには、画期的な解決策も英雄も登場しない。ただその運命を受容れる人々が淡々と描かれている。だがそれゆえに、ずっと心に残る作品である。

渚にて―人類最後の日
ネビル・シュート
4488616011

喜界島昔話

 ずっと気になっている話があった。それは何かの本で読み、喜界島という所の昔話であるとだけ覚えていた。十数年前に出会ったのだが、それ以来、時折記憶の底から浮かび上がってくる不思議な話であった。

 インターネットで「喜界島」をキーワードに検索してみた。幸運にも、島に関する様々な書籍のリストを載せている奄美大島の書店のサイトを探し当てた。そのリストの中に、「喜界島昔話集」があった。すぐに電子メールで書店に注文した。

 届いた本は表紙が薄緑色の古本で、時を経た匂いがした。編者は柳田國男である。喜界島で採録した話が107あり、気になっていた話も、やはりその中にあった。概略次のような話である。題名は「頭の木」

 『ある男が蜜柑の種を飲んだら、その種が腹の中で芽を出して大きくなり、頭へ突き出てきた。それから枝が生えて実がなるようになったので、子供達が蜜柑をとりにおしかけてきて騒がしくてたまらない。
 「こんなものがあるから騒がしいのだ」
と、男は蜜柑の木を引き抜いてしまった。ところが抜いた跡に大穴が出来て、雨が降る度に水がたまり、大きな池になった。こんどは子供達が魚釣りにやってきて、釣り針を男の耳に引っかけるやら目にひっかけるやらで始末におえない。これは死んだ方が楽だと言って、男は自分の頭にある池の中に飛び込んで死んでしまった。』

奄美郷土誌専門店 あまみ庵

動機

 「クライマーズ・ハイ」の横山秀夫の短編集。警察を舞台にした名作「動機」、刑期を終えた犯罪者をめぐる「逆転の夏」、女性記者の悲哀を描く「ネタ元」、裁判官を主人公にした「密室の人」の4編を収める。 

動機
横山 秀夫
4167659026

アクセスランキング

Ajax Amazon

  • Amazon.co.jpアソシエイト
  • UserLocal
  • Ajax Amazon
    with Ajax Amazon