菜の花忌
1996年2月12日、司馬遼太郎が死去した。享年72歳。忌日は、生前好きだった菜の花にちなみ、「菜の花忌」と呼ばれる。今年は、没後10年にあたる。
司馬遼太郎の膨大な作品群で、あえてひとつあげるとすれば、生きていれば最も会いたかったという高田屋嘉兵衛を描いた「菜の花の沖」が第一に思い浮かぶ。あまりに素晴しい作品なので、後でゆっくり語りたい。
菜の花の沖〈1〉
司馬 遼太郎 
1996年2月12日、司馬遼太郎が死去した。享年72歳。忌日は、生前好きだった菜の花にちなみ、「菜の花忌」と呼ばれる。今年は、没後10年にあたる。
司馬遼太郎の膨大な作品群で、あえてひとつあげるとすれば、生きていれば最も会いたかったという高田屋嘉兵衛を描いた「菜の花の沖」が第一に思い浮かぶ。あまりに素晴しい作品なので、後でゆっくり語りたい。
菜の花の沖〈1〉
司馬 遼太郎 
息子に「セロ弾きのゴーシュ」を朗読させる。聞いていて楽しくなる。その後、長岡輝子の朗読を聴かせる。豊かで味わいのある表現に、自然と引き込まれる。
『その一生はみじかくても、賢治のいのちは、自分の理想にむかって火のようにはげしくもえ、きえていきました。…』
息子が、西本鶏介著の宮沢賢治の伝記を読み終わる。小学生でも読めるよう書いてあるが、内容は深い。最後の章である「理想にもえた人」には、賢治の文学と生き方が慈しみのこもった名文でまとめられている。息子の朗読を聞きながら、胸に熱いものがこみ上げてきた。ほんとうに良い本だ。
息子と共に賢治の生涯を辿れ、満ち足りた気持ちである。
花巻の地に旅したとき、どこまでも続く木々を見て、安心と畏怖が入り交じった不思議な気持ちになった。風にさわぐ木々の薫りにふれ、まさしく人と文学を育む地だと感じた。
宮沢賢治のひたむきさと澄んだ抒情にあふれた作品に接するとき、この花巻の森を思い出す。
息子に、西本鶏介が思いを込めて書いた宮沢賢治の伝記を読ませている。信仰と現実とを一致させるべく苦悩する様を読んでも、小学2年生にはまだ実感を伴って理解できないかもしれない。しかし、自然への慈しみや、前向きに取り組むことの尊さは伝わるはずである。
なにより、子どもの読む「永訣の朝」などの詩に感動できることは、この上ない喜びだ。
宮沢賢治
西本 鶏介 
「屋根裏の散歩者」その題名だけでも妖しい雰囲気が漂う。読み始めると、主人公の隠微な行動に思わず引込まれていく。その心理描写は、江戸川乱歩文学の真骨頂。
表題作を収める光文社の全集第1巻は、「二銭銅貨」「D坂の殺人事件」「人間椅子」など、乱歩の世界を堪能できる短編集。地の底に沈むような文章に惑溺する愉しみが味わえる。
大震災後の日本を描く、かわぐちかいじ渾身の力作「太陽の黙示録」第10巻を読む。うすうす感じていたのだが、この巻を読んで遅まきながら、やっとハッキリわかった。この作品は、「三国志」をベースにしているのだ。
南北に分かれた日本の、北のエリアをクーデターで乗っ取る董藤卓也という人物が出てくる。これは、三国志で漢王朝を手中に収める董卓のことであり、董藤の部下で自衛隊を指揮する勝呂奉一は三国志の猛将、呂布奉先がモデルとなっているのは明らか。
このわざとらしい人名から、いままでの主な登場人物の名前が、三国志からとられていることにやっと気づいたのだった。主人公の柳舷一郎は劉備玄徳、彼を支える羽田と張は関羽と張飛、ライバル宗方操は曹操、その部下夏木惇史は夏候惇など。女性ファンの多い趙雲子龍は、やはり美男子である雲井竜児。
それにしても、日本版三国志を実現するために、大震災で国土の4分の1を沈め、琵琶湖を中心に南北に分断してしまうとは。その後を徹底したリアリティで描く力量はすごい。
さて、これからは諸葛孔明に相当する人物の登場も楽しみだ。
太陽の黙示録 10
かわぐち かいじ 
ユダヤ人を満州国に移住させるという「河豚計画」をモチーフに組み立てられた作品。ゴルゴ13の出生の秘密をほのめかす話はいくつかあるが、その中でもかなり信憑性が感じられる回。
一級のスパイ・スリラーの趣があり、冒頭の神田書店街からの描写から、引込まれる。さいとう・たかをの、国際社会の一コマを鮮やかに切り取る手腕にはいつも感服させられる。
浦沢直樹が描く「MASTERキートン」の原作者、勝鹿北星が、きむらはじめ名義で脚本を手掛けたようだ。
ゴルゴ13 (57)
さいとう たかを 
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