花燃ゆ 7

 NHK大河ドラマ「花燃ゆ」の第7回は、「放たれる寅」。
 ハナが垂れたようなタイトルであるが、セキュリティゼロのまったりとした獄の描写で、出るのはいやじゃとごねる寅次郎について、精神的には洟垂れ小僧の雰囲気を感じる。
 それにしても、幕末の緊迫した情勢がまったく描写されないのは、脚本の怠慢か力がないのかやる気がないのか、それら全てがそうさせるのか。
 「大河ドラマ」というからには、滔々とした歴史のうねりを期待しているのだが、そんなものはどうでもええという感じのまったりドラマ。あまりのうすっぺらさに憤りすら感じる。
 視聴者をうならせるレベルで大河ドラマを書ける脚本家はもはや日本にはいなくなってしまったのであろうか。悲しい。

NHK大河ドラマ「花燃ゆ」

花燃ゆ 前編 (NHK大河ドラマ・ストーリー)
NHK出版
4149233683

模倣犯

 非情な殺人犯と、その被害者側双方が実に丁寧に描かれている。文庫本5巻に及ぶ大作だが、時間を忘れて読むことに没頭した。
 第1部の緊迫感で作品にぐっとひきこまれる。第2部では、視点は違うが、曾野綾子の「天上の青」を彷彿させるものがある。第3部では、至る所に張られた伏線の妙を味わえる。冒頭からラストまで、様々な人物を彩なしていく巧みな筋運びは、まさに職人芸。
 個人的には、豆腐屋のご主人や、ソバ屋の旦那さんの描写がいいと感じた。あまりに凶悪な殺人を描いているが、それに関わる人々を描く筆致に暖かさがあり、その対比の鮮やかさがこの作品に魅力を与えている。



花燃ゆ 6

 NHK大河ドラマ「花燃ゆ」の第6回は、「女囚の秘密」。
 前回の吉田松陰が入れられた野山獄の雰囲気とは打って変わって、あまりに明るい獄中の雰囲気である。いったいどうしてしまったのか。松陰が野山獄の様子を変えたと表現したいのかもしれないが、それにしても薄っぺらい学園ドラマのようなこの描写には目を疑った。いつでも脱走してくださいといわんばかりのセキュリティのゆるさ、囚人好き放題の場に、唖然とする。
 あまりに軽すぎないか。脚本家やスタッフは、大河ドラマを作る誇りや重みを自覚しているのだろうか。

NHK大河ドラマ「花燃ゆ」

花燃ゆ 前編 (NHK大河ドラマ・ストーリー)
NHK出版
4149233683

芥川隆行が語る 名作シリーズ あゝ野麦峠

 芥川隆行が語るシリーズの「あゝ野麦峠」は、語りの雰囲気が時代に良く合い、じっくりと聴かせてくれる。
 背景にマーラーの交響曲が用いられているが、違和感がない。
 明治期の富国強兵を支えた女工たちの悲哀を描き、切なさが募る名編。

名調子 芥川隆行が語る 名作シリーズ あゝ野麦峠

花燃ゆ 5

 NHK大河ドラマ「花燃ゆ」の第5回は、「志の果て」。
 この回は、良かった。吉田寅次郎が野山獄につながれる。獄中で本田博太郎演じる囚人、富永有隣に話しかけるが、彼のリアクションが凄い。「生きて 腐って 呪え」 これを、地獄からの使者のような形相で繰り返す。
  大沢たかお演じる小田村伊之助に因縁をつけた武士たちを、桂小五郎が鮮やかな手並みで不意打ちをしかけてから逃げるシーンも、いつになく切れが良かった。
 また、井伊直弼が登場するシーンは、明らかに空気が変わり、映像が締まった。
 今回は、いままでの回はなんだったのだろうと思わせるほど密度が濃かった。是非、大河ドラマとしての自負をもち、このクオリティを保ってほしい。

NHK大河ドラマ「花燃ゆ」

花燃ゆ 前編 (NHK大河ドラマ・ストーリー)
NHK出版
4149233683

ひぐらしのなく頃に 解

 PCソフト「ひぐらしのなく頃に」の解決編となる、「ひぐらしのなく頃に 解」。その渾身のシナリオは圧巻。

ひぐらしのなく頃に 解 -目明し、罪滅し、皆殺し、祭囃し編-[同人PCソフト]

ひぐらしのなく頃に

 PCソフト「ひぐらしのなく頃に」。一見、萌え系ソフトの用であるが、実は骨太のストーリーによるミステリー。前半の脳天気な雰囲気から、後半一気にシリアスなドラマとなっていく展開が凄い。

ひぐらしのなく頃に -鬼隠し、綿流し、祟殺し、暇潰し編-[同人PCソフト]

盲導犬クイールの一生

 「盲導犬クイールの一生」を石田ゆり子が朗読したCD。実話に基づく、感動のストーリー。静かに語られる朗読て、クイールのけなげさが心にしみる。

盲導犬クイールの一生 / 石田ゆり子

花燃ゆ 4

 NHK大河ドラマ「花燃ゆ」の第4回は、「生きてつかあさい」。
 やや脚本がしまった印象。黒船に吉田寅次郎が乗り込むシーンは、見応えがあった。

NHK大河ドラマ「花燃ゆ」

花燃ゆ 前編 (NHK大河ドラマ・ストーリー)
NHK出版
4149233683

もーれつア太郎

「こらえていきるも おとこなら うられたけんかを かうのもおとこ」

 赤塚不二夫原作の「もーれつア太郎」は、人情とギャグが融和した傑作。白黒テレビでアニメをよく見ていた記憶がある。江戸っ子の八百屋ア太郎とデコっ八が織りなす物語であり、人情味溢れる話が多かったように記憶している。演歌調の主題歌はいまだに耳に残っている。
 赤塚作品の常で、ア太郎はどんどん影を潜め、ニャロメ、ケムンパス、べし、ココロのボスといった他のキャラクターがどんどん存在感を増し、そちらが主役をはるようになっていく。

第1回 「もーれつ息子とグータラ親父」「もーれつワンワン大暴れ」

もーれつア太郎 (1) (竹書房文庫)

もーれつア太郎 DVD-BOX Vol.1【完全生産限定盤】

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