爆笑問題のニッポンの教養

 昨年「爆笑問題×東大 東大の教養」が放映され、興味を持ってみた。爆笑問題は、居並ぶ東大の教授陣に対し、「もっと日常をひきずりこまなければ」と提起した。爆笑問題が名実を伴った最高学府にズバリと切り込む様は、だいぶ反響があったようだ。
 それを受け、具体的な領域に爆笑問題が分け入る「ニッポンの教養」の放送が始まった。第1回は、発生生物学の浅島誠教授の研究室探訪。浅島教授は、再生医療の道筋を示し、最もノーベル賞に近い科学者とも言われている。番組では、イモリやカエルの受精卵を取り出し、心臓などの器官を作り出すことが紹介されていた。爆笑問題は、歯に衣着せぬ物言いで、「先生のやったことで後に引けなくなっているんじゃないんですか。」など、科学と倫理の問題にまで踏み込んだ発言をしていた。
 30分では内容に消化不良の感もあったが、知的興奮を与えてくれる番組だった。このような、学問を身近に捉えさせてくれる番組は、もっとあっていい。

爆笑問題のニッポンの教養

爆笑問題×東大 東大の教養
爆笑問題
B000NJXABE

キュリー夫人

 息子がキュリー夫人の伝記を読み終える。いままでに同じシリーズで十冊の伝記を音読させたが、文章の豊かさという点で最も印象に残る本であった。
 ロシアの圧政に苦しむポーランドで過ごした少女時代、卒業後に遊び暮らした夢のような1年間、貧しく自由の少ない家庭教師として鬱々とする日々、パリへの旅立ちと最良のパートナー、ピエールとの出会い。それらが、ふくらみのある文体で実に丁寧に綴られ、小説のように楽しめた。
 家事や育児をこなしながらも、実験や物理化学と向き合い、ひたすら真理を追い求める毎日。苦難の末に、放射性元素ポロニウム、ラジウムを発見する。この20世紀科学のあけぼのを告げる偉業が、実直でひたむきな生活から生まれたことに清々しい感動を覚えた。
 美しいブルターニュでの描写でさりげなく幕を閉じ、余韻が残る。伝記の中でも、ひときわ文学的香気を放つ名著。

キュリー夫人―輝く二つのノーベル賞
ドーリー
4061475053

名探偵コナン 科学トリックBOOK

 名探偵コナンの漫画と共に、簡単な科学を使ったトリックを説明する学習漫画。ロウソクやコインなど日常の中での科学実験が多数収録され、小学生が興味を持てる構成になっている。

名探偵コナン 科学トリックBOOK
青山 剛昌
4092531427

コミック版 プロジェクトX挑戦者たち―液晶 執念の対決

 液晶ディスプレイの開発に挑んだ技術者たちのドラマ。プロジェクトXのコミック版だが、池原 しげとの描き方も素晴らしく、企業での技術者の苦悩と喜びが伝わり、素直に感動した。

コミック版 プロジェクトX挑戦者たち―液晶 執念の対決・瀬戸際のリーダー大勝負
池原 しげと NHKプロジェクトX制作班
4872878493

人体透視図鑑

 図書館で本やビデオを借り、帰ろうとして子どもに声をかけると、長男は隅で大きな本をじっと見ていた。随分借りたので、その大きな本を戻して帰ろうと言うが、長男が手から本を放す気配がないので、かさばって大変だと思ったが、仕方なく一緒に借りてくる。
 その「人体透視図鑑」を帰ってから見ると、これが実に緻密に描かれたイラストで、色違いの小さな人々が組織や免疫などの機能を表わすユニークな本であった。ページ数こそ少ないものの、その細かさは圧巻。吸い込まれるように見ていた長男は、そのイラストから、人体の神秘を子どもながらに感じとったのかもしれない。

人体透視図鑑
リチャード プラット Richard Platt Stephen Biesty
4751515675

ヒトゲノムマップ

 近くの少年科学館に行くと、人の遺伝情報がまとめられた「ゲノムマップ」が置いてあったので、もらってくる。「一家に1枚周期表」の科学技術広報財団が作成したもの。周期表も、貼っておくと子どもが折りにふれて見ている。この前も、「金はAuだから英雄が持つんだね」などと言っていた。
 ゲノムマップは、見た目は少々難しいが、貼っておけば興味を持つ機会があるかもしれない。科学に親しむ環境をできるだけ作っていきたい。

一家に1枚ヒトゲノムマップ

ディープ・インパクト

 巨大な隕石による人類滅亡の危機。この設定でいくつもの映画が作られている。その中でも、「ディープ・インパクト」は、ダイナミックでリアルな映像と人々の姿をしっとりと描くシナリオが見事に融和した味わいのある作品。
 ティア・レオーニ演じるニュース・キャスターが隕石接近の事実に触れていく運びがとてもうまいと思った。隕石の破壊に向かう宇宙船の船長ロバート・デュヴァルが、目を負傷した隊員に「白鯨」を読むなど、繊細な演出が心憎い。モーガン・フリーマンの演じる大統領の真摯な姿も印象的。人々の理性を全面に出している映画。

ディープ・インパクト (字幕版)

ミクロの決死圏

 脳内出血で倒れた科学者を救うため、探査艇ごと縮小された医療チームを血管に注入し、体内から患部に行き治療するという着想の映画。1966年の作品。

 これを小学生の時にテレビで見て、すごく興奮した覚えがある。無数の赤血球が浮かぶ血管内、猛スピードで流れる心臓付近の静脈、神秘の色をたたえた内耳の風景、異物に襲いかかる抗体。一番身近である、自分自身の内部がこんなに巧みな仕組みと美しさに満ちているのかと、不思議な思いにとらわれた。人体内部が、小宇宙であることをまざまざと感じさせてくれ、生命に対する興味を決定的に高めてくれた映画だった。

 この人体内部の美術デザインは、シュルレアリスムの巨匠、サルバドール・ダリが手がけている。どんなにコンピュータ・グラフィックスの表現技法が発達しても、この映画が与えてくれた人体内部のインパクトを凌ぐ映像にはいまだ出会っていない。

 何度も見ても、色あせるどころが、新しい魅力が発見される素晴らしい映画だ。
 アイデアやストーリーが卓越しているだけでなく、科学に大いなる夢を持たせてくれた点でも、自分にとっては大切な作品。

ミクロの決死圏
スティーブン・ボイド アイザック・アシモフ リチャード・フライシャー
B0006TPEQK

ザ・コア

 地磁気の異常で起る人類の危機を回避するため、地球内部に潜行するというSF。
 「アルマゲドン」のようでもあり、「海底2万マイル」の雰囲気もあり、「ミクロの決死圏」風な感じもあり、「鳥」を彷彿させるシーンもあり、「インデペンデンス・デイ」を思わせる節もある。とにかく使えるアイデアは何でも取り入れようという貪欲なまでの創作意欲に恐れ入る。
 冒険する若き科学者、行動的な女性、マッド・サイエンティスト、ハッカー、権威の象徴など、アメリカ映画で典型的な人物たちが登場する。
 序盤の、スペース・シャトルがロサンゼルスの真ん中に着陸するシーンなどは素直にすごいと思った。サービス精神が横溢した、アメリカ風てんこ盛りSF。

ザ・コア [DVD]

理数セミナー

 理科・数学の授業でコンピュータを活用するセミナーを行う。午前中、Logoや数式処理ソフトMuPADについて、その背景と授業への利用について話し、実際に体験してもらう。午後は、理科や数学のソフトについて紹介する。今後、主流となるであろうソフトウェアの配信サービスについても触れる。学校においても、ソフトウェアをパッケージで買うのではなく、1年契約でソフトをWeb上から使う形が増えていくであろう。
 理科や社会などの資料的なコンテンツは充実してきている。しかし、ソフトを試用してみると、勘違いしているのではないかと思われるものも多い。ただキャラクターが面白おかしく話をして、問題を出していくソフトが目につくが、どうも本質から逸脱している。目先の楽しさでなく、学ぶこと本来の良さや、学問の素晴らしさを伝えるソフトには、なかなか出会えない。
 コンテンツでは、ブリタニカ・サイエンスのクリップのような、密度のあるものには好感がもてる。多くのソフトでは、「詰め込み」を忌避するあまり、「中身の濃さ」がおろそかにされていないか。
 それにしても、市販の数学ソフトの状況はお寒い限りである。相変わらず電子問題集的なものが多い。もっと、「数学は素晴らしい」と、グッと迫ってくれるものはないものか。
 Logoのように、試行錯誤をするなかで概念形成をはかるようなソフトにもっと目を向けてもらいたい。
 1986年の本だが、佐伯胖著、岩波新書の「コンピュータと教育」に掲げられた戸塚滝登氏のLogoを用いた実践は、20年を経た今でも新鮮であり、教育におけるコンピュータ活用の方向を示しているように思う。

コンピュータと教育
佐伯 胖
4004203325

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