高校数学でわかるシュレディンガー方程式

 量子力学の歴史をたどりながら、最も重要なシュレーディンガー方程式が導かれるまでを、高校程度の数学を用いて解説した本。量子力学の誕生から、どう発展していったのか、その過程が分かりやすく語られ、たいへん興味深く読める。比較的簡単な数式を用いながら解説されている点が良い。
 こういった科学の本は、ともすると文章だけで綴られていて、数式がほとんど現れず本質がつかみづらいか、逆に数式の羅列に終始してその式の表わす意味が理解しづらいか、いずれかに陥ることが多い。本書は、文章と数式のバランスが良く、歴史とからめた形で数式の意味を納得でき、基本を押さえることができる。
 科学に興味を持つ高校生や、量子力学の基礎を確認したい大学生に薦められる一冊。

高校数学でわかるシュレディンガー方程式―量子力学を学びたい人、ほんとうに理解したい人へ (ブルーバックス)

ニュートン

 「物質を引っぱる力は、宇宙全体にみちている」

 万有引力の法則、微積分法の確立、光の分析、数々の偉大な業績を残した近代科学の父、ニュートン。その伝記を息子の音読によって聴き、人間ニュートンの側面を知ることができた。養父との確執、孤独な青年時代、ペストが吹き荒れる中でも失われることのなかった、不屈の探求心。
 ルターの宗教改革、成長する市民階級、議会と国王との対立で揺れ動くイギリス。著者は、ニュートンの生きた時代背景を丁寧に記し、近代科学が築かれる社会の雰囲気を伝えている。
 ニュートンの偉大な業績の多くは、25歳までの間に着想や発見の糸口が認められるという。そのためか、後半生の記述はそれほど多くない。実際の理論や数式と向き合うことが、もっともニュートンにふさわしい対話の仕方と言うことであろうか。
 息子がニュートンの伝記で感心したのは、未熟児で生まれたのに、体調がすぐれないと自分で薬を作って体を治し、84歳まで長生きをしたことだった。

ニュートン―りんごはなぜおちるか (講談社火の鳥伝記文庫 (51))
斎藤 晴輝
4061475517

驚異の小宇宙 人体 Vol.2「しなやかなポンプ~心臓・血管~」

 生きている間、片時も休みなく動き続ける心臓。その精妙なメカニズムを、鮮やかな実写とCGで解き明かす。能楽師の心拍を縦糸としている点も興味深い。

NHKスペシャル 驚異の小宇宙 人体 Vol.2「しなやかなポンプ~心臓・血管~」
久石譲 タモリ 小出五郎
B00008PTC6

宇宙(ニューワイド学研の図鑑)

 宇宙の図鑑を長男十歳の誕生日に贈る。ニューワイド学研の図鑑シリーズのひとつ。太陽系、恒星、銀河系と銀河、宇宙の構造、天文観測、宇宙開発と、様々な角度から宇宙について眺める。カラーイラストと写真で構成されたページは、どれも美しく神秘に満ちており、目を奪われる。これほど豊かな内容で、二千円程度。
 宇宙へのロマンが感じられ、知的好奇心のわく一冊。

宇宙 (ニューワイド学研の図鑑)
磯部 シュウ三 吉川 真
405500415X

驚異の小宇宙 人体 Vol.6「生命を守る~ミクロの戦士たち~」

 「免疫のビデオを見ようよ」と子どもが言う。なぜ免疫?話を聞いてみると、ニンテンドーDSでバイ菌どうしが戦うゲームをやって、体の中でバイ菌を攻撃する仕組み「免疫」に興味をもったらしい。やはりゲームからか。
 ともあれ、図書館で「驚異の小宇宙 人体」第6巻を借りて見る。1989年のNHKスペシャルで放映されたものである。
 実写とCGを交え、マクロファージやT細胞が連携して、細菌を攻撃する仕組みが分かりやすく解説されている。

 しかし、免疫のテーマは、単に異物の排除にとどまらない。免疫とは、自己と非自己を分ける営みである。もしも、免疫の機能が不全となり、自己を非自己と判断すれば、免疫細胞は自らの体を攻撃し始める。
 また、非自己を判断するT細胞を育てる「胸腺」という器官は、十代前半で最大となり、その後は急速に縮小する。それゆえ、歳をとるに従い、自己を判断する基準が弱まってくる。老化は、免疫機能の低下によって引き起こされる現象でもある。免疫は、世代交代を進めるために自らを攻撃し、死滅させていくためのプログラムでもあるようだ。
 「自己」と「非自己」、「寛容」と「拒絶」。免疫のシステムは、生命現象と社会現象とのアナロジーを提示している。

NHKスペシャル 驚異の小宇宙 人体 Vol.6「生命を守る~ミクロの戦士たち~」
久石譲 タモリ 小出五郎
B00008PTCA

ガリレオ

 「振子の等時性」「落体の運動」など、物理学上の大発見を成し遂げ、自ら望遠鏡を作って天体を観測し、数々の偉業を残したガリレオ=ガリレイ。すべてのものは観察と実験によって真理をつきとめることができる、ということを身をもって実行した「近代科学の父」。その生涯を、息子の音読でたどり、親子共に感慨を得ることができた。

 特に、望遠鏡で初めて月を覗いたときの描写は、こちらも興奮してくるほどであった。著者の草下英明氏は、五島プラネタリウムの解説員をしていた。そのため、近代天体学の出発点となったガリレオの観測に、深く心を寄せて書いていったのであろう。

 ガリレオは晩年、著書「天文対話」などで地動説を広めたことにより、ローマ法王庁によって宗教裁判にかけられる。「それでも地球は動く」と言ったことで有名な史実である。伝記によって生涯をたどることにより、地動説を誤りと認めることがガリレオにとってどんなに悔しいことであったかが、心に迫ってくる。

 伝記の最後に、1992年にローマ法王ヨハネ=パウロ二世の発表によって、ガリレオのローマ=カトリック教会からの破門は誤りだったとして、ガリレオが359年ぶりに破門を解かれて名誉を回復したことが付記されている。伝記の著者、草下氏が亡くなった翌年のことであった。

ガリレオ―それでも地球は動く
草下 英明
4061475290

驚異の小宇宙 人体 Vol.3「消化吸収の妙~胃・腸~」

 1989年にNHKスペシャルとして放送された「驚異の小宇宙 人体」。鮮明な顕微鏡映像と、CGを駆使した解説で、人体の精巧な仕組みに驚きを覚えた。
 子どもが体の仕組みに興味を持ちはじめたので、図書館からビデオを借りて久しぶりに見る。第3回、胃腸の消化吸収をとりあげた内容だが、CGよりも実写の胃の内部がすごい。泉のようにわき出る強烈な酸を持つ胃液。その酸で胃そのものが壊れないのは、胃壁を守る粘膜細胞が絶妙な働きをするからであった。
 アルコールによって、胃液を出す細胞と粘膜細胞のバランスが崩れ、胃壁がズタズタになった映像を見て、「飲み過ぎは恐ろしい!」と、その時は思った。だがすぐ、胃の再生機能にたよってしまう…。

NHKスペシャル 驚異の小宇宙 人体 Vol.3「消化吸収の妙~胃・腸~」
久石譲 タモリ 小出五郎
B00008PTC7

21世紀 知の挑戦

 TBSで1999年と2000に放送された「ヒトの旅、ヒトへの旅-世紀末・人類最先端スペシャル」は、20世紀がどのような時代であったかをふりかえり、21世紀がどのような時代になろうとしているかを展望する大型番組であった。立花隆は、この番組のために、現代の科学技術の最先端を様々な角度から取材した。本書は、それらをもとに考察されたものであり、バイオ関連の話題がたいへん多い。
 また、「ツングースカ大爆発」の謎に関する記述は興味深い。
 最終章の「21世紀 若者たちへのメッセージ」では、日本の教育に対して切実な警鐘を鳴らしている。

21世紀 知の挑戦
立花 隆
4167330121

Mathematica 方法と応用

 数式処理ソフトMathematicaの解説書として、不動の地位を占める著作。Mathematicaの柔軟性と適用の広さを豊富な事例で示し、数学を体験的に学ぶ書ともなっている。入門から熟練者まで、それぞれの段階で役に立つ。
 訳者の思い入れのあるあとがきも、この書の重さを物語っている。
 「本書は計算機科学の本として、第一級の本となってしまった。」

Mathematica 方法と応用
J.W. グレイ John W. Gray 時田 節
4914903318

サイボーグ技術が人類を変える

 電気工事の事故で両腕を失った男性が、脳から腕に伝わる神経を胸に埋め込み、その胸の電気信号を利用して、機械の腕を自在に操る。
 2005年11月3日に放映されたNHKスペシャル「立花隆 最前線報告 サイボーグ技術が人類を変える」では、ここ数年急速に発達した神経工学が応用される様を衝撃の映像を交えてレポートしていた。2006年11月3日の再放送を録画し、半年間部屋の隅に寝かせてあったビデオを見て、その内容の凄さに慄然とした。
 片手を失った女性が、5本の指を動かす人工義手を取り付ける。脳は徐々にその操作に慣れ、自然な感覚で義手が操作できるようになっていく。脳そのものが機械に適合していく事例には、深い興味を覚えた。
 生きているマウスに電極を取り付け、指令したとおりに動かす場面などから、その応用には空恐ろしいものを感じた。アメリカ国防総省も巨額の費用をつぎこみ、研究を進めているという。
 物理学と生物学が融合した技術が、21世紀に大きな影響を与えることは間違いないだろう。番組では、この技術の有用性と共に、利用についてじっくり議論する必要性も投げかけていた。

NHKスペシャル「サイボーグ技術が人類を変える」

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