1÷3

 小学校2年生の長男に、冬休みに入ってから分数の計算を教える。新課程学力ドリル算数 (小学5年生)に沿って学習してきたが、分数を小数に直す箇所で、待望の「1÷3」の計算ができる。小数の計算について、多くの筆算練習を経て、ようやくここにたどり着いた。
1div3

 「1割る3を筆算でやってごらん。」というと、息子はひたすら筆算を進め、16桁まで計算したところで、筆算がノートの端に来てしまった。ここで、ようやく顔をあげ、
 「ずっと続くんだね。」
と言う。無限を自ら感じとれた瞬間である。
  1/3=0.33333333…
「ずっと続く小数の値でも、分数ならはっきりとした形で表せるし、いろいろと計算もできるね。」と、分数の役割を伝える。
1div7

 次に、1÷7の筆算をさせる。
  1/7=0.14285714…
ここまで計算して、息子は、「一週したね。」と言う。循環することが分かったようだ。さすがにこのときは、本当に嬉しかった。

 循環小数は、無限を定式的に捉えることの入り口となる。分数を学ぶことは、多様な数の世界に一歩足を踏み入れたことである。計算の習熟と共に、折りにふれて、そのことの素晴らしさを伝えていきたい。

道は開ける

 「悩み」を克服する方法を具体的に述べたロング・セラー。たいへん分かりやすく書かれているが、背景には豊富な経験と人脈があり、哲学や科学の知見に裏打ちされている。
 その説得力のある文章にふれるだけでも価値があるだろう。悩みを抱く人だけでなく、より良く生きることを見据えたい人にもすすめられる名著。

道は開ける 文庫版

桃太郎電鉄

 桃太郎電鉄は、すごろくと経営を合わせたようなパーティ・ゲーム。まずゴールとなる駅が示され、そこに向かってサイコロを振りながら各自の電車を移動させ、一番先に到着させると億単位の資金が得られる。止まった各駅で物件を購入することができる。物件からは、収益率に応じて年度末に利益が得られる。決まった年限の中で、いかに資産を増やすかを競うゲーム。途中、スリにあったり、貧乏神がとりついたりと、様々なイベントがあり、飽きない。

 教育的な要素も侮れないものがある。日本全国の地名が自然と覚えられるし、松山ならば、物件が「夏目漱石グッズ屋」「正岡子規グッズ屋」「道後温泉」、青森ならば「太宰治グッズ屋」「リンゴ農園」など、地理の基礎事項がさりげなく押さえられる。
 また、物件は数千万円単位や数億円単位であり、イベントがあれば持ち金の額が百万円単位で変動するので、大きな数の勉強にもなる。貧乏神にとりつかれるとすぐに赤字になるので、マイナスの計算が実感できる。物件の収益率から、割合の概念を把握させることもできる。

 アクションゲームに熱中させるよりもよいと思い、子どもたちとたまにプレイする。地理に関心を抱き、「北海道と本州を結ぶトンネルは青函トンネルって言うんだよね」などと、子どもが口にすると、「よく知っているね、どうやってトンネルを掘ったのだろうね」など、その後、いろいろな話題に広げるきっかけもできる。
 もっとも、ゲームをやりはじめると、子どもたちより熱中していることもしばしばあるほど、大人でも楽しめる。

桃太郎電鉄12 PlayStation 2 the Best
B0007L8U3G

ネットデイ

Netday01  前橋市立桃川小学校で行われた、インターネットつなぎ隊によるネットデイに参加する。ネットデイとは、学校にネットワークを敷設する工事を、地域のボランティア、教職員、保護者などが協力して行い利用環境を整える活動。

Netday02  天井の板を取り外し、ケーブルを少しずつ伸ばして各教室に配線をし、黒板の横などにコンピュータでネットワークを接続するためのコンセントを設置する。

 ミーティングの後、各班に分かれて作業を行う。最初はとまどう場面もあるが、工事がはかどってくると、皆生き生きとした表情になる。敷設が終わる頃になると、作業したもの同士が学校のために協力して配線できた喜びを共有し、たいへんうち解けた良い雰囲気になる。
Netday03  今回は教頭先生自ら、ケーブルの末端を加工する重要な作業をし、見事にネットワークを開通させた。

 ネットデイは、アメリカのシリコンバレーが発祥の地で1995年から始まった。日本では1996年にインターネットつなぎ隊が前橋市内の学校で初めて行った。
 インターネットつなぎ隊は、群馬県在住の技術者、教育関係者などを中心に様々な人々が集まる任意団体で50名を数える。
Netday04  中には親子で参加し、息子には天井裏に昇らせ、狭い場所にケーブルを通す役割をさせる奇特な人もいる。

 自分は1997年に初めてネットデイに参加したが、その時、隊員たちの「インターネットをつなぎたい!」という熱い思いが強く伝わってきたことを鮮烈に覚えている。
 地域や保護者、教職員の皆が協力して、学校と他とをつなぐ活動は、教育の一つのあり方を示している。

理数セミナー

 理科・数学の授業でコンピュータを活用するセミナーを行う。午前中、Logoや数式処理ソフトMuPADについて、その背景と授業への利用について話し、実際に体験してもらう。午後は、理科や数学のソフトについて紹介する。今後、主流となるであろうソフトウェアの配信サービスについても触れる。学校においても、ソフトウェアをパッケージで買うのではなく、1年契約でソフトをWeb上から使う形が増えていくであろう。
 理科や社会などの資料的なコンテンツは充実してきている。しかし、ソフトを試用してみると、勘違いしているのではないかと思われるものも多い。ただキャラクターが面白おかしく話をして、問題を出していくソフトが目につくが、どうも本質から逸脱している。目先の楽しさでなく、学ぶこと本来の良さや、学問の素晴らしさを伝えるソフトには、なかなか出会えない。
 コンテンツでは、ブリタニカ・サイエンスのクリップのような、密度のあるものには好感がもてる。多くのソフトでは、「詰め込み」を忌避するあまり、「中身の濃さ」がおろそかにされていないか。
 それにしても、市販の数学ソフトの状況はお寒い限りである。相変わらず電子問題集的なものが多い。もっと、「数学は素晴らしい」と、グッと迫ってくれるものはないものか。
 Logoのように、試行錯誤をするなかで概念形成をはかるようなソフトにもっと目を向けてもらいたい。
 1986年の本だが、佐伯胖著、岩波新書の「コンピュータと教育」に掲げられた戸塚滝登氏のLogoを用いた実践は、20年を経た今でも新鮮であり、教育におけるコンピュータ活用の方向を示しているように思う。

コンピュータと教育
佐伯 胖
4004203325

ドラえもん不思議サイエンス

 ドラえもんの漫画を元に、様々な科学現象が説明されている。
 章のタイトルは、光の性質、熱の性質、燃焼の秘密、音の秘密、力と運動、電気の秘密、磁石の秘密、空気の秘密、四季と天気、物質の三態、時間の秘密、宇宙の秘密、宇宙探検。
 これだけでも、本書の密度が濃いことが伺えるであろう。そう、ドラえもんポケットは、科学の宝庫なのだ。身近なところから、科学に迫る格好の素材だ。

ドラえもん不思議サイエンス
綿引 勝美
4092590601

一家に1枚周期表

Shuuki2  文部科学省が新しく作った周期表が、なかなか良くできているので、3枚購入した。(1枚100円)
 それぞれの元素がどんなことに応用されているか書かれており、関心が持てるように工夫されている。カラフルで、デザインもきれいなので、居間に1枚と、廊下に1枚貼る。元素記号は、国際的な化学の言葉の元である。小さいときに馴染んでおくのも、決して無駄ではないだろう。

 「水素はH、酸素はO、炭素はC、これだけは知っておくといいよ。」と、小学2年の長男に言う。ついでに、水はH2Oという分子になることも伝えておく。詰め込みでもなんでもない。きっかけづくりである。折りにふれて周期表を見ることが、将来化学を理解する布石になる。
 長男は表を見て、「ラジウムって、キュリー夫人が発見したんだよね。」などと言っていた。絵本で見たのであろう。

 理科離れと言われているが、理科は自然そのものを見つめるものなのだから、離れるもなにも、まわりにごく普通にあるものだ。それらに目を向けさせる機会を多くすればよいだけのことである。

 一家に1枚周期表について(pdfファイルあり)
 一家に1枚周期表(販売方法)について
 できました「一家に1枚周期表」(いきさつ、コンセプト等)

校内ネットワーク活用プロジェクト

 東京ビッグサイトで開催された、校内ネットワーク活用プロジェクトに参加する。堀田龍也氏をコーディネータとして、基調講演、実践発表、パネルディスカッションがあり、たいへん示唆に富む会であった。
 詳細は、齋藤俊明さんのブログに記されている。
 齋藤さんは、一貫して教育をテーマとしたブログを毎日書かれているが、その姿勢には、本当に頭が下がる。

電卓

 7.8×3.9    600×25.5
などの小数の計算を息子にドリルでさせている。
答え合わせは、電卓を使って問題を入力させ、結果を声に出して読ませている。それにより、電卓の扱いと数字の読み方を学習できるし、何より自分で計算した結果が客観的に確認できることにより、満足感が得られる。

 計算練習の後、息子が、「ルートって何?」と、電卓のボタンにある”√”の記号を指して言う。なぜ読めたのか分からないが、おおかたゲームか漫画に出てきたのだろう。
「3×3=9 のとき、√9 は3 のように、2回同じ数字をかけた結果に対して、もとになる数のことだよ。では、√4 はいくつ?」
「2」
「それじゃあ、√25 は?」
 すぐには分からなかったようなので、1×1 2×2 3×3 4×4 と順に計算をさせ、√25=5 を分からせ、ついでに電卓で確認させる。

 その後、息子は勝手に電卓に√77など押して遊んでいた。
 √77 = 8.774964387
「なんか変な数になるね。」
「ここに出ている数字は、もっとずっと続いていくんだよ。」
「隣のときちゃんのおうちに当たるくらい続くのかな。」
「月の先の先、ずっと続くんだよ。」

 √は、ほとんどの電卓にある記号で、子供にとっても身近に感じさせることのできる演算である。なじめば、非線形であることは常識となり、
√2+√3 = √5
とする大学生も減るだろう。

クイック・データアナリシス

 今日、30名ほどの人々に基礎的なデータ処理の話をする。標準偏差、相関係数、正規分布、推定、検定などの内容について、Excelとプリントを利用しながら、2時間半でエッセンスを伝える。
 話の最後に紹介したJavaScript-STARには、簡便に結果が出るため、特に皆が関心を持ってくれたようだ。JavaScript-STARは、特別な数式を使うことなく、枠に数字を入力するだけで検定結果が出る優れたフリーソフト。Web上からも入力でき、結果がすぐに返ってくる。
 「クイック・データアナリシス」はJavaScript-STARの様々な活用例が載っている。ユニークな例題とノリのいい文体で、楽しくラクにデータ解析が体験できるポップな統計書。
 

クイック・データアナリシス―10秒でできる実践データ解析法
田中 敏 中野 博幸
4788509199

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