ワールド・トレード・センター
2001年9月11日、同時多発テロで崩壊したワールド・トレード・センターでの実話を元に製作された映画。オリバー・ストーン監督による2006年度の作品。
冒頭のスリリングな展開から、一転、瓦礫の下で生死をさまよう2人の警察官とその家族が、重苦しいほど静かなタッチで描かれる。余韻の残る映画。
ワールド・トレード・センター
ニコラス・ケイジ マイケル・ペーニャ マギー・ギレンホール
2001年9月11日、同時多発テロで崩壊したワールド・トレード・センターでの実話を元に製作された映画。オリバー・ストーン監督による2006年度の作品。
冒頭のスリリングな展開から、一転、瓦礫の下で生死をさまよう2人の警察官とその家族が、重苦しいほど静かなタッチで描かれる。余韻の残る映画。
ワールド・トレード・センター
ニコラス・ケイジ マイケル・ペーニャ マギー・ギレンホール
「指導力不足教員」とは、どのような人々なのか。
平成13年度から、東京都教育委員会が他の自治体に先駆けて指導力不足教員を対象とした研修を実施した。「教員改革」は、その企画・運営・指導にあたった著者が、指導力不足教員の実態と対応を記した書である。
最初の章で、指導力不足教員の様々な実例が挙げられ、その異なった課題に対応して行われる研修内容が、詳細に記されている。また、体罰、セクハラ、交通事故などの服務事故を起こした教員に対する研修も触れられている。
本書では、指導力不足教員研修の実際を通して、よい授業を行うための観点が明確に示されている。特に、小学校における授業の奥深さが伝わってくる。小学校の教科内容は大人にとってみれば簡単に見えるため、授業もやさしいと思われるかもしれない。しかし、小学校の授業こそ、多様な児童に複数のアプローチで活動をさせ、学ばせるという点で極めて専門性が高く、職人的な技術を要する。
児童生徒一人一人を高められる授業が成立していれば、自然、その学級は落ち着きを見せ、問題も少なくなる。授業の充実こそが、学校教育のすべてにつながる。「指導力不足」の問題を通して、授業文化の重要性をあぶり出し、教科研修が相対的に軽視されかねない改革の方向に警鐘を鳴らす書である。
学生でもなく、働いてもいない若者を指す「ニート」は、近年、急速にクローズアップされ、若年雇用の問題を象徴する語になっている。この「ニート問題」の論じられ方に疑問を抱いた本田由紀、内藤朝雄、後藤和智の三氏が、それぞれのスタンスで「ニート」をめぐる様々な言説を検証する。
「ニート」の語が一人歩きをし、青少年のネガティヴ・キャンペーンとなり、本質を覆い隠すことに警鐘を鳴らした書。
「ニート」って言うな! (光文社新書)
本田 由紀 内藤 朝雄 後藤 和智
折りにふれて読み返す本がある。何度読んでも価値があると思う本が名著であるとすれば、自分にとっては、デール・カーネギーの「人を動かす」こそ、名著である。
1936年に初版が発行された、人間関係についての古典といえる本。人を動かす原則として、「重要感をもたせる」「人の立場に身を置く」、人に好かれる原則として、「誠実な感心を寄せる」「笑顔を忘れない」「聞き手にまわる」などの章が掲げられている。一見、当たり前のことのようだが、それぞれの章に載せられた事例の豊富さに圧倒され、その説得力には脱帽する。
高校生の時に読んで、たいへん刺激を受けた本である。大学生になって再び読み、「以心伝心」が基盤にある日本人であれば、当たり前のことと思う箇所もあった。しかし、社会に出て様々な経験をしてから読み返すと、当たり前であるはずのことを、随分なおざりにしてきたことに気づく。
自己実現の原点を示す名著。
人を動かす 新装版
デール カーネギー
「週刊こどもニュース」のお父さん役として、子どもでも分かるようニュースを解説することに苦心した池上彰が、自らの体験をもとに綴った話し方の書。
NHKに記者として採用され、警察まわりをする中で身につけたコミュニケーションの方法、記者リポートでの失敗、「ニュースセンター845」のキャスターとして報道について考えたこと、そして、「週刊こどもニュース」で工夫した表現などが語られている。生身の体験から出てくる言葉は、説得力がある。
何より、具体的ですらすら読めるのに、内容が豊富であり、しっかりとメッセージが伝わってくる。この書自体が、「伝え方」のお手本である。
さて、このブログを始めてちょうど2年がたった。1日ひとつのペースで何かを伝える試みは、まだ続いている。更新は一週間に7つ分という形になる場合が多いが、ともあれ2年で 365×2=730 の文章をアップした。いまだに拙い内容だが、続けることで見えてくるものもあると信じ、伝えることの模索をしていきたい。
「森永ヒ素ミルク中毒事件」「豊田商事事件」など、社会を揺るがした事件の顧問弁護士となり、住専不良債権の整理回収機構社長を務めた中坊公平。彼が担当した事件の中から、節目となった14のケースを取り上げ、「事件の概要」と「教訓と思い出」を語った書。
あるときは使命感に燃え、あるときは義憤にかられ、熱意と誠意をもってそれぞれの事件に取り組んできたことが伝わってくる。
「事件を繙(ひもと)く本質は法律にあるのではなく現場にあります。現場の中に小宇宙があり、現場に神宿る-私はそんなふうに考え、今日に至るまで「現場主義」を貫いています。」
現場に何度も足を運び、そこから本質をつかみ取り、粘りとひたむきさで問題の打開を図ろうとする姿が具体的に記されている。淡々とした記述だが、どの言葉も現実に立脚した深みと力がある。
特に、「森永ヒ素ミルク中毒事件」の冒頭陳述には心を揺さぶられた。
真摯に社会問題に向かう弁護士という仕事の尊さと難しさを感じさせられた書であった。
中坊公平・私の事件簿
中坊 公平
入社や転勤、昇進、転職など、働く上での節目をどう迎えるか。
「働くひとのためのキャリア・デザイン」には、仕事の中で成長するためのヒントが数多く盛り込まれている。
途中では様々な「ドリフト」があってもいいが、節目ではじっくりとキャリアについて考える必要がある。本書では、生き方・在り方を節目で見つめるキャリア・デザインについて、学問的な背景をもとに、豊富なたとえとリズミカルな文章で生き生きと語られている。
働くひとのためのキャリア・デザイン
金井 壽宏
電気工事の事故で両腕を失った男性が、脳から腕に伝わる神経を胸に埋め込み、その胸の電気信号を利用して、機械の腕を自在に操る。
2005年11月3日に放映されたNHKスペシャル「立花隆 最前線報告 サイボーグ技術が人類を変える」では、ここ数年急速に発達した神経工学が応用される様を衝撃の映像を交えてレポートしていた。2006年11月3日の再放送を録画し、半年間部屋の隅に寝かせてあったビデオを見て、その内容の凄さに慄然とした。
片手を失った女性が、5本の指を動かす人工義手を取り付ける。脳は徐々にその操作に慣れ、自然な感覚で義手が操作できるようになっていく。脳そのものが機械に適合していく事例には、深い興味を覚えた。
生きているマウスに電極を取り付け、指令したとおりに動かす場面などから、その応用には空恐ろしいものを感じた。アメリカ国防総省も巨額の費用をつぎこみ、研究を進めているという。
物理学と生物学が融合した技術が、21世紀に大きな影響を与えることは間違いないだろう。番組では、この技術の有用性と共に、利用についてじっくり議論する必要性も投げかけていた。
「臨3311に乗れ」は、野武士的な勢いで、幾多の困難を乗り越え旅行業の道を切り開いていった人々を描く城山三郎の小説。
スピード感のある展開で、あっという間に読み進んだ。会社を広げる主人公馬場たちのバイタリティに、終始圧倒された。続々とわき起こる課題を剛胆さ、粘りで克服し、その自信が次の夢と企画を生む。そのダイナミズムと熱き心根に、読んでいて火照る思いであった。
読後は、城山氏の懐の深さと暖かみを感じた。
臨3311に乗れ
城山 三郎
NHKのドラマ「ハゲタカ」の最終回が3月24日に放映された。実に密度の濃いドラマであった。冷徹な外資系ファンドのやり口が描かれていたが、物語の落としどころとして、人情・信義という日本社会が本来の持っているよさに帰着した。
合理性を追求することで、表面に現れない良さをもすべて削ぎ落とし、強みを失う事態になることが昨今では往々にしてあるようだ。ドラマを見て、その感を一層強くした。
企業買収にからむ波乱に満ちた展開の中で、会社をめぐる「人」の存在が大きくクローズ・アップされたドラマであった。
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