夢を売る男
自ら書いた本を世に出す人々を相手にする編集長を描いた百田尚樹の小説「夢を売る男」。現代人の自意識を皮肉をこめて描写する。
一話一話が短く、会話で進行するためすぐに読める。
文章で食っていける人はすごいなあと改めて思う。
夢を売る男 (幻冬舎文庫)
百田 尚樹
自ら書いた本を世に出す人々を相手にする編集長を描いた百田尚樹の小説「夢を売る男」。現代人の自意識を皮肉をこめて描写する。
一話一話が短く、会話で進行するためすぐに読める。
文章で食っていける人はすごいなあと改めて思う。
夢を売る男 (幻冬舎文庫)
百田 尚樹
後漢の始祖、光武帝を描く宮城谷昌光の小説「草原の風」。下巻では、天下統一のうねりが、真の叡智をもった人物によってなされる様が鮮やかに活写される。
吹き抜ける風のように爽やかな気を与えてくれる歴史ロマン。
草原の風(下) (中公文庫)
宮城谷 昌光
王莽の政治は混迷を極め、各地で反乱が勃発する。劉秀、後の光武帝は兄と共に決起し、戦いを重ねていく。
後漢王朝の始祖、光武帝を描く宮城谷昌光の小説「草原の風」。中巻では、劉秀の叡智に惹かれて多くの人々が集まってくる様が、戦国のダイナミズムの中で情感豊に描写される。
草原の風(中) (中公文庫)
宮城谷 昌光
後漢王朝を打ち立てた光武帝の生涯を描く、宮城谷昌光の小説「草原の風」。上巻では、若き日の光武帝・劉秀の学ぶ姿と、後に関わる人々との出会いが活き活きと描写されている。
草原の風(上) (中公文庫)
宮城谷 昌光
NHK土曜ドラマ「64」第5回は、「指」。緊迫感は極限に達する。その後、事件は急速に収束に向かい、いままでの謎や伏線がひとつひとつ回収されていく。原作を読んでいても、その流れは実に見事である。
ドラマを見終わった後で、いろいろなシーンが自然と反芻される。柴田恭兵演じる刑事課長が、捜査車両でピエール瀧演じる広報官に真の捜査内容を告げたときのピエール瀧の驚愕の表情、誘拐された娘の父親を演じる段田安則のひとつひとつのしぐさなどが思い起こされ、胸が熱くなる。
良いドラマはずっと記憶に残るものだが、「64」は自らの中ではリアルタイムで見られた幸せをずっと感じられる作品である。
硬質なエレガンスを体現した、見事な映像作品。
トーマス・ハーディの『ダーバヴィル家のテス』を原作とした映画「テス」。ロマン・ポランスキー監督による、1979年公開の作品。
ナスターシャ・キンスキーが、あまりに美しい。特に、唇の魅力にはうっとりとしてしまう。
全編、ジュリアン・デュプレの絵を再現したような映像的魅力に満ちた文芸大作。
テス [DVD]
ナスターシャ・キンスキー
溝口健二監督の「雨月物語」は、1953年公開の映画。戦乱の世に、欲望に翻弄される人々の姿を描く。
主人公は貧農であるが、その所作は折り目正しい。日本人の良き姿がとどめられている映画として、幽玄な映像美とともに価値のある作品と実感した。
NHK土曜ドラマ「64」第4回は、「顔」。新たに発生した事件により、主人公三上は記者クラブとの報道協定締結を目指す。記者たちとのリアルなやりとりが圧巻。最終回に向けて緊迫の度が高まる、うねりをもった回。
NHK土曜ドラマ「64」第3回は、「首」。
警察庁長官が視察に訪れる真の目的を知り、広報官三上は愕然とする。警務部と刑事部の対立は深まり、事態は急転直下、新たな展開を迎える。
主人公三上は、警察の広報官として、匿名問題をめぐり記者との軋轢が極限にまで達する。そこで三上が記者たちに被害者について述べるくだりは、感動的なシーンであった。上毛新聞の記者をしていた横山秀夫だからこそ描けた名場面で、ドラマでも原作の良さがじっくりと描かれていた。
ドラマの醍醐味を凝縮した、充実の1時間を与えてくれる意欲作。
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