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秋のソナタ

 「冬のソナタ」ではない。韓国のドラマが流行するずっと以前から、ブラームスの音楽は「秋のソナタ」と形容されていた。木々の葉が色を変え、澄んだ青空にふと冷気を感じ始めると、ブラームスの音楽が心に染みいる季節。
 そのブラームスの中でも、交響曲第4番は、「秋のソナタ」をまさしく体現している曲である。
 個人的にはカラヤンのベルリン・フィルとの1963年の演奏が、初めて聴いたブラームスの交響曲であり、愛着がある。第1楽章の枯葉がはらはらと舞い散るような演奏に、深い憂愁を感じ、それ以来ブラームスに惹かれるようになった。ブラームスは生涯伴侶を持たなかったが、音楽が人生に寄り添っていたことを実感させてくれる。

ブラームス:交響曲第4番
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 カラヤン
B00005FIOL

マスター・アンド・コマンダー

 19世紀初頭、イギリス軍の艦船とフランス軍武装艦との戦を軸にした海洋叙事詩。当時の雰囲気を極めて忠実に再現している。海上戦のシーンは圧巻で、ヘタなSFXなどは足下にも及ばない迫力がある。
 戦の負傷で足を切断する少年兵、船の上で脳の手術まで行う医師、部下を統率できずに悩む若き士官など、様々な人々が存在感をもって描かれている。特に、ラッセル・クロウ演じる艦長が素晴らしく、真のリーダーのあり方を考えさせられる。
 ガラパゴス諸島で実際に撮影された映像も、独特の魅力がある。
 女性はほとんど登場せず、熱い男の世界を描いているにもかかわらず、この映画に品性を感じるのは、人間に対する真摯な眼差しが監督にあるからだろう。
 余韻の残る一級の映画。

マスター・アンド・コマンダー
ラッセル・クロウ ピーター・ウィアー ポール・ベタニー
B0000YTR8C

ウルトラQ BGM

 ウルトラQのBGM集を聴く。
 ウルトラQを見たことのある人で、最初のメインタイトルを聴いて流体状のマーブル模様が「ウルトラQ」の文字になる映像を思い出さない人はいないだろう。そして、あのテーマ曲、「これから30分、あなたの目はあなたの体を離れて、この不思議な時間の中に入ってゆくのです…」という石坂浩二のナレーションのバックに流れる音楽にワクワクすることだろう。
 宮内国郎の音楽は、どれも潜在意識に働きかけてくることが、音楽のみを聴いてはっきりと分かった。このシリーズを名作たらしめるに大いなる役割を果たしている。
 聴いてしまうと、無性に本編の映像が見たくてたまらなくなる。

〈ANIMEX 1200シリーズ〉 (54)
テレビオリジナル BGMコレクション ウルトラQ (限定盤)

TVサントラ スタジオ・オーケストラ 宮内国郎
B0001A7VBU

青年社長

 居酒屋「和民」を中核とするワタミ・フードサービスは、1984年につぼ八の1店舗から始まり、2005年4月には外食、環境、農業、介護、教育と多角的な経営を手がけるワタミ株式会社に成長を遂げている。
 その成長は、渡邉美樹社長の一貫した理念と熱意、実直な姿勢に裏打ちされたものであろう。
 高杉良の実名小説「青年社長」は、渡邉美樹氏の若き日の姿と、会社の草創期を描いている。会社を育てていくには、いかに多くの苦労があり、信念と熱意が必要であるかが伝わってくる。

青年社長〈上〉
高杉 良
4041643147
青年社長〈下〉
高杉 良
4041643155

電卓

 7.8×3.9    600×25.5
などの小数の計算を息子にドリルでさせている。
答え合わせは、電卓を使って問題を入力させ、結果を声に出して読ませている。それにより、電卓の扱いと数字の読み方を学習できるし、何より自分で計算した結果が客観的に確認できることにより、満足感が得られる。

 計算練習の後、息子が、「ルートって何?」と、電卓のボタンにある”√”の記号を指して言う。なぜ読めたのか分からないが、おおかたゲームか漫画に出てきたのだろう。
「3×3=9 のとき、√9 は3 のように、2回同じ数字をかけた結果に対して、もとになる数のことだよ。では、√4 はいくつ?」
「2」
「それじゃあ、√25 は?」
 すぐには分からなかったようなので、1×1 2×2 3×3 4×4 と順に計算をさせ、√25=5 を分からせ、ついでに電卓で確認させる。

 その後、息子は勝手に電卓に√77など押して遊んでいた。
 √77 = 8.774964387
「なんか変な数になるね。」
「ここに出ている数字は、もっとずっと続いていくんだよ。」
「隣のときちゃんのおうちに当たるくらい続くのかな。」
「月の先の先、ずっと続くんだよ。」

 √は、ほとんどの電卓にある記号で、子供にとっても身近に感じさせることのできる演算である。なじめば、非線形であることは常識となり、
√2+√3 = √5
とする大学生も減るだろう。

チャイコフスキー 交響曲第5番

 昨日聴いたショルティのチャイコフスキー交響曲第6番がいまひとつ気持ちにフィットしなかったので、今日はカラヤン指揮、ウィーンフィルのチャイコフスキー交響曲第5番を聴く。1984年の演奏。
 これは本当に楽しめた。白樺の小道を歩むような冒頭から、劇的な展開へと進む第1楽章。優美な旋律が奏でられる第2楽章。伸びやかでユーモラスな雰囲気を持った第3楽章。どの楽章も曲にすっと入っていけ、素直に味わえる。カラヤンは、美しい旋律を楽器に歌わせるのが本当にうまい。聴き手のツボをつくかのような絶妙のタイミングでそれぞれのパートを浮き上がらせる。また、瞬時に変わる曲の表情の変化もぐっとくる。
 なにより、この第4楽章の高揚感は凄い。弦も管も渾然となって盛り上げる終盤に、CDであるにもかかわらず身を乗り出して聴き、終わった後には拍手をしそうになった。
 クラシックの楽しさを満喫できる名盤。

チャイコフスキー : 交響曲第5番ホ短調
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 カラヤン(ヘルベルト・フォン)
B00005FJ79

チャイコフスキー 交響曲第6番

 一種の対比の現象であろうか。ベートーヴェンの華麗なピアノ協奏曲や明朗な響きを持つドヴォルザークの曲の後でチャイコフスキーの交響曲第6番の冒頭を聴いたので、う~暗いな~と感じてしまった。第1楽章の起伏の激しいドラマのような曲は、運命を乗り越えようとするベートーヴェンとも、良いものを掬い上げようとするドヴォルザークとも質を異にして、個人の呻吟のように聞こえる。しかし、第1楽章を聴き終える頃には共感してしまうのは、旋律の美しさゆえだろうか。第2楽章のメランコリックな叙情に浸り、第3楽章の最期の乱舞に圧倒される。そして、人生の帳を静かにおろすかのような終楽章。
 今日聴いたゲオルグ・ショルティ指揮、シカゴ交響楽団の演奏は、比較的あっさりとした印象がある。もう少し情感のある表現が欲しい気もするが、抑制によって、かえって曲の美しさが際だっているのかもしれない。

チャイコフスキー : 交響曲第6番ロ短調「悲愴」
シカゴ交響楽団 ゲオルグ・ショルティ
B00005FLQA
 

ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番

 ツィマーマンによるピアノ、バーンスタイン指揮、ウィーンフィル演奏のベートーヴェンピアノ協奏曲第5番を聴く。ツィマーマンの透明で輝くピアノの音に、冒頭から魅了された。バーンスタインによるウィーンフィルの流麗な演奏も素晴らしい。第1楽章もよいが、崇高な雰囲気を持った第2楽章にピアノとオーケストラの真価が現れているように感じた。

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番&第5番
ツィマーマン(クリスティアン) ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
バーンスタイン(レナード)
B0000CD7XD

13階段

 秋の夜長にミステリー。日本の最近の作品から、引き込まれるサスペンス・ミステリー「13階段」。ちょっと重いが、余韻の残る作品。 

13階段
高野 和明
406274838X

そして誰もいなくなった

 秋の夜長にミステリー。マイ・ベストはなんといってもアガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」
  推理小説の傑作中の傑作。10人の互いに知らない人々が孤島に招かれ、マザーグースの歌に従って一人一人殺されていく。閉じられた空間での犯罪、”クローズド・サークル・ミステリー”の代表作。ページをめくる手が震えるほどの恐怖と感銘を受けた希有のミステリー。

そして誰もいなくなった
アガサ クリスティー 清水 俊二
4151300805

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