「私をスキーに連れてって」のホイチョイ・プロダクションズが1999年にプロデュースした、自転車便のライダーを描く快作。これも「海猿」同様、たいへん心地よい青春映画だった。
脚本も練りに練ったようだ。飯島直子演じる主役が、ブランドに囲まれる優雅な生活から、倒産により一転、汗を流す仕事に関わり仲間と交流していく様が自然に描かれている。
かつての青春映画スター加山雄三が、若者たちと本当に楽しそうに演じていたのが印象に残っている。
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飯島直子 草ナギ剛 馬場康夫
昨年夏に上映された「海猿」を、遅ればせながら録画で見る。日本映画は「超大作」と銘打ったものはハズすことが多いのだが、青春映画は割と良作が多い。この作品も、素直によかった。
海上保安庁の潜水士を目指して訓練を積む若者たちの友情、恋愛と、オーソドックスな描き方だが、そのストレートさにたいへん好感が持てた。海でのシーンは、「亡国のイージス」より遙かに緊迫感があった。
テレビドラマの電車男を演じる伊藤淳史が、ここでも不器用だがひたむきな役を演じ、存在感を示していた。
海猿
伊藤英明 佐藤秀峰 羽住英一郎 ![]()
亡国のイージスは、ダイ・ハードやホワイトアウト風の作品。日本を代表する俳優を多く使っているが、いまひとつ緊迫感に欠ける。佐藤浩市がこの国は守る価値がないとかなんとか言っていたが、たんなるつぶやきでまるで説得力がない。原田芳雄のぶっきらぼうな首相も悪くはないが、総理というよりは小さい組織の親分という感じ。だいいち、寺尾聰演じる副長は、十数人もの部下を巻き込んでおきながら、何であんな簡単に気持ちを翻すのか?その意思の弱さは、まさしく亡国の象徴。本物の護衛艦を使い、映像の迫力はあったものの、全体にどうも軽く感じてしまう。
同じような内容でも、加治隆介の議で描かれているプルトニウム運搬船のシージャックのほうが、よっぽどリアルに感じた。また、少し昔の作品だが、ブルートレインで自衛隊員が反乱をおこす「皇帝のいない八月」のほうが、いろいろな意味で楽しめたように思う。
ともかく亡国のイージスでは、扱っている題材が重い割に、この切迫感の乏しさはどうしたことか。エンターテイメントとテーマを両立させるのは、よほど優れた脚本がないと難しいということを改めて感じさせられた。
ディズニーのおなじみキャラクター、ドナルド・ダックが数学の不思議を紹介する短編映画「ドナルドのさんすうマジック」。黄金比が、建築物や音楽、自然界に溢れていることを紹介する部分は、アニメーションのプロの技をもってすると、数学がこんなに生き生きと描かれるのかと感嘆した。
数学というと、一般には、なんだか構えてしまう雰囲気がある。もっと自然に、数学が社会とかわっていることが様々な場面で示されるといいのだが。
2005年の5月4日に、群馬県立自然史博物館の特別展「アフリカの風~小倉寛太郎サファリ3000日」を見に行く。小倉寛太郎氏は、山崎豊子の小説「沈まぬ太陽」のモデルになった人である。氏がアフリカでハンティングをした剥製や、アフリカの動物や自然を写した雄大な写真が多く展示されていた。
印象的だったのは、小倉氏の自宅に集う人々の写真で、中には渥美清や八千草薫なども写っていた。氏を通してアフリカの魅力にとりつかれた著名人は多いようだ。
ディズニー最初のCG映画は1982年公開の「トロン(TRON)」である。公開当時、大学生であったが、CGに興味を持っていたので映画館へ見に行った記憶がある。ネットワークの世界に生きる悪の組織を倒すという話だったようだ。肝心のCGの部分は、当時でもそれほどインパクトを感じなかったように思う。バイクのような乗り物に変身して疾駆するCGが有名なシーンだったようだ。CGを画面全体で使うエポックメイキング的な作品なのだろうが、実写とCGがあまりに分離していたような印象が強い。ディズニーが表現の試行錯誤をした史跡的な作品か。でも、今見ると意外と興味深いかもしれない。
トロン
ジェフ・ブリッジズ スティーブン・リズバーガー ブルース・ボックスレイトナー
「脚本は技巧ではない、素材にたいする作者の魅力のもち方なんだ、ということは夢忘れてはならない」-山田洋次監督がその著書「映画をつくる」で述べた言葉である。ディズニーの長編CG映画、「Mr.インクレディブル」は、まさしく作り手が素材に大いなる魅力を感じていることが伝わってくる映画だった。
かつて悪と戦ったヒーローが、一般市民として暮らすことを余儀なくされてからの日々と復権を描く作品である。「スーパーマン」「バットマン」などのヒーロー物と、「007シリーズ」「ミッション・インポッシブル」などのスパイ物に対するオマージュでもある。CG(コンピュータ・グラフィックス)という自在な手段で、スーパーヒーローの活躍が思う存分表現されている。
「トイ・ストーリー」も、意思を持ったおもちゃという素材が、CGという表現手段にマッチしていた。ところが、映画「ファイナルファンタジー」は、CGの技巧のみを追い求めて、平板な脚本で、なぜか画像も話も終始暗く、極めて資源がもったいない作品であった。
「Mr.インクレディブル」は、とにかく最初から最後まで楽しめる作品であった。特にヒーローのスーツを作るデザイナーのキャラクターが引き立っていた。こういう縁の下の力持ち的な存在が描かれるのは好きだ。しかも、主人公を食ってしまうほど個性的である。また、背景のCGは緻密で、画面の色彩設定も嫌みがない。脚本も相当練ったのであろう。そういった苦労を感じさせないほど、自然と話に引込まれた。
「作者がじつに気楽に、それこそ小鳥がさえずるように軽やかにつくっている様子が想像できて、観客も気持ちよくなってしまう、そんな作品をつくることこそほんとうの苦労がある」-これも山田洋次監督の言葉だが、このCGの映画もフーテンの寅さんと一脈通じるところがあるのではないか。
Mr.インクレディブル
ジョン・ウォーカー, 三浦友和, 渡辺美佐, ジェイソン・リー![]()
フーテンの寅さん「男はつらいよ」シリーズで知られる山田洋次監督の著作。渥美清主演の「男はつらいよ」は、1969年から1995年まで、48作続いた。この本で語られている山田洋次監督の映画づくりの背景や思いに、長く愛される理由があるように感じた。
本書は、「男はつらいよ」「家族」「幸福の黄色いハンカチ」などの制作の経緯や苦労などが書かれている。
「自分の国を、自分の民族を、その生活を誠実にみつめることによってはじめて、その映画は国や民族を越えて国際的なものになる」
「いい仕事をしてきた俳優には、演出家ならびにスタッフを信頼する態度がある」等、示唆に富む文が多い。
誠実に仕事をしてきた人の文章にふれると、清々しい気分になれる。
映画をつくる
山田 洋次![]()
宇宙人が破壊の限りを尽くして地球を襲う「宇宙戦争」。スピルバーグ監督、トム・クルーズ主演の映画が公開されている。原作は、100年以上前の作品であり、原作者H.G.ウェルズの想像力にはただただ圧倒される。原作については、MTB氏のコラムが興味深い。
また、1938年に当時23才のオーソン・ウェルズが、この原作を元に火星人来襲のドラマを放送し、全米で本物の侵略かとパニックに陥ったことは有名である。このことはオーソン・ウェルズとグローバーズ・ミルのサイトに詳述されている。
1953年に「War of the Worlds/宇宙戦争」は映画化されている。今回のトム・クルーズ主演の映画は、そのリメイクである。
ストーリーは単純この上ない。それだけに、視覚効果や音響効果がより直截的に訴えかける。特に、重低音の音響は座席が揺れるかと思われるほど迫力がある。
原爆、日航機墜落、9.11テロと、現実の危機を想起させる映像も多く、100年の時を経て人類が自らの内に「外からの侵略」以上の脅威を持ったことを突きつけてくる映画であった。
| 宇宙戦争 トム・クルーズ |
宇宙戦争 ジーン・バリー |
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