ダニエル・クレイグ主演のボンド映画5作目。
アクションや科学技術など、アイディアを様々に盛り込んだ作品。だが、高揚感がいまひとつないのはどうしてだろう。007シリーズには珍しく、見ながら寝落ちを何度かしてしまった。飲みながら見ていたからということもあるのだが、それだけではない要因があるように思う。
ド・ゴール大統領を狙う暗殺者と、阻もうとするフランス警察との対決を描いた1973年の映画「ジャッカルの日」。
特注の狙撃銃、偽造パスポートの入手など、徐々に手筈を整え、フランス全土に張り巡らされた警備網をかいくぐる暗殺者の動きがスリリングであり、最後までぐいぐいと引きこまれる。
エドワード・フォックスがスタイリッシュな暗殺者を演じる。一方、追う側はマイケル・ロンズデール演じる警視で、風采はぱっとしないが老練な手腕で敵の動きを徐々に突き止めていく。
全編緊迫感に満ちた、サスペンス映画の最高峰。
ジャッカルの日
エドワード・フォックス アラン・バデル
フランスの長編アニメーション「アヴリルと奇妙な世界」。
科学者たちが次々と謎の失踪を遂げ、技術は1870年から停滞し、長らく蒸気機関のままの世界となっていた。連れ去られた科学者を父母に持つ孤児、アヴリルは科学の研究を続けるが、彼女自身も謎の組織に狙われることになる。
フランスアニメ特有の繊細な色彩・造形を背景とし、物語はアイロニーをたたえつつジブリアニメばりの冒険活劇が展開される稀有の映画。
劇場版名探偵コナン第6作「ベイカー街の亡霊」は、野沢尚が脚本を手がけた。シャーロック・ホームズゆかりの英国を舞台にするために、何度も想を練り、脚本を書き直したとのこと。物語がしっかりとした映画に仕上がっている。
野沢尚は、「破線のマリス」で第43回江戸川乱歩賞を受賞するなど、推理小説作家としても活躍していた。本格推理小説の祖とも言えるコナン・ドイルが生んだ、ホームズにちなんだ作品を創ることには、思い入れもあったのではないか。この映画では、ドイルへのオマージュのように、ホームズ・シリーズゆかりの登場人物や地名がたくさん登場する。
「青い鳥」「眠れる森」「緋色の記憶」など、多くの優れた作品を生み出した野沢尚は、NHKスペシャル・ドラマ「坂の上の雲」の初稿を残して自殺してしまう。作品は高く評価され、今後も期待がされていたのに、なぜ死を遂げたのかは余人の知るところではない。しかし、きっちりと構成された職人芸的で、しかもなお透明感と奥行きのある作品世界は、今後も生き続けるであろう。
劇場版名探偵コナン第5作「天国へのカウントダウン」。西多摩市にそびえるツインタワービルをメインの舞台としたミステリー。
本作では「黒の組織」が劇場版として初めて全面に出る。殺人事件と組織の暗躍が交錯し、サスペンスの趣が強い。また、後半はパニック映画のような怒濤の展開になだれ込む。
劇場版名探偵コナン第4作「瞳の中の暗殺者」。警察関係者が相次いで襲われる事件に、コナンの正体である工藤新一の幼なじみ、毛利蘭が巻き込まれる。
新一と蘭との思い出の場所となった遊園地、トロピカルランドのシーンが多く、アトラクションを駆使した後半の展開にはことに力が入っている。
ミステリーとしての要素が色濃く、シリーズ中でも犯人の設定が際立っている。バランスの良い脚本とサスペンスに支えられた、優れた恋愛ミステリーとなっている。
白鳥警部役の声優、塩沢兼人は、本作の公開直後に転落事故で亡くなってしまう。
「Need not to know」の美声が今でも耳朶の奥にこだましている。
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