水滸伝 十九 旌旗の章

 北方謙三の「水滸伝」第十九巻、旌旗の章。童貫の総攻撃により、梁山泊は追い詰められていく。壮絶な闘いにより、多くの士が最期を迎える。起死回生をはかり、史進と楊令は童貫の首を狙い疾駆する。
 壮大な物語の最終巻。筆者はこれをすべて原稿用紙に万年筆で書いたという。前半は牧歌的な描写もあったが、ここに至り筆は憑かれたように突き進む。
 幾多の登場人物たちが苛烈な状況下で懸命に生きる様は、永遠に読み手を刺激する。
 人生の諸相を鮮やかに活写する、怒濤の長編小説。畢生の大傑作。

水滸伝 19 旌旗の章 (集英社文庫)

水滸伝 十八 乾坤の章

 北方謙三の「水滸伝」第十八巻、乾坤の章。童貫の猛攻撃に梁山泊は軍略と智略で立ち向かう。
 陸の戦に加え、水上の闘いも激しさを増す。苦しい状況の中、楊令の颯爽とした勇姿がカタルシスを感じさせてくれる。
 緊迫感みなぎる激闘の巻。

水滸伝 18 乾坤の章 (集英社文庫)

水滸伝 十七 朱雀の章

 北方謙三の「水滸伝」第十七巻、朱雀の章。童貫元帥が梁山泊を猛攻する。拠点を電光石火の如く落とされ梁山泊が危局を迎える。
 驚異的な強さをもつ童貫に、梁山泊の面々があらゆる手を尽くして対峙する。難敵を迎え、次々と星になる漢たちの最後の光芒が輝く。

水滸伝 17 朱雀の章 (集英社文庫)

水滸伝 十六 馳驟の章

 北方謙三の「水滸伝」第十六巻、馳驟の章。暗殺者の手が再び梁山泊に忍び寄る。梁山泊の致死軍は、宋の裏組織、青蓮寺を急襲する。
 大規模な戦闘の合間に、双方の暗闘が描かれる。かと思うと、いきなりコミカルなエピソードが挟み込まれる。心を大きな振れ幅で揺らす巻である。
 暗殺者とそれを追う者との会話がなぜか胸にしみいる。死と向かい合い続けてきた筆者にしか描けない場面であった。

水滸伝 16 馳驟の章 (集英社文庫)

水滸伝 十五 折戟の章

 北方謙三の「水滸伝」第十五巻、折戟の章。梁山泊の拠点は猛攻を受け、幾多の男たちが命をおとす。追い詰められ後のない梁山泊で、軍師宣賛はある奇策を敢行する。
 前半危急の展開。後半には様々なエピソードが連なる。とりわけ、扈三娘についての話は興をそそられる。
 緩急が巧まざる巧みを生み出す巻。

水滸伝 15 折戟の章(集英社文庫)

水滸伝 十四 爪牙の章

 北方謙三の「水滸伝」第十四巻、爪牙の章。二十万を超える官軍が梁山泊の各拠点を包囲し、攻撃を加える。各所で激烈な戦闘が行われる。一方、梁山泊とは異なる叛乱が勃発する。魯達らはそれらの切り崩しにかかる。
 舞台が多岐にわたり、様々な人物がそれぞれの場所で奮闘する。そんな中、張横、張平父子のエピソードが胸にしみる。
 まとめるのが難儀であろう苛烈な章であり、書き手にとっても心の癒しが必要であったのではないか。
 王進のいる子午山は、筆者にとっても読者にとっても安寧の地であるように思える。

水滸伝 14 爪牙の章 (集英社文庫)

水滸伝 十三 白虎の章

 北方謙三の「水滸伝」第十三巻、白虎の章。官軍が梁山泊へ大軍で進攻を開始した。流花寨には智将趙安が攻めかかる。同時に、董万の軍が展開される。
 流花寨を舞台として水軍の記述が多くなり、興味深い。陸と水上両面での闘いが勢いのある筆で描かれる。最期を迎える男たちも増えていく。
 戦は益々激しくなるが、それゆえに武松と李逵の場面によりいっそう心を癒される。

水滸伝 13 白虎の章 (集英社文庫 き 3-56)

水滸伝 十二 炳乎の章

 北方謙三の「水滸伝」第十二巻、炳乎の章。梁山泊の資金源である塩の道を、宋側の青蓮寺は必死で探索する。ついに要人である盧俊義が捕縛される。燕青は盧俊義を救出するため、北京大名府に急ぐ。時を同じくして北から梁山泊に関勝将軍が迫っていた。
 祝家荘戦、呼延灼軍との激闘を経て、登場人物も大幅に増えた。にもかかわらず、一人一人が命を吹き込まれ、それぞれの人生に読み手は感じ入る。英傑のひとりを失い、人々を描く筆はますます冴え渡る。まるで、筆者が登場人物に書かされているかのようである。それは、真に良い作品の特徴である。

水滸伝 12 炳乎の章

水滸伝 十一 天地の章

 北方謙三の「水滸伝」第十一巻、天地の章。樊瑞の動きをとおし、梁山泊の影の舞台、致死軍の動きが克明に描かれる。一方、宋の青蓮寺は、暗殺者史文恭を送り込む。
 女性の騎兵隊長、扈三娘が物語に彩りを添える。史文恭の描写が秀逸であり、それゆえ明暗の対比が一層際立つ。
 光と影が交錯する、書き手の懊悩すら感じさせられる深い奥行きをもった巻。

水滸伝 11 天地の章

水滸伝 十 濁流の章

 北方謙三の「水滸伝」第十巻、濁流の章。官軍の呼延灼将軍は代州より呼び寄せられ、着々と梁山泊攻撃の準備を進める。梁山泊の晁蓋は万全の布陣で呼延灼軍と対峙するが…。
 原野にて官軍と梁山泊軍の熾烈な戦闘。呼延灼、晁蓋、両雄の激突がダイナミックに展開される。
 武松と李逵のコンビが、戦の前にゆたっりとした感興を添える。円熟の緩急が物語に味わいを与えている。
 クレッシェンドが効く風雲渦巻く第十巻。

水滸伝 10 濁流の章

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