河童
芥川龍之介の「河童」を橋爪功が朗読したCDを聴く。河童の国の慣習を通して、人間社会を痛烈に皮肉った小説。橋爪功のとぼけたような口調が作品にたいへんマッチしている。ユーモアを含んだ円熟の語りで、芥川最晩年の小説が味わい深く表現されている。
河童 (新潮CD)
芥川 龍之介 
芥川龍之介の「河童」を橋爪功が朗読したCDを聴く。河童の国の慣習を通して、人間社会を痛烈に皮肉った小説。橋爪功のとぼけたような口調が作品にたいへんマッチしている。ユーモアを含んだ円熟の語りで、芥川最晩年の小説が味わい深く表現されている。
河童 (新潮CD)
芥川 龍之介 
運転中にトラックのタイヤが外れ、当たった母子が死傷する。原因はトラックの整備不良と断定されるが、運送会社の社長はその結果に納得がいかず、大企業を相手に孤独な闘いを挑む。しかし、行く手には次々と苦難が襲いかかる。
テンポの良い展開と描写のリアルさに圧倒される。あまりの迫力にページをめくる手がとまらず、下巻は仕事帰りに買ってその日の夜に読み終えてしまった。
骨太の企業小説であるが、市井の人々への暖かい眼に裏打ちされ読後感は良い。
大企業の倫理を問う、渾身の力作。
空飛ぶタイヤ(上) (講談社文庫)
池井戸 潤 
空飛ぶタイヤ(下) (講談社文庫)
池井戸 潤 
「マネージャーには根本的な資質が必要である。真摯さである。」
ドラッカーの「マネジメント」は、単に企業経営についてのみでなく、あらゆる組織が見つめ直すべき観点が深い洞察に基づいた言葉で語られる。
「社会や経済は、いかなる企業をも一夜にして消滅させる力を持つ。」
「市場において目指すべき地位は、最大ではなく最適である。」
「波に乗っているだけの企業は、波とともに衰退する。」
など、短い警句で本質をずばりと突く鋭さには幾度となくはっとさせられた。
組織における自らの仕事についての方向を確認したいとき、自然とひもときたくなる本である。
名著のみがもつ凛質を備えた書。
マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則
P・F. ドラッカー 上田 惇生 
曾野綾子が、聖書の章句を引用しながら語った講演の記録。「愛と苦しみについて」「神の教育論」「連帯について」「善人と悪人」の4講演が収められている。
聖書にはダメな人間を描かれることがほとんどで、それだけに普遍的な生き方のヒントがあるということが闊達に語られ、引き込まれる。教育に関する内容も示唆に富む。
聖書から学ぶ人生 (新潮CD 講演)
曾野 綾子 
源氏物語を全訳した瀬戸内寂聴による講演の記録。原文では主語が省かれていたところをなるべく入れるようにし、文の切り方を工夫して読みやすくしたとのこと。
教科書には、よくこれほどまでに源氏物語のつまらない場所ばかり載せられると関心するという言葉が印象に残る。
源氏物語の魅力 (新潮CD 講演)
瀬戸内 寂聴 
7年の歳月をかけ、60億kmの距離を経て地球に小惑星のサンプルを持ち帰った「はやぶさ」。そのプロジェクトの実際を、リーダーであった川口淳一郎が記した書。
はやぶさが次々と困難に直面し、何度も生還不可能と思われた事態に陥ったあらましは知っていたが、プロジェクトマネージャー自らの語りは臨場感を持って迫ってくる。
また、はやぶさは幾多の危機に直面しても、数十億km彼方からのわずかな電波を頼りに、使命を遂げようと立ち直る。リチウムイオン電池の放電で、もはやこれまでかと思われた時も、プログラムに命令が組み込まれていないにもかかわらず、補充電が行われていた。それについて、
「なぜ、そんなことが起こったのか。答えは当時もいまも、わかりません。一つだけ確かなのは、やはり「はやぶさ」には、人知を超えた特別な何かがある、ということです。」
人知を尽くし、何があっても帰還させようという執念があったから、機械もそれに応えたのではないか。科学は人の思いと無縁ではないとつくづく感じる。また、機械であるにもかかわらず、はやぶさを自らの子どものように愛おしく思う著者の気持ちにも同感できる。
絶体絶命の危機を乗り切り、自らは大気圏に燃え尽きながら地球にイトカワのサンプルを放つはやぶさ。その奇跡の生還は日本人に大きな勇気を与えた。次世代への夢と希望をつなぐミッションの完遂は計り知れない重みをもつ。
2010年に外務事務次官を退任するまで40年近く国際舞台で交渉にあたってきた藪中三十二氏の著作「国家の命運」。
日米構造協議、六ヶ国協議などの生々しいやりとりは興味深い。しかし、内容は極めて理知的であり、暴露本などとは違い品性を感じさせられる。
また、国際社会で難航する交渉にあたってきた経験を踏まえ、衰退する日本が転回する方策をロジカルに示している。
交渉のあり方と日本のとるべき道を明瞭に示した書。
国家の命運 (新潮新書)
薮中 三十二 
サザンオールスターズのピアニスト、ヴォーカルの原由子が綴ったエッセイ。
少女時代から書き起こしており、ちびまる子ちゃんのように自然に笑みがこぼれる。音楽に救われた子ども時代、自主グループの結成、桑田佳祐の出会いがさりげなく書かれているが、ユーモアに溢れほほえましく楽しい。
「鎌倉物語」を録音した裏話では、あの限りなく優しい歌声の根源を知り静かに涙が溢れた。
サザンの歌が時を越えて魅力的なのは、どんな逆境があってもラブソングを歌う幸せを桑田佳祐も原由子もスタッフ全員が噛みしめているからではないか、と感じさせてくれた一冊。
娘心にブルースを
原 由子 
「真夜中の弥次さん喜多さん」などで知られる漫画家、しりあがり寿による「マンガ入門」。
他の漫画家が著した入門書と異なるのは、著者が社会人を長く経験したことによる。キリンビールに13年間勤め社会人と漫画家の二足のわらじを長くはいた。そのため、「売れる」ということに対する意識が強く感じられ、社会性が漫画にも求められるという視点がきちんと書かれている。
一方で、その社会性を否定し、表現したいものを追い求めることの重要さも静かな筆致の中にも熱く語られている。そのため、他の漫画入門とは違う現実的な視点を与えてくれる。
漫画を書く人のためというより、漫画人の姿勢を語った本であり、社会と漫画の接点を冷静に見つめた本である。哲学的な気風をもった著者ならではのそこはかとない示唆と不思議な諧謔に満ちた書。
マンガ入門 (講談社現代新書)
しりあがり 寿 
童門冬二の「江戸の怪人たち」は、歴史に埋もれた魅力的な人々を掘り起こし、生き生きと描いた作品。
「鼠小僧次郎吉」の義人像を打ち破る描写、「大野弁吉」の瞠目すべき科学性と先進性、書家「岡田正恵」の惻々と胸に残る生き様など、印象に残る列伝が多い。江戸期の豊潤さを伝える書。
江戸の怪人たち (集英社文庫)
童門 冬二 
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