福沢諭吉

 「おもえば、福沢諭吉こそ、民主主義の光をかかげた、明治の大きなともしびでありました。」

 息子の音読で、いつも感心するのは、伝記を書く人の文章のうまさだ。子ども向けであるから、できるだけやさしい言葉でわかりやすく書くことはもちろん、興味を惹きつつもその人のテーマをくっきりと浮き上がらせる内容にしなければならない。
 本書では、勉強嫌い、いたずら好きだった諭吉の子ども時代から始め、好奇心の豊かさからおこる様々なエピソードを盛り込み、物事の本質をすくい取っていく諭吉の姿を興味深く描いている。
 音読を聴いて心地よいリズムを感じた。心を動かす点で、「ペンは剣よりも強し」を体現した書。

福沢諭吉―ペンは剣よりも強し
高山 毅
406147510X

不撓不屈

 大蔵省、国税庁、検察当局を相手にして闘った税理士、飯塚毅の熱き生涯を描く、高杉良の実名小説「不撓不屈」。
 昭和37年、飯塚税理士は、中小企業のためにとった税務手法を否定され、当局を相手に訴訟を起こすが、それを契機として、飯塚会計事務所とその顧客に対して徹底した調査が入り、度重なる圧力が加わる。ついには、飯塚会計事務所の職員が税理士法違反の疑いで逮捕されるまでに至る。世に言う、「飯塚事件」である。
 常人であれば、当局の所業にとうに屈しているが、飯塚は、厳正な信念と禅で培われた精神力により、最後まで国家権力に抗する。

 本書は、緻密な取材に基づいた迫真の経済小説であると同時に、家族や恩師、同胞がいかに飯塚を支えたかを描き、奥行きのある作品となっている。

 「自利とは利他を言う」
 この人生哲学に立脚した率直で毅然とした生き様に感服するとともに、周囲の人々の飯塚に対する信頼と愛情の厚さが、名状しがたい感動となって迫ってきた。

不撓不屈〈上〉
高杉 良
4101303223
不撓不屈〈下〉
高杉 良
4101303231

コミック版 プロジェクトX挑戦者たち―液晶 執念の対決

 液晶ディスプレイの開発に挑んだ技術者たちのドラマ。プロジェクトXのコミック版だが、池原 しげとの描き方も素晴らしく、企業での技術者の苦悩と喜びが伝わり、素直に感動した。

コミック版 プロジェクトX挑戦者たち―液晶 執念の対決・瀬戸際のリーダー大勝負
池原 しげと NHKプロジェクトX制作班
4872878493

クララ・シューマン―愛をつらぬいた女性ピアニスト

 作曲家シューマンの妻であり、名ピアニストのクララ・シューマンの生涯を描いた伝記漫画。クララの一途な思いと苦悩がよく描かれている。

クララ・シューマン―愛をつらぬいた女性ピアニスト
柳川 創造 高瀬 直子
4082400222

黒い墜落機

 山中に墜落した最新鋭の戦闘機をめぐり、秘密を守るために付近の寒村をなきものにしようと謀る自衛隊と、抵抗する住民たちとの攻防を描く、森村誠一の小説。勢いのある文章と、巧みなプロットで最後まで一気に読める。社会派ではあるが、やや軽めのエンターテイメント。

黒い墜落機(ファントム)
森村 誠一
4087478629

人間の証明

 「母さん、僕のあの帽子、どうしたでせうね?」

 西条八十の詩をモチーフにした、森村誠一の代表的ミステリー。中学生の時に読んで、感動した。勢いのある筆致、様々な事柄が繋がって行く構成で物語に引き込まれる。

人間の証明
森村 誠一
4041753600

算数ドリル

 小学6年生の算数ドリルを、昨日長男が終える。休日を中心に取り組み、4ヶ月ほどかかった。1年生のドリルから通算すると、2年数ヶ月で算数の基礎事項は確認できた。
 小学4年生のドリルよりもやさしく感じた。分数の計算が中心だが、小学4・5年の割合の考えが身に付いていれば、特に難しいことはない。体積の計算も、面積の計算が確実に分かっていれば、その積み上げでありステップも高くない。
 単位あたりの量、速度、比例など、実生活でも重要となる内容は多い。いずれも、割合の概念が定着していることが前提となる。小学4年生の算数が重要であることを改めて実感した。
 今後は、小学4年生の文章題を進め、基礎を定着させ応用力を身につけさせたい。

新課程学力ドリル算数 小学6年生
金井 敬之
4883133133
新課程学力ドリル 算数文章題 小学4年生
岡 篤
4883133311

武田信玄

 「人は城 人は石垣 人は堀
  なさけは味方 あだは敵なり」

 野口英世の伝記の音読が終わった息子に、次は何を読みたいと聞いたら、「武田信玄」と答えた。同じシリーズの「豊臣秀吉」を読んで、戦国武将に興味を持ったようだ。
 信玄は、戦のみにあけくれる父親を追放し、治水や産業の育成にも意を用い、部下の言を用いて人望はことに厚かった。その家法「甲州法度」は、徳川の治世にも引き継がれた。
 優れた経営者であり、指導者であった信玄の偉大さを改めて感じさせてくれた。 

武田信玄―風林火山の旗風
木暮 正夫
4061475614

三国志

 寺島優原作、李志清作画の三国志は、三国演義に基づいた漫画。劇画タッチであるが、建物から杯などの小物に至るまで、丁寧に描かれている。時代の雰囲気を味わせてくれる、正統派の三国志。

三国志 (1)
寺島 優 李 志清
4840103003

加治隆介の議

 安倍晋三内閣が発足した。安倍新首相から、若き総理大臣、官房長官経験者、加治隆介を思い出した。「課長 島耕作」の作者、弘兼憲史による漫画「加治隆介の議」の主人公である。
 1991年4月から1998年11月にかけて執筆された作品であり、当時と内外の情勢の変化はあるが、今でも中身の濃さ、ストーリーの面白さは決して薄れていない。政治の世界をリアルに描いた漫画としては、随一の作品だろう。

 昨年8月のブログにも書いたが、背景には、作者による政治や経済に関わる500人以上の人々へのインタビューがある。政調会長になった中川昭一や、民主党の小沢一郎にも、弘兼は連載当時にインタビューをしている。
 『日本もそんなに捨てたもんじゃないぞという真実を伝えたいという思いが加治隆介になったのです。』と作者が述べているように、熱意ある多くの人々の思いがこの漫画に結実したとも言える。
 加治隆介の語る言葉には、見識に立脚した現実を見据えた上での理想、凛とした潔さがあった。
 志のある政治が実行されることを新内閣には切に望んでいる。

人間図書館 (弘兼憲史と中川昭一との対談)

加治隆介の議 (1)
弘兼 憲史
4062607239
加治隆介の議 (10)
弘兼 憲史
4062607808

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