リヒテル ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番

 ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番ハ短調、この甘美な旋律に彩られた名曲を、自由闊達に弾くリヒテルの演奏には心底魅了される。1959年の演奏だが、古めかしさはいささかもなく、美しい響きに満ちあふれている。第2楽章などは、鳥肌が立つほど繊細で心ふるわせる叙情がある。

チャイコフスキー&ラフマニノフ:ピアノ協奏曲、他
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番
リヒテル(スヴャトスラフ) カラヤン(ヘルベルト・フォン)

春の祭典

 クラシックは、生以外は、CDで演奏に集中して聴くのがよいと思っていたので、DVDでクラシックのコンサートを見る機会はほとんどなかった。しかし、小澤征爾指揮・バイエルン放送交響楽団演奏の「春の祭典」を見て、DVDもなかなか良いものだと実感した。
 明瞭でエネルギッシュな小澤の指揮が、オーケストラを盛り上げる様を見るのは、なかなか爽快だった。
 定価が1995円と、DVDも随分値段が下がってきた。以前買ったリッカルド・シャイーの「春の祭典」のCDはもっと高かった。(今は少し安くなっている。)
 シャイーの演奏も、躍動感に溢れ、何回聴いても味わえる。

春の祭典
小澤征爾 バイエルン放送交響楽団
B0009J8J64

ストラヴィンスキー:バレエ「春の祭典」
シャイー(リッカルド) クリーヴランド管弦楽団
B000CBNYN2

小澤征爾 ブラームス交響曲第4番

 ブラームスの音楽といえば、「渋い」、「枯れた」とよく形容される。しかし、小澤征爾指揮、サイトウ・キネン・オーケストラのブラームス交響曲第4番は、むしろ、みずみずしい音楽という印象を受けた。
 第1楽章も、情緒よりもダイナミズムが勝っているように思えた。第2楽章の精妙なアンサンブルに裏打ちされた優美さもよい。第3楽章は、なぜか聴いていて妙にワクワクした。第4楽章は、冒頭から、ボワっと炎がわき上がるようで、枯淡の境地ではなく、内面の熱さを感じる演奏であった。
 楽しめるブラームスといったら、言い過ぎであろうか。
 併録されているハンガリー舞曲第5・6番が、おまけではなく、交響曲と同じような密度で演奏されていることに驚く。

ブラームス:交響曲第4番
小澤征爾 サイトウ・キネン・オーケストラ
B00005FGF9

ベートーヴェン 交響曲第5番

 インターネットつなぎ隊のメーリングリストに、「(つなぎ隊のことを)ブログで書かせていただきました。」と流したところ、さっそく隊員の佐藤さんからコメントをいただいた。

『ベートーヴェン:交響曲第5&7番クライバー(カルロス) ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団』を買ってきました。まだ、車の中で聴いただけですが、良いですねぇ、これ。私は5番も気に入りました。

 そう、5番もいいんですよ。11月1日のブログでは、話の流れで第7番を紹介したのだが、このCDの5番もぐいぐいと曲の魅力に引込まれる名演。特に、第4楽章は格別に素晴らしい。

 この曲の素晴らしさを真に感じたのは、1994年12月11日に群馬県民会館で行われた、小澤征爾指揮、ボストン交響楽団のコンサートであった。この時のことを、群馬交響楽団の演奏を聴いて ('97年度)の中で、次のように記した。
 『この曲で一番感動したのは、小澤征爾指揮、ボストン交響楽団の演奏だった。第3楽章で表現された不安や怖れをうち破り、第4楽章で前に進もうとする、ベートーヴェンの強い「克己心」が、ありありと伝わってきたのだ。はっきりと、うち勝とうとする意志が見えてしまったのだ。涙がとめどなく出て、演奏が終わっても流れ続けた。圧倒的な感動であった。』

 今はかなわぬことだが、カルロス・クライバーの演奏を生で聴けたら、きっと涙が出るほど感動したに違いない。

ベートーヴェン:交響曲第5&7番
クライバー(カルロス) ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
B00006BGR2

ブルックナー交響曲第4番

Akagi_kg  尾瀬方面に用事があり、朝早く出発する。自宅を出るときは雨が降っており、さらに関越自動車道の渋川インターより北では濃い霧でほとんど視界がゼロに近かったので、これは景色は期待できないと思っていた。

Akagi_kg02  しかし、トンネルを抜けると、真っ青な空が広がっており、紅葉した山並が朝の陽に輝き、その清々しさに感動した。写真は、赤城高原サービスエリアで7時15分頃に写したものである。
Shiisaka

 標高800mの椎坂峠からの眺望も素晴らしかった。尾瀬に向かう国道120号を通り、紅葉に彩られた山々を縫うように進んだ。
 北毛の地の朝のドライブには、ブルックナーの交響曲第4番がたいへんよく合った。

ブルックナー:交響曲第4番
ベーム(カール) ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
B000091LA7

ジョージ・ウィンストン オータム

 紅葉に彩られた白樺林に沿う山あいの道をドライブしたとき、この曲は最高にフィットした。
 清澄なピアノの音が、青空に溶け入るように美しい。

オータム
ジョージ・ウィンストン
B00005EILC

ベートーヴェン ピアノ・ソナタ 第30・31番

 ベートーヴェンのダイナックな3大ピアノ・ソナタと対照的な、後期の内省的なピアノ・ソナタも良い。
 エミール・ギレリスの最晩年の演奏、ピアノ・ソナタ第30番と第31番を聴く。亡くなる1・2ヶ月前の録音である。ベートーヴェンの表現を生涯、厳しく追い求めた奏者の最後の録音は、じっくりと聴く価値がある。

ベートーヴェン : ピアノ・ソナタ 第27・28・30・31番
ギレリス(エミール)
B00005FIRD

月光/熱情/悲愴

 タイトルだけを見ると、テレビドラマのようであるが、ベートーヴェンの3大ピアノソナタに付けられた愛称である。
 ピアノ・ソナタ第14番嬰ハ短調op.27-2「月光」
 ピアノ・ソナタ第23番ヘ短調op.57「熱情」
 ピアノ・ソナタ第8番ハ短調op.13「悲愴」
 この3曲が収まったアシュケナージのピアノのCDは、ドラマチックな魅力に溢れた演奏。明瞭で美しいピアノの音に身を委ねるのもいいものだ。

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第8番&第14番&第23番
アシュケナージ(ウラディーミル)
B000091LCN

リ・ズ・ム

 「リズムは本能にはたらきかけるもの,メロディーは理性にはたらきかけるもの」といわれる.夕暮れ時に懐かしいメロディーが流れると,郷愁がわくのは理性へのはたらきかけであろうし,太鼓のタントトしたリズムに思わず手足が動いてしまうのは本能へのはたらきかけだろう.

 ズンドドズドドドと音が外にもれるほどの大音量でカーステレオを鳴らしている車がそばに来ると,おお,ずいぶん本能に訴ったえちょるな~と思う.リズムの体感刺激はクセになるのだろうか.

 ニュースやドキュメンタリー番組で,捜査の手が入るときに映画「マルサの女」の音楽が流れることがある.5拍子という独特なリズムが,不思議な緊迫感を生み出す.作曲をした本多俊之氏は,メインになるはずの曲とは別に,こんなのもあるよと,やや遊び心もこめてこの音楽を伊丹十三監督に聴かせたそうである.ところが監督はいたくこの曲が気に入って映画のメインテーマにしたという.変拍子の魅力のなせるワザだろうか.

 ベートーヴェンの交響曲第7番は,クラシックの中でも特にリズムが生き生きとしている.第1楽章の明瞭で喜びに満ちたリズム,第2楽章の美しい旋律を際だたせる単純なリズム,第3楽章の軽快で躍動感あふれるリズム,第4楽章の超特急のようなめまぐるしくも酔わせてくれるリズム.各楽章ごとに特徴的なリズムを持ったこの曲は,本能にうったえると同時に構成美を感じさせ,理性にも強くはたらきかけて人々を魅了する.ワーグナーはこの偉大な曲を「舞踊の聖化」と評している.

 コトバもリズムを持っている.連載の原稿やコラムを書くにあたっても,リズムにのったと感じるときには,後で見て説明が分かりやすく書けたと思うことが多い.逆になかなかノレナイときには,のたのたした文章に堕してまう.リズムは理性の導き手でもある.

 (現代数学社 「理系への数学」連載 
 入試で見える線形代数 第4回のコラムより)

本多俊之/フットプリントB00005N18H

ベートーヴェン 交響曲第7番

  『ベートーヴェンの交響曲第7番は、クラシックの中でも特にリズムが生き生きとしている。第1楽章の明瞭で喜びに満ちたリズム、第2楽章の美しい旋律を際だたせる単純なリズム、第3楽章の軽快で躍動感あふれるリズム、第4楽章の超特急のようなめまぐるしくも酔わせてくれるリズム。各楽章ごとに特徴的なリズムを持ったこの曲は、本能にうったえると同時に構成美を感じさせ、理性にも強くはたらきかけて人々を魅了する。ワーグナーはこの偉大な曲を「舞踊の聖化」と評している。』

 上は、雑誌のコラムに書いた文の一部だが、カルロス・クライバーの7番は、もうリクツはいいから、とにかく聴いてほしい名盤。

ベートーヴェン:交響曲第5&7番
クライバー(カルロス) ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
B00006BGR2

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