本陣殺人事件

 横溝正史の「本陣殺人事件」は、和風ミステリーとして独特の位置を占める作品。動機の不可解さ、和モノを使ったトリックなど、日本的な趣きでは「犬神家の一族」を超える部分もある。
 高林陽一監督の美意識に溢れた映画も、印象に残る。

本陣殺人事件
横溝 正史
4041304083

本陣殺人事件
中尾彬 田村高廣 新田章
B00005S7AQ

犬神家の一族

 映画「犬神家の一族」が、市川崑監督(90)、金田一耕助役の石坂浩二(64)という名コンビで30年ぶりに劇場版リメークされることが27日、東京・調布の角川大映スタジオで発表されたとのこと。

 光の影が交錯した映像。女性の端然とした美しさ。おどろおどろしさとユーモアが混在し、引込まれるストーリー。大野雄二の琴線をふるわせる素晴らしい音楽。これらが一体となり日本の美が鮮明に表現された傑作を、再度作り直す意義がどこにあるのだろうか。リメークしても、超えることはできないと思う。なまじCGなんて使えば、しらけるだけだろう。
 いずれにしても、1976年の「犬神家の一族」は、何度みても飽きない数少ない日本映画の名作であることには変わりない。 

犬神家の一族
石坂浩二 高峰三枝子 三条美紀
B00005HKPR

007 ダイ・アナザー・デイ

 007シリーズ20作目。節目の回ということで、次々と繰り出される見せ場には力が入っている。ジェームズ・ボンドが何ヶ月か捕虜になるという設定も目新しい。しかし、スパイ・スリラーというより、「マトリックス」のようなSFアクションに近い感じがする。
 「ドクター・ノオ」のような、野生味あふれ、緊迫感の横溢した男の世界や、「ロシアより愛をこめて」のような風格は、もはやほとんど見られない。

007/ダイ・アナザー・デイ
ピアース・ブロスナン リー・タマホリ ハル・ベリー
B000BX4AP2

ブラック・ジャックスペシャル~命をめぐる4つの奇跡~

 ブラック・ジャックは、出崎統監督によるOVAや、加山雄三主演の実写など、過去様々に映像化されているが、手塚治虫の原作の雰囲気が最もよく表れている作品は、長男の手塚眞監督によるアニメーション「ブラック・ジャックスペシャル~命をめぐる4つの軌跡~」。2003年の12月に日本テレビ系列で放映された。
 原作の第1作である「医者はどこだ!」、雪の夜の物語「勘当息子」、SF風の「U-18は知っていた」、ブラック・ジャックの恩人本間丈太郎とのエピソード「ときには真珠のように」の珠玉の4作がオムニバス形式で収められている。
 たいへん丁寧に作られており、原作者への思いが感じられる素晴らしいアニメーション。

ブラック・ジャックスペシャル~命をめぐる4つの奇跡~
手塚治虫 手塚眞 大塚明夫
B0006GAZ6C

雪の女王 ブラック・ジャック

 緻密で美しい背景と、時折少し濃いめになるキャラクター、そして、要所要所で静止する映像。NHKのアニメーション「雪の女王」を見ると、手塚治虫の代表作「ブラック・ジャック」の劇場版を思い出す。共に、原作を生かしつつも出﨑統監督の個性が光っている。

雪の女王 Vol.1
出﨑統 仲村トオル
B000BV7SRQ
ブラック・ジャック 劇場版
手塚治虫 大塚明夫 水谷優子
B00005S79X

ミクロの決死圏

 脳内出血で倒れた科学者を救うため、探査艇ごと縮小された医療チームを血管に注入し、体内から患部に行き治療するという着想の映画。1966年の作品。

 これを小学生の時にテレビで見て、すごく興奮した覚えがある。無数の赤血球が浮かぶ血管内、猛スピードで流れる心臓付近の静脈、神秘の色をたたえた内耳の風景、異物に襲いかかる抗体。一番身近である、自分自身の内部がこんなに巧みな仕組みと美しさに満ちているのかと、不思議な思いにとらわれた。人体内部が、小宇宙であることをまざまざと感じさせてくれ、生命に対する興味を決定的に高めてくれた映画だった。

 この人体内部の美術デザインは、シュルレアリスムの巨匠、サルバドール・ダリが手がけている。どんなにコンピュータ・グラフィックスの表現技法が発達しても、この映画が与えてくれた人体内部のインパクトを凌ぐ映像にはいまだ出会っていない。

 何度も見ても、色あせるどころが、新しい魅力が発見される素晴らしい映画だ。
 アイデアやストーリーが卓越しているだけでなく、科学に大いなる夢を持たせてくれた点でも、自分にとっては大切な作品。

ミクロの決死圏
スティーブン・ボイド アイザック・アシモフ リチャード・フライシャー
B0006TPEQK

インナースペース

 探査艇ごと人間を縮小し、ウサギの体内に注入するはずが、スパイ乱入のどさくさで人間の体内に入ってしまうというコメディ。なかなか楽しめる作品ではあったが、中心となるアイデアは「ミクロの決死圏」であり、その名作があまりに偉大であるため、「インナースペース」がどうも卑小に感じてしまう。コメディとしては悪くないのだが。
 監督のジョー・ダンテが、「いいタイトルが思い浮かばず困った。インナースペースではなんだか退屈で、でも他に思いつかなかった。」と説明していた。しかし、冗談でも「ミクロの決死圏2(FANTASTIC VOYAGE 2)にしようと思った」などと言ってほしくない。とにかく「ミクロの決死圏」は別格。
 1988年度アカデミー賞視覚効果賞を受賞しているが、ドタバタしているので、体内の映像はそれほど印象に残らなかった。やはり「ミクロの決死圏」で描かれる体内の美しさには、CGでは及ばないことを如実に感じさせられた。

インナースペース
デニス・クエイド ジョー・ダンテ メグ・ライアン
B000BTCM3S

戦場のピアニスト

 ユダヤ系ポーランド人のピアニスト、シュピルマンの実話に基づく戦争体験を描く作品。監督のロマン・ポランスキー自身、母親をアウシュビッツ収容所で亡くしている。
 フランクルの「夜と霧」もそうだが、自身が体験したこれほど過酷な過去を、よく客観的に直視し、描けるものだと思う。いや、過酷であるからこそ、真の人間性を浮き上がらせることができるのだろう。

戦場のピアニスト
エイドリアン・ブロディ ウワディスワフ・シュピルマン
ロマン・ポランスキー
B0000896HN

クリスマス・キャロル

 チャールズ・ディケンズの名作。クリスマスの喜びを深く表現した点では、この古典を超える作品はないのでは。

クリスマス・キャロル
Charles Dickens 脇 明子
4001145510
クリスマス・キャロル
マイケル・ホーダーン モイラ・アームストロング
B0000B0EAV

スチュアート・リトル

 ネズミが養子になるというストーリーを、見事なCGで実現した映画。脚本もなかなか優れている。アメリカの懐の深さを感じる作品。冬休みに家族で見るのによいのでは。

スチュアート・リトル
マイケル・J・フォックス ロブ・ミンコフ ジーナ・デイビス
B000066IS2

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