しあわせのパン
北海道、洞爺湖畔でのパン屋を舞台にした映画「しあわせのパン」。
原田知世と大泉洋演じる夫婦が営む、宿泊もできるパン屋「マーニ」に、様々な人々が訪れる。おいしそうなパンや旬の野菜をあしらった料理とともに、人間模様が静かに綴られる。
そのパンや料理のおいしそうなこと。見ているだけでほっこりとした気分になれる三島有紀子監督の名編。
北海道、洞爺湖畔でのパン屋を舞台にした映画「しあわせのパン」。
原田知世と大泉洋演じる夫婦が営む、宿泊もできるパン屋「マーニ」に、様々な人々が訪れる。おいしそうなパンや旬の野菜をあしらった料理とともに、人間模様が静かに綴られる。
そのパンや料理のおいしそうなこと。見ているだけでほっこりとした気分になれる三島有紀子監督の名編。
ちょっと車で遠出をしたので、BGMとしてサザンオールスターズの初期アルバム「バラッド」を聴く。
雨の降る山道のドライブで聴いたのだが、霧のけぶる木立の佇まいと意外と合う。ノスタルジックな音楽が日本の原風景とマッチしたのだろうか。
海だけでなく山でのサザンもよい。
バラッド '77~'82
サザンオールスターズ
京都の老舗旅館「柊家」で仲居としての日々を綴った田口八重のエッセイを、森光子が朗読するCDを聴く。
仲居になりたての苦労から始まり、川端康成、三島由紀夫、平沼騏一郎などの著名人と接した思い出が語られる。お客様に心をこめて接するうちに、著名人も素顔を見せ心を開いていく様が、淡々としていながら心にすっとはいる言葉で語られる。
森光子の朗読が素晴らしく、自然と引き込まれる。仲居の息づかいが伝わるようであり、深い共感がなければこうは読めない。
「おもてなしの心」の神髄を伝える珠玉の朗読。
「80日間世界一周」は、ジューヌ・ベルヌの小説を原作とする1956年の映画。1872年のイギリスで、デヴィッド・ニーヴン演じる紳士が全財産をかけて80日での世界一周を目指す。
当時は交通機関が発達しておらず、気球、鉄道、蒸気船など様々な乗り物を乗り継いでの旅であった。世界各地の風景をカラーで楽しむ観光映画としての側面もある。
主人公の従者を演じるカンティンフラスがたいへんコミカルで、全編ユーモアに満ちた作品になっている。品のある優雅な音楽も素晴らしい。
フランク・シナトラ、マレーネ・ディートリヒ、バスター・キートンなど当時の名優が一瞬だけ登場する贅沢さ。カメオ出演のはしりとも言われる。
心豊かな気分にさせてくれる、記念碑的エンターテイメント大作。
伊豆の旅行2日目。雲見温泉の民宿「大漁」で朝食をとる。アジの干物をメインにした素朴な品々であるが、塩辛、山菜などことごとく美味しい。
「大漁」のすぐ裏手にある坂道を登ると、目的地の「千貫門」に行くことができるとのこと。遊歩道の階段を10分ほど登る。
突然、視界がひらけ、午前の日に輝く明るい海が見渡せる。海岸に降りていく遊歩道の先に険しい形をした岩が姿を見せている。
海岸に着くと、昨日のヒリゾ浜とはうって変わって閑散としており、ほとんど人はいない、しかし、海の透明度はヒリゾ浜に劣らず澄んでいる。眼前にそびえる千貫門の偉容は迫力がある。
まずは、奇岩の根元にあたる横に広がる洞窟部分の海中に入ってみることにする。子どもたちもライフジャケットを着てシュノーケリングの支度をし、泳いで行く。
洞窟に入ると、途端に深くなるが、魚の数も驚くほど多い。
さらに洞窟の奥に進んでいく。浸食が随分と進んでおり、水深も結構ある。
魚影の濃さに圧倒される。陸上とはまるで別世界である。
海からあがり、海岸を進むと、海食洞をくっきりとみせる千貫門の雄姿を目にすることができる。柱状節理の岩肌をまとってそそり立つ姿は、独特の存在感を放っている。
海食洞のそばまで泳いで行く。間近にみる岩肌の荒々しさは自然の厳しさをそのまま表現しているようで、水に入るときも少し気がひきしまるようだ。
透明度の高い水中で、海底の様子がよく見える。
魚が群れなす場所もかなりあった。
まさに自然と一体感を味わえるスポットであった。
帰りは、おきまりのコースとなった湯治場「ほたる」で湯につかり、さっぱりする。
昨年同様、三島の回転寿司「にぎりの徳兵衛」で早めの夕食をとる。粒のおおきないくら軍艦が絶品であった。
「ヒリゾ浜」「千貫門」で透明度の高い海に感銘を受けた旅。伊豆は何度来ても奥の深い魅力を感じさせてくれる。
伊豆半島南端にあるヒリゾ浜にシュノーケリングに行く。下田市街から30分ほど進んだ中木から船で渡らなければ行けない場所にある人気スポットである。
8月、夏休み最中ということもあり、中木港駐車場の混雑が予想されたので、前日の夜に自宅を出発する。写真は午前4時半頃の様子だが、船着き場近くの駐車場は8割ほど埋まっていた。
ヒリゾ浜に渡る船は、5分おきに出発する。船着き場には、乗船待ちの人々が場所取りをするための荷物が一列にびっしりと並ぶ。ここに早く荷物を置くことが肝要のようだ。8時半に船が出港を始めるが、その1時間前の7時半から発券が始まる。発券前にはチケット売り場に並ぶ行列が驚くほど長く出来ていたが、いざ始まるとスムーズに人の波は流れ始める。
船は快調に風光明媚な景色の中を飛ばし、5分ほどで内陸から断崖で隔絶されたヒリゾ浜に到着する。写真は船着き場の様子。
浜は猫の額ほどであり、大きな石が敷き詰められた浜で、ほとんど砂浜はない。しかし、眼前にそびえる大根島など大小の岩にさえぎられ、浜は荒波から守られている。
洞窟のある岩など、複雑で美しい景色を見ているだけでも飽きないが、この場所の魅力は、抜群の透明度を誇る海水と豊富な魚にある。
海に入ると、少し進んだ浅い場所でもニシキベラなど陽光に鱗をきらめかす魚が姿を見せる。黒潮にのって運ばれてくる青や黄色の熱帯魚の姿も見られ、その種類と量の多さには圧倒される。
ライフジャケットを着てシュノーケリングを楽しむ。少し進むと、すぐに深くなる場所もあり、底の方には様々な魚が群れをなしている。岩場のすきまにウツボがいて、ギョッとすることもあった。
沖合の丘ハヤマと呼ばれる小島のまわりには、珊瑚が育っている場所があり、魚も豊富である。しかし、急激に深くなる場所や、波が打ちつける岩礁があり、海流もあなどれず、慎重さが必要である。海の恐ろしさを感じる場所でもある。
浜に戻るとテントがびっしりと敷き詰められ、船着き場に戻るのもたいへんなほどである。ヒリゾ浜にはトイレや売店は当然ないため、中木に船で戻る必要があるが、券があれば何度でも往復でき、船も頻繁に発着するので手軽に戻ることができる。
午後1時頃にはヒリゾ浜を後にする。船から浜をみると、海中の岩に囲まれた独特の地形であることを実感する。テントが多くなければ、まさしく秘境というにふさわしい。
中木に戻り着くと、ホッとするものがある。午後になると、駐車場もすいてくる。しかし、午後には潮があがってくるので、海の透明度は低くなってくるようである。
中木から南に進んだあいあい岬に行ってみる。広やかな海が一望でき、気持ちよい。ヒリゾ浜を守る大根島が存在感をもっている。
雲見温泉の民宿「大漁」に泊まる。夕食は、獲れたての魚を満喫する。食器や調度にも店主のこだわりが感じられる宿。温泉と鮮魚の食事で、運転や遊泳の疲れが癒される。
気がついたら、このブログが10年を越えていた。1日1つのペースで何かを紹介する試みも、何とか続けることができ、記事の数も 3800 になった。
この2015年の中で、特に感銘を受けたものを振り返ってみたい。
時代小説: 一夢庵風流記
前田慶次郎の生涯を掘り起こし、人生の機微に通じた懐深いエンターテイメントに昇華させた力量には脱帽する。本を読む楽しさを真に与えてくれた。隆慶一郎という作家を知り、ほんとうに良かった。
古典作品: アンナ・カレーニナ
古典文学の凄みと深みを知ることができ、今年で一番意義深かった読書体験。
ドラマ: 64(ロクヨン)
NHK土曜ドラマとして、5回シリーズで放送された。その密度の濃さと緊迫感は圧巻。最近のドラマにない感覚であった。横山秀夫の原作も素晴らしく、その良さを凝縮し見事に映像化していた。同時期にやっていた大河ドラマのフヌケた脚本と対照的であった。
下町ロケットも楽しかったが、ドラマとしての完成度として64をベストに掲げたい。
音楽: 宇野誠一郎 作品集
「ふしぎなメルモ」「一休さん「ねえ!ムーミン」「小さなバイキングビッケ」「やまねずみロッキーチャック」など、宇野誠一郎のアニメ音楽には印象に残るものが多い。そこはかとない抒情と実験精神。生き生きとしたリズムとメロディは歌い継がれる魅力を持っている。
歌手: のこいのこ大全
ひらけ!ポンキッキの曲は、今でも鮮烈に覚えているのだが、この人の役割が大きい。コマーシャルでも実に多くの場面でこの人の声にふれていた。
役者: 熊倉一雄さん
この方も本当に得難い役者であった。その存在感は、幾多の作品の中にとどめられていく。
映画: 東京物語 雨月物語 切腹 新幹線大爆破
最近の作品ではこれというものがなかった。やはり昔の作品が良い。様式美と緊密な脚本。その世界に誘い自然と浸ることができる。
アニメ: 食戟のソーマ
これは楽しかった。サービス精神満載。「ごちそうさまでした。」
旅: 岩地海水浴場
長男・次男ともに受験を控え、あまりおでかけすることが少ない年であった。その分、伊豆への旅行が輝いた思い出になった。
とりとめなくあげたら、エンターテイメント性の高いものが多くなった。人生肩肘張らず、楽しんでいこうという気持ちが強くなったためだろうか。これからもいい作品に出会い、伝えることを続けたい。
職場の旅行で上高地に行く。松本インターチェンジ付近までは雲が厚く、天候が心配されたが、現地は晴れ間が広がり別天地であった。
バスターミナルでは、穂高連峰が輝くような勇姿を見せていた。
梓川があまりに澄んでいるので驚く。川の流れが空気をより清浄にしているかのようである。
河童橋の附近では雄大な山々の美と川の清流に心洗われ、名所であるゆえんが分かる。
川岸を歩くと、白樺の木立が現れ、涼風にふかれて静かに葉を落としていた。静謐な時が流れる。
ウェストン碑は水辺の壁面にレリーフが打ちつけられ、日本各地の山々を世界に伝えた功績を讃えている。
その向かい側に見える、霞沢岳や六百山の眺望が素晴しい。
散策を続けると、猿が食事する姿が見られた。観光客の目などおかまいなしに木の実をほおばっている猿が何匹も道の脇にいた。蝶も自由落下をした後ふわりと飛ぶなど、ゆとりがある。この地では、どの生き物も伸びやかに暮らしているように伺えた。
上高地帝国ホテルの建物が、ヨーロッパのような瀟洒な趣を見せる。
ロビーラウンジでは、ケーキセットなどを喫することができる。落ち着いた空間であり、静かにお茶の時間を楽しむことができた。
美しい峰々と清冽な空気、透明に澄んだ水。上高地は、再び訪れたいと思わせる尽きせぬ魅力に満ちている。
西伊豆の岩地海水浴場に行く。3年前に雲見温泉に行ったとき、民宿のおかみさんが、「岩地という素晴らしい海水浴場がありますね。」と言っていたので、ずっと気になっていた場所である。
堂ヶ島から南に15分ほど車で走ると、岩地の入江が見える。朝6時に到着する。国道沿いの駐車場に停め、海側を展望できる場所に行くと、オレンジや青の屋根が海に映え美しい。その眺望は「東洋のコート・ダ・ジュール」と呼ばれるという。
今回の旅のメインは、シュノーケリング。北側のテトラポットのあたりに魚がいるとのこと。
駐車場から眺めても、岩場付近の海は濃いグリーンを呈し、いかにも魚がいそうな雰囲気がある。
崖上の駐車場から5分ほど歩いて海岸に降りる。
浜辺からも、海水の透明度の高さがはっきりと分かる。実に澄んだきれいな水である。
初体験のシュノーケル。ライフジャケットを身につけ、海に入ると水中の様子が克明に見える。体を水にならしながら、徐々に北側に泳いでいく。
テトラポットの付近に行くと、驚くほどたくさんの魚がいる。青い熱帯魚や、黄色、黒、大きさも様々な魚が悠々と泳いでいる。群れをなしている魚もおり、感動する。これほど海岸に近い場所に、多くの魚が集まっていることに感嘆する。いつまで見ていてもあきない。
ただし、岩場であり急に深くなるので、子どもには絶対に注意が必要である。水の色をみても分かるように、かなり深く、ライフジャケットなどの装備なしでは危険である。海藻が繁茂し、足場もほとんどない。
それにしても、水中を自然に泳ぐ魚の美しさには魅了される。シュノーケリングの楽しさを子どもたちも満喫したようだ。
岩場に近づかなければ、波静かな入江であり、実におだやかな海だ。風光明媚な山々を眺めながらのんびりと泳ぎや水遊びを楽しむことができる海水浴場である。
雲見温泉の帰りにも寄った湯治場「ほたる」を帰りに訪れる。土肥と修善寺の間にある船原温泉のひとつである。料金もリーズナブルで、気軽にさっぱりとできる。
早めの夕食を、三島の「にぎりの徳兵衛」でとる。最初に穴子一本焼を頼むと、皿からはみ出る迫力。どのネタも新鮮で、海の幸を堪能する。なかでも、イクラの食感には感動する。
夕日に映える富士山を眺めながら帰路に着く。
シュノーケリングで海の豊かさを体感することができ、実りのある1日であった。
NHKが4回にわたって名著を紹介する「100分 de 名著」、2014年6月には柳田国男の『遠野物語』が取り上げられた。
カッパ、ざしきわらしなど、子どもの頃に耳にして不思議さと怖さを味わった話を含め、古くから遠野に伝わる物語の数々。そこには、日本の原風景の中に込められた思いや教訓がちりばめられている。
日本人の死生観や自然観が凝縮された物語の魅力と深みに自然といざなう。
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