ONE PIECE (1)

 元気な海賊たちの冒険コミック、「ONE PIECE」。最初は、子ども向けの漫画と思ってあまり関心がなかったが、原作を読んだら、意外に面白いではないか。尾田栄一郎という若い漫画家の「心意気」をストレートに感じる。

 冒頭の、ルフィの子どもの頃のエピソードがいい。ウソップが自分の村でのエピソードにも感動した。ナミの子供時代の話も、もう人に見せられない顔で読んだ。仲間一人ひとりが背景をもっていて、その上にそれぞれが夢を持って進む明るさが快い。「作家魂」をもった人が描くから、支持があって長く続いているのだろう。

One piece (巻1)
尾田 栄一郎
4088725093

ドラゴン桜 (1)

 「教えてやる!東大は簡単だ!!」

 倒産の危機にある高校を建て直すために、債権整理にやってきた弁護士が、東大合格者の輩出を目指すコミック。

 強烈に面白い。一晩で1巻から4巻までを読んだが、次から次に受験のテクニックが、インパクトのある描写で披露される。受験生の葛藤、教師の在り方など、様々な視点が盛り込まれており、ストーリーに引込まれた。

 とにかく勉強することを前向きに捉えている点が素晴らしい。そう、高校生は、勉強に真剣に取り組んでいる自分を、もっと誇りに思っていいのだ。

ドラゴン桜(1) (モーニング KC)
4063289095

リヴィエラを撃て

 ブラームスのピアノ協奏曲第2番を聴いたら、高村薫の「リヴィエラを撃て」を思い出した。感想を書こうと思ったら、「そんなときこんな本」で、すでに下のような紹介をしていた。

 謎の東洋人「リヴィエラ」をめぐっての諜報戦が圧倒的にリアルに描かれます。IRAテロリストとピアニストとの交流という不思議な旋律を持ちながら、主旋律は極めて硬質な響きを保っています。ブラームスのピアノ協奏曲第2番が象徴的な曲となっています。冒険小説の格調高い名作。

リヴィエラを撃て〈上〉
高村 薫
410134714X
リヴェエラを撃て〈下〉
高村 薫
4101347158

加治隆介の議

 政治の世界を描く弘兼憲史の力作。商社マンから、父親の死去に伴い政治の世界に入っていく加治隆介。紆余曲折を経て、官房長官になり、その後も要職を歴任しながら熱く理想を追い求める。

 政治家の汚い部分を描く漫画や映画は数多くあるが、この作品は、本気で日本のことを考え行動する人々が描かれている。作者は、政治家、官僚、軍事評論家、商工会議所のメンバーなど500人以上の人々に会い、日本の現状や地方政治の現実など様々な問題を垣間見た。そこで頑張っている人達がたくさんいることを知り、『日本もそんなに捨てたもんじゃないぞという真実を伝えたいという思いが加治隆介になったのです。』と、作者は講談社ミスターマガジン版の最終巻(20巻)あとがきに書いている。

 第17・18巻で、加治隆介が防衛庁長官となっている時に、プルトニウム運搬船がテロリストに乗っ取られる事件が扱われている。ここでの政府の対応が極めてリアリティを持って描かれている。映画「亡国のイージス」より、よっぽど説得力のある優れた表現になっている。

 日本の漫画の表現技術の高さ、志の高さを世界に示すことができる立派な作品だと思う。

 折しも今日、郵政民営化の是非を問う衆議院選挙が公示された。

加治隆介の議 (1)
弘兼 憲史
4063280012

低レ研

 「低レ研」-人間の尊厳に対する真摯な挑戦!

 書名とサブタイトルから、何が書いてあるのかまるで想像できないこの本は、1993年に雑誌アスキーに連載され、多くの人に影響を与えた(らしい)エッセイである。そうそう、タイトルは「低レベルソフトウェア研究所」の略である。で、だいたい本の内容はわかっただろうか?

 このエッセイが連載されていた当時は、まだウィンドウズもなく、それだけに、パソコンの発達にまだワクワクできる時代だった。個人が開設するBBS、パソコン通信が華やかなりし頃で、ソフトウェア以上にパソコンのハードウェアに関心を持つ人も多かった。そんな背景で書かれいるが、今読んでも実に楽しめる。

 個人的には、「追及!パソコンライター達の午後」が気に入っている。そば屋の評価をライターがする話だが、ほんとに腹を抱えて笑った。

 作者の丹羽信夫さんは、パソコンの本を数多く著しており、今でも膨大な量の情報発信をしている。

 1995年以前のパソコン事情を見てきた人には、手に入れば、是非読んでいただきたい本である。あの時代の熱気と楽しさがよみがえってくるだろう。

低レ研―人間の尊厳に対する真摯な挑戦!
丹羽 信夫

燃えよ剣

 新選組副長、土方歳三を描いた司馬遼太郎の長編小説。文句なしに徹頭徹尾おもしろい。幕末の奔流の中で、男気を貫く土方の姿は、ほんとうに格好良い。まさしく男のロマン。

燃えよ剣 (上巻)
司馬 遼太郎
410115208X
燃えよ剣 (下巻)
司馬 遼太郎
4101152098

電車男

 同僚が持っていたので、借りて読んでみたら、なかなか面白い。主人公は、結構誠実な人ではないか。ぎこちなくとも、ひたむきに好きな気持ちを表そうという努める姿に、お姉さんもかわいがってあげたいという思いがわいたのでは。

 ネットの住人たちの奇妙な連帯感が生む、不思議な盛り上がりが素直に楽めた。

 最近、コンピュータによる掲示板などの作成実習に関わる機会が何回かあった。比較的真面目な大人の集まりなのだが、それでもチャットに書き込みをさせると必ず一人は、「電車男」の名前で入出したり、「エルメス~」と書いたりする人がいた。時間があれば、交流を進めて、ネット上の連帯感をもっと味わってもらいたい気もした。

 電車男
中野 独人
4104715018

小説ヘッジファンド

 米国系銀行や証券で国際金融市場に関わった著者が描く、迫真の経済小説。舞台となる年代は少し以前であるが、そこに描かれているのは、現在もリアルタイムで進行している金融のダイナミズムである。

 一般にはなかなか知り得ないヘッジファンドの実態が、巧みな筋運びで紹介され、楽しめる小説になっている。

小説ヘッジファンド
幸田 真音
4062639939

さぶ

 しっとりと人情の機微に触れたいときにおすすめの本。

さぶ
山本 周五郎
4101134103

ブルックナー カラー版作曲家の生涯

 新潮文庫「カラー版作曲家の生涯」は、その作曲家の生き様が写真や絵とともに語られ、たいへん気に入っているシリーズだ。その生涯を読むと、音楽の味わいがよりいっそう増してくる。

 シリーズの中でも、一番地味な生涯と思われるのが、ブルックナーである。本人の写真は、どこにでもいそうなおっさんに見える。女の人が好きで、ミーハーなところもあったようだ。しかし、それとは裏腹に、作曲された音楽は巨大な伽藍のように壮麗である。アンバランスの理由について、やはり人生をたどることで浮きあがってくるものがある。

 挿入されている現在活躍している指揮者や演奏家たちのエッセイも、その音楽への共感にあふれ、どれも味わいがあり曲の持つ魅力を教えてくれる。

 しかし、このシリーズは絶版となっているものが多い。ブルックナーもそのひとつである。クラシックを楽しむのに好適なシリーズと思っているので、たいへん残念である。自分自身、ブルックナーの長大な交響曲はあまり聴く機会がなかったが、この本で関心がわき、何度か聴くうちに徐々に受け入れられるようになった。

 百年を超えてなお多くの人々に愛される音楽を作曲した人の生涯は、それぞれがシンフォニーのような豊かさをたたえている。

ブルックナー
土田 英三郎
4101066116

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