初任者講義「学校評価」

 今年度新規採用された小学校・中学校・高等学校・事務の教職員三百数十名に対して、「学校評価」の講義をする。学校評価については、管理職や主任クラスに話をするのは分かるが、なぜ新規採用職員に講義を行うのか、自分でも最初は疑問に思っていた。しかし、準備を進めるに従い、その重要さを感じるようになった。「学校評価」を語ることにより、組織の一員として連携や外部に対する意識などを心掛けることを伝えることができる。また、評価項目を話す中で、学校がどのような営みをしているのかをガイダンスすることにもなる。
 講義の真ん中で、新規採用職員として1年間何を目標とするか、どのような手立てでそれを達成するのか、そして、どのようにそれを評価するのかを書かせた。その後、学校評価のPDCAサイクルを説明し、学校の営みが身近になるよう工夫をした。
 彼らは、これから目の前に次々と起る新しいことの処理に手一杯となるであろう。しかし、前途に対して希望をもっている時に、基本的な学校運営の流れを伝えておくことは、彼らが成長するための布石となる。
 新規採用職員に対して語ることの清々しさを感じ、自分にとってもたいへんに意義深い講義であった。

NHKスペシャル 驚異の小宇宙 人体III 第3集

 遺伝子をテーマとしたNHKスペシャル驚異の小宇宙人体Ⅲ。その第3集は、DNAの塩基配列をもとに、日本人や人類のルーツをさぐる話。アイヌのDNAとアンデス原住民のDNAがほぼ一致することから、地球の反対側にある人々が同じ祖先を持つことが語られる。今回は、派手なCGに頼らず、哲学的なテーマをもって粛々と進行する。
 長男も、「つながるって面白いね。」と言っていた。繋がることの良さを伝えることは、教育の本来的なテーマでもある。

NHKスペシャル 驚異の小宇宙 人体III 遺伝子~DNA 第3集 日本人のルーツを探れ~人類の設計図~ [DVD]
大滝秀治
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完全図解周期表

 科学雑誌「ニュートン」別冊の「完全図解周期表」は、各元素の紹介や周期表にまつわるエピソードをビジュアルに示した本。なじみの深い元素から聞き慣れない元素まで、基礎データや利用方法が分かりやすく記されている。
 子どもたちも時折見ており、「金(Au)よりスカンジウム(Sc)のほうが値段が高い」など関心を示している。化学を身近にとらえることにも役立つ冊子。

完全図解周期表―自然界のしくみを理解する第1歩 (ニュートンムック―サイエンステキストシリーズ)
玉尾 皓平
4315517895

NHKラジオ 基礎英語1

Kisoeigo1  子どもたちが、NHKラジオの基礎英語1を始める。朝6時からの放送なので、早起きの習慣にもなる。
 最近のテキストでは、アルファベットを学ぶ際にパソコンのキーボードの配置も示すなど、いろいろな工夫がされている。15分間のレッスンだが、その密度の濃さには感心する。授業の組み立ての重要さ、時間の貴重さを実感させてくれる番組でもある。

NHK ラジオ基礎英語 1 CD付 2009年 04月号 [雑誌]
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くもんの中学基礎がため100%中3数学 図形編

 中学3年生の図形領域は、相似な図形、三平方の定理を中心とし、極めて内容が濃い。また、二次方程式を利用して解く問題も多く、いままでの数学の知識を総動員する、まとめとしての役割も果たしている。さらに、2点間の距離、円錐の体積など、様々な応用に発展する。それだけに、習熟のために多くの問題にあたることが必要となる箇所であり、また、そこで鍛えた計算手法が高校の数学に直接繋がっていく。
 「くもんの中学基礎がため100%中3数学図形編」は、スモール・ステップにより、この密度の濃い単元を乗り越えやすくする工夫がなされている。

 長男は、7ヶ月かかってなんとかこの問題集を終えることができた。小学1年のドリルから始め、5年間でようやくここまでたどり着いた。長い道のりであった。すべての問題にあたることで、本人も自信がついたであろう。
 問題解決のためには、材料が必要であり、基礎的な訓練はおろそかに出来ない。難しい数学の問題であっても諦めずに考え抜くことで、目に見えない力が培われたことと思う。

くもんの中学基礎がため100%中3数学 (平成21~23年度用図形編)
4774315362

マリンドリーム能生

Nou01  スーパーカミオカンデを見学した翌日、富山のホテルに一泊し、北陸道を通って帰る。富山から東100kmにある新潟県糸魚川市の能生インターを降り、海辺をドライブして「マリンドリーム能生」に寄る。カニの直売所や海洋公園が併設された国道8号線の道の駅だ。

Nou02  能生海洋公園には、海を背景に様々なオブジェや展望台が点在し、趣がある。一画には県立海洋高等学校の実習船が展示されており、内部を見学することができる。船内は順路が迷路のようになっており、狭い内部を極限まで活用していることが分かる。

Nou03  『生徒たちは、遥か洋上80日間”マグロはえ縄”漁業や海洋観測、生物調査などの重要な実習を主に、北洋、インド洋、ハワイ、タヒチ沖へと狭い船内生活の中、楽しく、苦しく、厳しい航海を体験しました。
  このような体験を通して、海洋及び漁業の実態を把握し、漁法や船舶運行に関する知識と技術を総合的に習得しながら、生徒たちは、大きく強く世界へはばたいて行ったのです。』
 サイトに記された実習船「越山丸」のプロフィール。実際に内部を見ると、航海の苦労が伝わってくる。

Nou04  近くに魚や船に関する2階建の小さな展示施設がある。町の人々と学校関係者が力を合わせて創りあげたとのことで、手作りの趣がある。
 他にも、かにや横丁、鮮魚センター、レストランなど、海の幸にふれる多くの施設がある。昨日、富山の魚と共に日本酒を飲み過ぎたので、胃のリハビリのために昼はカニぞうすいを食べるが、深みのある味を楽しめるまでになっていた。

 スーパーカミオカンデでは、太陽ニュートリノの観測も行っている。能生は夕陽の景勝地でもある。太陽からの光は等しく地球に降り注ぐが、それを受け止める側は科学的であったり情緒的であったりと様々である。
 いずれにしても、陽はまた昇る。今日も明日も。

マリンドリーム能生

スーパーカミオカンデ 太陽ニュートリノの研究

スーパーカミオカンデ

Kamiokande01_2  岐阜県飛騨市神岡町にあるスーパーカミオカンデに行く。東京大学宇宙線研究所の観測施設であり、宇宙からの素粒子を24時間体制でとらえている。
 長野自動車道の松本インターを降り、いくつものダムが見える道を経て、幾多のトンネルを抜けて長野と岐阜の県境にある安房峠に出る。安房峠の有料道路は高速道路並の素晴しいトンネルで、あっという間に岐阜県に出る。周りには雪が残っていた。

Kamiokande03  神岡町の道の駅「スカイドーム神岡」には、光電子増倍管や、カミオカンデのレプリカが展示されている。飛騨のおみやげを売っているが、カミオカンデせんべいやニュートリノ饅頭は売っていなかった。

Kamiokande04  国道41号線から脇道に入り、しばらく進むと、工事現場のような場所が入り口であった。神岡鉱山と書いてあるのみで、ここが東大の研究施設入り口とはまったく分からない。子どもたちは探検気分で懐中電灯を振り回して喜んでいた。この坑の奥、山の地下1000mの場所にスーパーカミオカンデがある。

Kamiokande05  東大の先生が、専用車両(錆びたバン)で坑内から迎えにきてくれる。入り口から1.7km奥に、車に乗っていく。スーパーカミオカンデのビデオを見た後、エレクトロニクスハットと呼ばれるスーパーカミオカンデの上部に行く。ドーム状になっており、天井はアルミ等のシールドで覆われ、ラドンなどの放射線が入らないようになっている。周りには様々な機器が配置され、足下には無数のコードが這っている。この下には、5万トンの純水をたたえた直径39.3m、高さ41.4mの巨大な水槽があり、11129本の光電子増倍管が宇宙からの素粒子を絶えず検出している。

Kamiokande06  エレクトロニクスハットを出て隣の部屋に行くと、光電子増倍管のモニター画面が映し出されていた。モニターは素粒子を感知して絶えず模様を変えていた。
 基礎研究の重要さは、現在身の回りにあるエレクトロニクスを考えれば納得できる。300年前、電子を研究しているといっても一般にはほとんど相手にされなかっただろうが、今の我々に電気製品のない暮らしは考えにくい。
 そいうった実利的なことを抜きにしても、宇宙の真理を解明する試み、純粋に知的な営みが静かになされていることに感銘をおぼえる。

Kamiokande08_2  坑から出た後、富山に向かい、1時間ほどでホテルに着く。窓から見える立山連峰の勇姿が美しい。「富山」の名にふさわしい景色だ。

東京大学宇宙線研究所 神岡宇宙素粒子研究施設

スーパーカミオカンデ リアルタイムモニター

ニュートリノ、ニュートリノ、そしてニュートリノ

 第一線で活躍している研究者が直接、高校生と向き合い、最先端科学の魅力を語る“楽しむ科学教室”の一環で、ノーベル物理学賞受賞者の小柴昌俊氏の講演「ニュートリノ、ニュートリノ、そしてニュートリノ」を家族で見る。
 素粒子物理学の歴史、カミオカンデ建設の経緯と成果などを、豊富な事例と分かりやすいたとえで高校生に語っている。
 専門的な内容で、小学生の子どもたちには漠然としか分からなかったようだが、「チェレンコフ光」「陽子崩壊」といった言葉は刷り込まれたようだ。
 ミクロの物理学とマクロの物理学の両端が、素粒子を介してつながるという冒頭の話は極めて興味深く、その後の説明でテーマがより明確になっていく構成は見事だった。

NHKアーカイブス 楽しむ最先端科学
「ニュートリノ、ニュートリノ、そしてニュートリノ」

学校評価―情報共有のデザインとツール

 誰でも、いい学校に子どもたちを通わせたいと思う。では、いい学校とは、どんな学校なのだろうか。また、子どもたちが通っている学校では、何を目指してどんな教育が行われているのだろうか。

 学校評価は、学校の目指す姿と、それに向かうための具体的な方法、実施した結果を公表するものである。それにより、教職員だけでなく、保護者や地域の人々と学校の目指すものを共有し、学校の改善につなげるためにある。

 従来、学校教育は「評価」になじまないとされてきた。人格の形成には時間がかかる、教育の成果は一朝一夕には表れないという、「あいまい」な理由で評価を避けてきた面が少なからずある。
 しかし、昨今の教育改革で、多様な学校の形が広がり、また、地域が学校を支える様々な取り組みがなされるようになった。皆で学校を作っていくとなると、やはり目指すべき姿を共有することが重要となる。そして、改善の方向を協議する場と、取り組みの結果を振り返る指標が必要となる。

 本書は、「評価」を全面に出し、学校を良くするための情報共有プロセスをデザインする重要性を訴えている。イギリスやアメリカの「ハード」な学校評価を紹介しており、日本の学校評価を考える上でも示唆に富む。また、具体的な評価ツールを紹介し、学校評価がシステムとしてうまく機能する方策を提示している。
 「学校をよくしよう」という思いを実現するために、保護者・地域と学校をつなぐ「学校評価」の役割が実際的に記述された良書。 

学校評価―情報共有のデザインとツール
金子 郁容
4480062173

杜子春・トロッコ・魔術

 子どもに「杜子春」「トロッコ」「魔術」など芥川龍之介の作品を朗読させる。音読を聴くと、目で追った時とは違った感慨がある。繊細な表現と豊かなリズムを持った文章を親子で味わうことができた。

杜子春・トロッコ・魔術―芥川龍之介短編集 (講談社青い鳥文庫 (90‐1))
つぼの ひでお
4061471619

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