秋晴れの日、榛名山に出かける。山頂に至る道の両側に、柔らかに色づいた紅葉が広がる。山々に囲まれた榛名湖のボートに乗る。湖面は蒼い色をたたえ、陽光に明るい色を放つ周りの山とコントラストを成している。山々の風景の中でも、岩肌を露わにした硯岩が目を引く。
国民宿舎「榛名吾妻荘」のそばの無料駐車場に車を停め、歩いて硯岩を目指す。国民宿舎のすぐ脇に、登山口がある。案内板あるので、迷うことなく進めた。30分ほど灌木の中を登ると、断崖絶壁の岩の上にたどり着く。
硯岩からの眺めは、まさしく絶景。榛名湖が一望できる。
円錐形の榛名富士が湖面からそそり立つ姿は、ひときわ美しい。手軽なコースだが、清々しい思いにひたることができた。良く晴れた日にトライをお薦めしたいコース。
秋の晴天に誘われ、高崎市の観音山ファミリーパークに行く。山中の広大な敷地に設けられた、自然をそのまま活かした公園。約3haもの芝生が広がり、総面積は60.3haにも及ぶ。遊具や噴水もあり、四季折々の花々が目を楽しませる。
公園周辺の里山めぐりをする。昼なお暗い木々の間を通り、野鳥の鳴き声を聞きながら様々な植物や虫に出会うことができる。一時間ほどで一周でき、家族で楽しめる手軽なコースだが、結構起伏がある。途中、両側が急斜面になっているスリリングな場所もあり、変化に富んでいる。
秋の深まりを家族皆で実感できた。
新潟県上越市のたにはま海水浴場に家族で出かける。軽井沢から上信越自動車道で2時間ほど。名立谷浜ICより約10分ほどの場所にある景勝地。
上越地方の中でも最も良質の塩が採れたとされ、戦国武将・上杉謙信が甲斐の武田信玄に送った義の塩も、この海岸でつくられたとの言い伝えがある。
透明度の高い海の水が美しい。遠浅の海岸とのことだが、20mも行くと足がつかなくなる。お盆だが、人出もそれほど多くなく、ゆったりと泳げる。子どもたちは、海岸の隅にある藻が繁る場所で、魚を見つけて喜んでいた。
午後2時頃に海から上がり、上越市立水族博物館に行く。一番大きな水槽は、幅13m、奥行10.5m、高さ8mあり、水量は720m3。およそ40種類2000尾の海水魚が泳いでいる。ちょうどダイバーによる餌付けが行われてた。
3時半のイルカのショーを見る。夏季限定でのイベントのようだ。1日に何度もショーがあるせいか、イルカもヒトの言うことをたまにきかない時があった。イルカも疲れがたまっているのでは。
その後、子どもたちは岩礁の海岸を模したビーチランドで遊ぶ。生き物に直接手でさわれる場。ヒトデやヤドカリなどを捕まえて喜んでいた。
魚だけでなく、科学館のような展示もあり、多彩な施設だ。
外のサイクルモノレールは、敷地の外周に沿って設けられている。
足でこぎながら、イルカショーの会場や、マゼランペンギンが約100羽飼育されているプールも眺められる。敷地をうまく活用し、よく工夫された施設だと感じる。
サイクルモノレールからは海が見え、車の走る道路がすぐ下にある。 なかなかユニークなアトラクション。陽が傾いた頃に上から見た海辺の町の景色には、趣きがあった。
施設内には他にも生きた化石カブトガニ、世界最大の淡水魚ピラルクなど、様々な生物が飼育されており、もう少し見る時間が欲しかった。
ヤマダ電機の「旗艦店」が高崎駅に隣接してオープンした。プリンタのインクを買いがてら家族で出かけたが、たいへん混雑している。最上階には、レストランが軒を並べているようなので、子どもがゲーム機で遊んでいる間に偵察するが、結構いい値段。とりあえず、お昼は何を食べたいかと子どもに聞くと、「栄寿亭のカツ丼」と長男が答える。
栄寿亭は、駅から歩いて10分ほどの場所にある素朴な食堂。メニューのカツ丼は、和風のだしを使った飽きのこない味。400円という安さもあり、この味を求めて来る人は多い。カウンターは15席しかなく、昼時は立って待っている人が列をなす。お弁当の注文もひっきりなしにある。 帰りがけに高崎哲学堂のそばを通ると、「彫刻をめぐる空間」というプレートが立っている。以前、「ウェグナーに座ろう」という企画展で一度訪れたことがある。今回、無料で公開しているようなので、門をくぐり緑に囲まれた古風な邸宅に入る。
玄関には、無造作に三角形のオブジェが置かれている。田中栄作氏の「山」という作品のようだ。邸内に入ると、アントニン・レーモンが設計した和洋が調和した部屋に、人や動物のブロンズ像などがそこかしこに配置されている。椅子に座り、ゆっくりと見回し、独特の空間を味わう。さりげなく、佐藤忠良氏の「ミーマア」というブロンズ像も置かれている。 人もほとんどいないので、猛暑の中歩いてきた子どもたちは和室に寝そべってしまう。その手の届くところに、大きな椅子にの林檎がのっている深井隆氏の作品がある。畳に寝ながら彫刻と庭を同時に鑑賞できるとは、なんとも贅沢な空間。
庭先におかれたオブジェは、すがしい竹を背景に独特の趣を醸している。茂木康一氏の銀色のオブジェが、緑に囲まれた中で夏の陽を反射し、柔らかな存在感を示す。 これらの作品は、高崎市美術館が増築工事で休館となっているため、隣接する高崎哲学堂に展示されることになったもの。彫刻たちは、哲学堂と庭園によく調和し、緑と響き合いながら高崎の文化の息づかいを静かに伝えていた。
高崎高校の文化祭、「翠巒祭」に家族で出かける。今年で56回目。2年前の第54回翠巒祭に訪れたときと同様に、多くの来場者で賑わっていた。
まず、入り口付近に飾られた4階の校舎一面を覆う巨大壁画が目に入る。「新たな視点」というテーマであり、国際宇宙ステーションを配した雄大な絵であった。
校舎内の展示を子どもたちは喜んでいた。実験などは、原理なども含めて教えてもらえたようだ。アカデミックなものより、分かりやすい内容が多く、子どもたちも楽しめたようだ。美術部で見事な切り絵が展示されており、子どもたちも創作意欲をかきたてられ、ハサミを手にして実際に作らせてもらった。
高崎高校では、文化祭を毎年行っている。隔年実施の学校が多い中、運営も大変だろうが、1年生はこの時期に行事に取り組むことで、校風を知り、上級生とのコミュニケーションも活発になり、学校に慣れる意味でも意義があるようだ。また、今年の内容や課題を次年度につなげやすいというメリットもあるようだ。
毎年、入場口に凝った作りのアーチが飾られている。今年はバチカンのサン・ピエトロ大聖堂を模した作品。趣向をこらしたアーチに、いつの年も変わることなく咲き誇るバラの花が彩りを添えていた。
高崎の音楽センターで群馬交響楽団第445回定期演奏会を聴く。曲目は、武満徹の3つの映画音楽、メンデルスゾーンの交響曲第4番「イタリア」、バルトークの「組曲中国の不思議な役人」、コダーイ「くじゃくよ飛べの主題による変奏曲」。
久しぶりに足を運んだ音楽センターは、開演1時間前にもかかわらず、多くの人で溢れていた。この地味な曲目でこれほど人が集まるのかと驚いた。「のだめカンタービレ」の影響もあるのだろうか、数年前とはうって変わった賑わい。
ロビーでパンフレットを眺めていると、ホール内で拍手が聞こえる。開演の20分以上前なのに何だと思ってホールに入ると、壇上に一人が立って、とうとうと喋っている。パンフレットにプログラム・ノートを書いている渡辺和彦氏が、曲目の解説を話しているのであった。運営する側のサービスに勤める姿勢の一端を感じた。
指揮者の高関健氏は、1993年よりこの2008年3月まで群馬交響楽団音楽監督を務め、現在は名誉指揮者となっている。群響の発展に実に大きな貢献をされた。何度かお話をさせていただいたことがある。気さくなお人柄で、暖かみを感じる方だ。高関氏の指揮による群響の演奏会での合唱に幾度も参加したが、明瞭な指揮をされるので、思いがよく伝わった。NHK大河ドラマ「風林火山」「八代将軍吉宗」などのテーマ音楽の指揮者としても活躍している。
演奏の冒頭、異例のことだが、高関氏がマイクを手にした。
「ミャンマーの災害や、中国四川省の大地震の被害に対して、私共で何かできないか検討しましたが、今日の武満徹の映画音楽のうち、2曲目の「黒い雨」のテーマが追悼の音楽なので、被害にあった方々に捧げる曲といたします。そのような思いを込めて演奏いたします。」とおっしゃった。
「ホゼー・トレス」「黒い雨」「他人の顔」の3つの映画音楽が奏された。「黒い雨」よりの葬送の音楽は、荘重な響きのなかに、祈りを感じる曲であり、静かに胸にしみる曲であった。「他人の顔」は、軽やかなワルツで、親しみやすく印象に残る旋律。
メンデルスゾーンの交響曲第4番は、1934年の改訂版が演奏された。洗練された優美な音楽に、ゆったりとひたることができた。
バルトークの「中国の不思議な役人」は、変化に富んだ、不協和音が炸裂する激しい音楽だが、実に聴き応えがあった。木管の音色がことに素晴しかった。
「くじゃくよ飛べの主題による変奏曲」は、ハンガリーの作曲家コダーイによるものだが、日本民謡組曲のような雰囲気があった。旋律が八木節風であったり、さくらさくらを思わせたり、東洋の香りを存分に含んでいる。ハンガリーのマジャール人は東洋系であるとのことで、日本との文化の繋がりを感じさせる音楽であった。
クラシックの演奏会に子どもと一緒に来るのは、これが初めてであった。終演後、小学5年生の長男は、「すごい時間を過ごしたね。」と話していた。
快晴の日、家族で北軽井沢に行く。高崎方面から倉渕を抜け、二度上峠を越えると、眼前に裾野を長く伸ばした浅間山が広がる。山合いのくねくねとした道から、突然雄大な光景が現れ、感動する。
峠から北軽井沢の交差点の間に、浅間大滝に向かう枝道がある。駐車場から10分ほど歩くと、高さ10mほどの滝がある。かなり近くまで行くことができ、滝の迫力と、周りの冷んやりとした空気を味わうことができる。
浅間牧場茶屋に車を停め、浅間牧場の敷地内を通り、ハイキングをする。広大な牧草地の周りには、浅間山や元白根山などが連なる。1時間ほど歩き、目標としていた小高い丘のような天丸山に登り、眺望を楽しみながら、おにぎりなどを食べる。手軽なコースだが、標高は1348mの地点で、澄んだ空気の中に360度のパノラマが広がり子どもたちも満足した。
浅間牧場茶屋に戻り、喉を心地よく潤すジョッキミルクを飲み、濃厚なソフトクリームを食べる。
車で10分ほどで、鬼押出し園に着く。天明3年(1783年)の浅間山噴火によって吹き上げられた岩石や溶岩によって作られた景観が広がる。園内にはコースが幾つかあるが、一番長いコースは、歩いて1時間以上かかる。
奇岩の間を歩くと、噴火のすさまじさが実感できる。この溶岩を運んだ噴火から200年以上を経て、岩の間には多くの植物が生え、中には岩から根をはる松もあり、自然の生命力が感じられる。
北方を眺む見晴らし台からは、殺伐とした瓦礫の向こうに、なだらかな裾野が広がる山々と緑豊かな高原が広がる。そのコントラスト鮮やかな景観は、強烈な印象を残した。
火山博物館を見学し、浅間山の地質、鬼押出しを作った天明大噴火、浅間一帯の植生などをおさらいし、帰路についた。
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