暗黒タマタマ大追跡
映画クレヨンしんちゃんの、原恵一の第1回監督作品。その後の原監督映画のエッセンスが詰まっていて、素直に楽しめる。
映画クレヨンしんちゃんの、原恵一の第1回監督作品。その後の原監督映画のエッセンスが詰まっていて、素直に楽しめる。
ディズニー・アニメ「マダガスカル2」は、前作を凌ぐパワーと面白さ。ライオンのアレックスなど、前作のキャラクターたちが、アフリカの大地でより生き生きとそれぞれの魅力を振りまく。作り手も楽しんでいる雰囲気が伝わるポップなファミリームービー。
航空に関わる人々の姿を描いた矢口史靖監督の映画「ハッピーフライト」。
「大空港」や「エアポート」シリーズなど、海外ではフライトを扱った映画は多い。「ハッピーフライト」も、ひとつのフライトを基にした群像劇であるが、乗客、操縦士、フライト・アテンダント以外にも、多くの人々が登場する。綿密なリサーチと、全日本空輸 (ANA) の全面的な協力のもとに制作されており、整備士、管制官、オペレーションコントロールセンター、バードパトロールなど、様々な部署の人々の動きが描かれる。ひとつのフライトにこれほどの人々が関わっているのかと改めて驚かされる。コミカルな中にプロの矜持を描く矢口監督の手腕はさすがである。
フランク・シナトラの主題歌「カム・フライ・ウィズ・ミー」 の伸びやかで貫禄ある歌唱が印象に残る。アン・ハッピーな状況をたくさん盛り込みながらも、観る者をハッピーな気持ちにさせる快作。
アバターの3D版は、映画がひとつの時代を迎えたことを感じさせてくれる。3Dは、これまで「飛び出す」ことを売りにしてきた面があった。しかし、この映画では、画面に奥行きを与え、物体に質感をもたせることに3Dが大きな効果を与えている。そのため、臨場感が増し、虚構と分かっていても観る者を引き込む力を持っている。
3D時代の本格的な幕開けとして、大きな役割を果たす映画であり、商業的にもたいへん大きな意味合いを持った作品である。あらゆるアイディアを投入し、巨費をかけてじっくりと制作されたこの映画を凌ぐ映像が、今後も多く現れるのであろうか。
「アバター」の2D版を見る。深みのある映像に、すぐにこれは是非3D版で見るべきであったと後悔する。異星の動物たちや幻想的な背景など、イマジネーションをよくここまで微細に表現したものだと感心する。
アバター
ジェームズ・ホーナー サントラ
ジャッキー・チェン監督・主演の「WHO AM I ?は、国際アクション映画。南アフリカの部族と現代社会の対比などを取り入れ、ストーリーも意外と凝っている。体を張ったアクションシーンはいつもながら見事だが、ラストの命がけのシーンには特に驚かされる。
WHO AM I? フー・アム・アイ? [DVD]
ジャッキー・チェン
劇場版名探偵コナン「ベイカー街の亡霊」は、野沢尚が脚本を手がけた。シャーロック・ホームズゆかりの英国を舞台にするために、何度も想を練り、脚本を書き直したとのこと。物語がしっかりとした映画に仕上がっている。
野沢尚は、「破線のマリス」で第43回江戸川乱歩賞を受賞するなど、推理小説作家としても活躍していた。本格推理小説の祖とも言えるコナン・ドイルが生んだ、ホームズにちなんだ作品を創ることには、思い入れもあったのではないか。この映画では、ドイルへのオマージュのように、ホームズ・シリーズゆかりの登場人物や地名がたくさん登場する。
「青い鳥」「眠れる森」「緋色の記憶」など、多くの優れた作品を生み出した野沢尚は、NHKスペシャル・ドラマ「坂の上の雲」の初稿を残して自殺してしまう。作品は高く評価され、今後も期待がされていたのに、なぜ死を遂げたのかは余人の知るところではない。しかし、きっちりと構成された職人芸的で、しかもなお透明感と奥行きのある作品世界は、今後も生き続けるであろう。
1日1作。毎日ひとつ何かを紹介する試みを続け、4年5ヶ月になった。2009年に記した中での、ベストを振り返る。
小説 : 宮城谷昌光 「楽毅」
「楽毅」は、内容の濃密さと、巻が進むにつれて深みが増していく凄さに感嘆した作品。
他にも 「赤ひげ診療譚」、 「胡蝶の夢」、 「箱根の坂」 など、ベストに掲げたい小説はいくつもあった
数学書 : 「素数に憑かれた人たち」
リーマン予想を、数学の近代史とからめながら解説した、奥行きのある本。
クラシック : ムラヴィンスキー指揮「チャイコフスキー交響曲第5番」
ムラヴィンスキー指揮のチャイコフスキー交響曲4番、5番、6番は、底知れぬ深淵をたたえた演奏。
ドラマ : 「坂の上の雲」
日本映像界の悲願が達成された。明治期の日本をじっくりと描く。来年の第二部、再来年の第三部にも期待。
邦画 : 「沈まぬ太陽」
覚悟を据えて映像化した制作者に敬意をこめて掲げたい。
洋画 : 「WALL・E/ウォーリー」
台詞なしで雄弁に語る前半と、賑やかに展開される後半の対比が興味深かった。
レミーのおいしいレストラン、ルイスと未来泥棒、ファインディング・ニモなど、ディズニー・アニメの良作に多く出会えた。
コミック : 「キャプテン」
何十年ぶりかに読んだが、名作は色あせない。アニメもたいへん良い出来映えであった。
アニメ : 「プラネテス」
原作も素晴しいが、内容をふくらませ見事なまとまりをもったストーリーと映像美に結実させたアニメスタッフの力量に感服。
教育: 「高校生のための現代数学講座」
東京大学玉原国際セミナーハウスでの体験は、今後も大きな財産になるだろう。真剣な眼差しの高校生、若き教員の取組み、献身的な大学の先生方の姿勢は印象に残り続けるだろう。
科学:「スーパーカミオカンデ」
飛騨のスーパーカミオカンデを見学できたことは、今年最も実りあるイベントであった。子どもたちにも本物を見せることができて本当に良かった。
2009年は、科学と社会を共に見据える体験が多くできた。2010年の新たな出会いに期待したい。
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